魚干し網

場所によっては思いもかけず大量の虫をゲットできたりする場合がありますが、その際に困るのが標本処理です。
一度に全部展足するのは気が遠くなりますし、かと言ってそのまま放置するワケにもいかず…。
…という時に、以前に紹介したタトウが活躍するワケです。
(→タトウ
タトウの中に虫を並べて一度乾燥させてしまうワケですが、その際にも、あまりに虫が多いとタトウの乾燥場所すら難しい場合も出てきます。
普通であればタッパー等に乾燥剤と一緒に入れて乾燥させてしまうのですが、あまりに多いと乾燥剤も追い付かなくなる事がありますし、かと言って大量の乾燥剤を購入するのも勿体ない。

そんな時に活躍しそうな応用アイテムがこちら。

魚干し網

…正式な名称は分かりませんが、要は魚の干物を作るための網カゴです。
中が3段になっているので、段ごとにタトウを並べて風に当てておくだけ。
全体が小さな網状になっており、全方向に空気が流れるので箱などに入れておくより乾燥しやすいし、S字フックを使えばカーテンレールなどに吊るしておけるので場所にも困らない。
ゴキブリに喰われる心配もない。
(※カツオブシムシやチャタテムシは入ってしまいますが…)

私の場合、採集した虫のほとんどは一度タトウで乾燥させ、時期を見て軟化して展足していますので、この魚干し網が大活躍。

上州屋などの釣り具屋で売っているので、一度見てみてはいかがでしょ?
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標本教室のお知らせ

※今回は告知になります。※

「昆虫の標本を作ってみたいけど、やり方がよく分からない」「我流で標本を作っているけど、基礎をちゃんと知っておきたい」…という方、日本昆虫協会ではこの冬、標本作製教室を開催致しますので、ぜひ御参加下さい!

…とまぁ、そんな感じの宣伝文句で、12月下旬に、日本昆虫協会(千代田区)&むし社さん(中野区)にて、標本教室を開催します。
なんでわざわざブログに載せているのかと申しますと…

僭越ながら、私こと虫けら屋が講師を担当させて頂きます (^^;

…実を言いますと、私は日本昆虫協会(HP)に所属しておりまして、こういう標本教室等を企画・担当させて頂いてます。
(※今年の夏にも、市ヶ谷・むし社・山梨オオムラサキセンターの3ヶ所で各複数回開催しました)
そんでまぁ今回、千代田区の回は同会主催、むし社開催の回はむし社さんとの共催という形で開催致します。
概要は以下の通り。


<むし社開催>
〒164-0001 東京都中野区中野2-23-1
むし社 第2営業部(509号室)

12月21日(水)
前半の部(13:00~15:30) クワガタムシの標本作製~基礎編~:4,000円
後半の部(16:30~19:00) ハチ・バッタの標本作製:4,000円

12月28日(水)
前半の部(13:00~15:30) セミ・トンボの標本作製:4,000円
後半の部(16:30~19:00) チョウ・カマキリの標本作製:5,000円

※ちなみに、12月20日~30日の日程でむし社さんで年末セールが開催されますので、標本教室当日も店舗にてセールをしています。
(→むし社ホームページ


<日本昆虫協会 開催>
〒102-0074 東京都千代田区九段南2-9
九段上集会室(九段さくら館)

12月25日(日)
前半の部(10:00~12:30) チョウと甲虫の標本作製:5,000円
後半の部(13:30~16:00) カマキリの標本作製:3,000円



◎クワガタムシの標本作製~基礎編~(むし社)
クワガタの大型種と小型種の標本作製方法です。
標本作製というのは最初敷居が高く感じられるかもしれませんが、基本を覚えておけば実際にはそう難しくありません。

◎ハチ・バッタの標本作製(むし社)
ハチとバッタの標本の作り方をやります。
バッタは、先日ブログで紹介した通り内臓を抜く作業があるので、苦手な方はご注意下さい。

◎セミ・トンボの標本作製(むし社)
セミは脚と翅を開くのを一緒に行う方法です。
トンボは腹部に茎を通すので他の虫の標本と少しだけ事なりますが、セミ・トンボとも難しくはありません。

◎チョウ・カマキリの標本作製(むし社)
チョウは展翅板という特別な道具を使うため、その分だけ価格がやや高くなってしまいますが、ご了承下さい。
カマキリの標本も内臓を抜く必要があるため、バッタと同様苦手な方はご注意下さい。

◎チョウと甲虫の標本作製(市ヶ谷)
展翅と展足という、昆虫標本作製の基礎2つです。
こちらも展翅板代分だけ価格が上がっていますが、前者もこちらも、ご自身で展翅板をお持ち頂ける方は、他の教室と同じく参加費4,000円になります。

◎カマキリの標本作製(市ヶ谷)
カマキリ単体のため、参加費は3,000円です。
内臓を抜く作業があります。


…子供でも分かりやすいよう、かなり噛み砕いた話をしますが、大人の方にも楽しんで頂けるように頑張って内容を練って企画しておりますので、詳細・申込等は日本昆虫協会のHPからよろしくお願い致します。

日本昆虫協会 標本教室ページ

リュウキュウギンヤンマ

日本で見られるギンヤンマの仲間のうち、もっとも大型になるのがリュウキュウギンヤンマです。
南西諸島で見られ、普通のギンヤンマより優に一回りは大きく、迫力があります。

琉銀&銀

しかし、テリトリーを開放水面上に固執するギンヤンマと異なり、水場の比較的近くでさえあれば駐車場や農道の開けた場所など陸上でも平気でテリトリーを張るため、採集はむしろ容易いです。
また個体数もそこそこいるため、昆虫採集をしていると見掛ける機会も多く、南西諸島で軽くヤンマ採りをして遊びたいなら格好の相手。

テリトリーを張る個体は同じコースを何度も周回するため、“コースを良く見てその真下に網を構えて待ち、上を通った瞬間に網を振り上げる”という方法で、かなりの確率でネットインできます。
沖縄島採集記の中で採集したリュウキュウギンヤンマもその方法で採集したもので、網を地面に置いて待ち構えて採集しました。(→沖縄採集記2011秋 10月22~23日


ちなみに、日本で見られるギンヤンマの仲間は、「ギンヤンマ」「クロスジギンヤンマ」「リュウキュウギンヤンマ」「オオギンヤンマ」の4種類います。
クロスジギンヤンマはその名の通り胸部にクッキリとした黒条が入るのですぐに見分けられます。
その他3種については、サイズ順だと「ギンヤンマ < オオギンヤンマ < リュウキュウギンヤンマ」となりますが、一見しただけだとやや分かりにくいです。
そこで、頭部を見ます。

トンボを横向きにして、鼻先を上から見た際に、

ギンヤンマ黒い一文字
オオギンヤンマは複眼の付け根だけ黒く、鼻先の黒条線なし
リュウキュウギンヤンマは複眼と鼻先の黒条線が“H”状につながる

…という特徴がありますので、捕まえて鼻先を見れば一目瞭然。

琉銀&銀(頭部)

この見分け方を教えてくれたトンボ屋の友人曰く、覚え方は

H(エッチ)なリュウギン、禿げのオオギン(、真一文字のギンヤンマ)

…だそうで。

コンパス・地形図・GPS

マルバネクワガタの採集などで森に入る際の必需品です。

ここ10年程(?)のクワガタブームでマルバネ採集をする人が増え、オキマル流しはもとより八重山などで山に入る人もかなり増えています。
しかし、中には採集記などを見ていると「そんなんで森に入るなんて自殺行為!何を考えてるの!?」と言いたくなるような人もいます。

“石垣の森ならまだしも、西表の森は数メートルも入ると出口が分からなくなり…”とか、
コンパス(方位磁針)も持たずに森に入ったら、迷うのが当たり前です。

実際、夜の森は昼間とは全く異なった様相を見せ、マルバネに良さそうな大木の周りを2周も回ったら方向など簡単に見失います
ほとんどの場合は集落の明かりなど見えませんし、真っ暗になれば目印もありません。
紐でも張っていれば別ですが、昼間に見た目印など、夜にはほとんど役に立ちません。

…そんな中、方位磁針(コンパス)は、方角を確認できる最も簡単なアイテムなのです。

コンパス(方位磁針)

道がどの方角に走っていて、どちらに行けば森から出られるのか?それを理解しているだけで森の難易度は全く違います。
そして、それとセットで持っていたいのが1/25,000地形図です。

1/25,000地形図

アバウトな位置確認だけならロードマップでも出来ないコトは無いですが、地形図の場合、等高線や広葉樹等の植生、小さな川や崖等も記されているため、自分が入ろうとしている場所の雰囲気を掴んだり、歩くコースを考える重要な参考になります。
例えば、上画像の地形図(ちなみに奄美大島の某所です)だと、地図下部を東西に走る道が、右側で北に大きくカーブしています。
更に、等高線を読むと東寄りに南北に走る尾根(黒い点線)があり、仮にこの尾根と道の間の森に入るとすれば、例え迷っても南か東に進めば必ず道路に出られるというワケです。
また、西に進んでも大きな尾根を越える前に引き返す、という目安にもなります。
これだけ場所が分かれば、あとは森の中をどれだけ歩こうと、必ず脱出できるというワケです。

地形図は大型書店に行けば手に入りますし、1枚数百円。
コンパスは山道具屋で1,000円程度から手に入りますし、最近では百均でも手に入ります。
決して大袈裟などではなく、山や森に入るなら当たり前の持ち物なのです。

そしてもうひとつ。
最近では使っている人も増えてきたGPS

GPS

人工衛星を利用して位置を測定し、緯度・経度で現在地を計測する機器。
以前はかなり高額だったのですが、近年は比較的手の届きやすい価格帯になってきました。
GPSは森からの脱出はもとより、現在地をより詳細に知ることができるというのが最大の利点です。
夜の森の中というのは、よほど地形を熟知していないと地形図と照らし合わせてピンポイントの現在地を知るというのは不可能です。
しかし、GPSであれば自動的に現在地を計測してくれるため、「ここで採った」というピンポイントを知ることができ、実際に夜間採集に使用している人も何人もいます。
また緯度・経度を計測しておけば、その時点で詳細地名が分からなくても後で調べる事もできますし、海外などでひとつの地名が指す地域が広大な場合、GPS計測のデータをラベルに記載する場合もあります。


…まぁ、GPSは追加装備だとしても、夜の森に入ろうというなら、せめてコンパスと地形図ぐらいは持っていましょう、自分の身の安全のために

もはや針山

クワガタ展足

ここしばらく奄美の虫を展足していなかったので、本土ヒラタ(中央)と一緒にスジブトヒラタ♂(左)とアマミミヤマ♂(右上)を各1頭軟化して展足。
本土ヒラタは埼玉産53mmUPで個人的には十分大型だが、奄美のクワガタはどちらも小ぶりサイズ。
…とは言え、久しぶりに奄美の虫をいじくり回せてとても楽しかった。


奄美は、少し前までは毎年お盆の時期に渡島し、アマミミヤマクワガタを中心にクワガタを採りまくっていた。
6年以上は通ったと思う。
そのおかげか、アマミミヤマは雌雄ともに十二分に満足のいくサイズが採れたし、奄美大島産のクワガタは一応全種を採る事ができた。
自分にとって、もはや奄美大島は第二の故郷と断言できる。
(…まだ今でも“ああすれば、もっと成果が上がるんじゃないか?”とか“こんなトラップを使ったら大型個体が採れるんじゃないか?”とか思う所は色々あり、最近、また夏の奄美大島が猛烈に恋しくなってきて行きたい行きたいとホームシックに悶えつつある。)

…で、まぁ、その頃に採集したクワガタ達は、大型のものは優先的に展足して標本箱に納まっているのだけど、中型以下の個体はまだまだ大量にタトウに眠っており…(^^;
時々タトウを開けては“展足しなきゃなぁ”と思いつつ、また閉じてしまう事の繰り返し。
しかし、思っているだけでは始まらないので、とりあえず2頭だけでもやろうか…というのが今回の経緯。


ちなみに自分はクワガタ展足の際の押さえ針は基本的に「有頭シガ針 2号」を使うので、アマミミヤマぐらいの大きさになると展足後はまるで針山のようになる。
上から見る分にはまだ↓↓↓の程度だが、

アマミミヤマ展足(背面)

…これを斜めから見たりするともうクワガタの姿が隠れてしまうぐらいに針だらけ↓↓↓

アマミミヤマ展足(斜め)

特に頭部周辺は触角と前脚が重なるため、本当に針だらけになり、展足していてもどの針が何処を押さえているのか、たまに分からなくなる。
触角を押さえている針を調整しようとしたら、フ節を押さえてた針を抜いてしまったり(笑)


…ちなみに。
個人的な意見ではあるが、アマミミヤマぐらいのクワガタの場合、触角先端などは一度乾かしてから再度部分軟化して調整してやるとより美しくキマる。
部分軟化については、そのうち「クワガタの軟化」的な記事でひとまとめにして書こうと思う。
…うん、そのうち





~p.s.~

今回の記事とはまったく関係ないのですが、“なんで標本にデータラベルを付けるのか?(データラベルの意義)”という疑問を持たれている方がいらっしゃるようなので、その辺りを少し過去記事「データラベルの作り方」に追記しました。(→データラベルの作り方

まぁ、簡単に言ってしまえば、標本だからです。

「なぜ標本にラベルを付けるのか?」という疑問に対し、「標本だから」という答えではトンチのように聞こえてしまうかもしれませんが、そもそもに標本とは、動植物や鉱物などで研究用または教育用に保存されるものを指します。
つまり、それが例え個人所有の物であっても、「標本」ならば後世に誰でも学術資料として使えるようにしておく必要がある…
…と言うか、資料として使う(使える)ものを標本と呼ぶのです。

なぜラベルがあった方が良いのか?という具体的な話については上記リンクの過去記事の追記(下の方)を見て頂きたいのですが、「標本」にとって何よりも重要なのは、キレイに展足されている事ではなく、きちんとしたデータラベルが付いている事なのです。
実際、ライデン博物館だの大英博物館だのには、展足もせず脚が丸まったまま針を刺してラベルを付けただけの標本が普通にあります(…いや、まぁ私が実際に見てきたワケじゃないですケドね)。
でも、それも立派な標本なのです。
極端な人になると「ラベルの付いていない物はただの死骸」と言うぐらいで、『標本を作っているんだ』と思うのであれば、ラベルは付けるようにしましょう。

…まぁ、自身の展足した虫が、標本ではなく、モルフォの翅だけを切って作ったような“装飾額”と同じような物なんだと言うのなら、ラベルは無くても良いかもしれませんが…。

ダンゴムシモドキ?

さて、この虫は何でしょう?

ヒメマル(1)

…ダンゴムシ?
いえ、伸びてみると、脚は6本です。

ヒメマル(2)

つまり、これはダンゴムシではなく、れっきとした昆虫の仲間です。
表側はこんな姿。

ヒメマル(3)


…実はこれ、ゴキブリの一種です。
南西諸島だけに生息するヒメマルゴキブリというゴキブリの♀です。

完全に野外性のゴキで、夜にマルバネ探索をしているとポツポツと目にしますし、バナナトラップにもたまに来ます。
まとまって見つかる事はまずありませんが、あちらこちらでポツリポツリと見つかります。

…実のところ、私はゴキブリは大の苦手なのですが、このヒメマルは日本で唯一、私が素手で触れるゴキブリです。
それぐらい、ゴキブリらしくないゴキブリなのです。
大きさも、伸びた状態で1cm程度と小さく、クロやチャバネのように素早くもありません。
知らない人が見ればダンゴムシにしか見えません。
しかし、よくよく見ると触角や頭の付き方、脚の形などは確かにゴキブリと共通しており、なるほど確かにゴキブリの仲間なのは確か。

ちなみに、こんなダンゴムシみたいな形なのは♀と幼虫で、♂は普通のゴキブリのように翅が長くなります…

ヒメマル♂

…が、これが実は激レア

今年(2011年)秋に沖縄に行った際に初めて見ました。
♀はかれこれ10~20頭は見ているハズですが、♂を見たのは初めて。
ゴキブリチックでありながら前胸背の丸さや脚の短さなどはヒメマルの雰囲気も残しており、独特な雰囲気の虫で、最初はゴキだと気付きませんでした。
昼間でも活発に歩き、小距離の飛翔を繰り返す活発な個体で、最初見つけた際に危うく逃げられそうになりました(笑)



…そして実は、南西諸島にはもうひとつ、私が見てみたいゴキブリがいます。

それがルリゴキブリ
ゴキブリのくせに鈍い青の金属光沢をもつ美しい種で、ゴキらしい形ではありますが、比較的寸詰まりな姿をしています。
まだ標本すらほとんど見た事がなく、一度野外でその姿を見てみたいゴキブリです。
その姿を拝めるのはいつの日か…


…でも、もう一度念を押しておきますが、
私は基本的にゴキブリは大の苦手です。

池袋のアカタテハ

11/17池袋アカタテハ

11月17日、昼時の池袋西口の広場。
水の止まった噴水の近くで舞い踊る枯れ葉をよくよく見たらアカタテハ。

彼らは成虫で越冬するチョウなので、溜まった水を吸う姿はもう冬眠の準備中。
はてこんな都会の真ん中のどんな場所で冬眠するのか聞いてみたいものだが…

冬はもう近い。

バナナトラップの作り方

バナナトラップは、南西諸島でのクワガタ採集で頻繁に使われるトラップです。
焼酎に浸けて発酵させたバナナをストッキングに入れて木から吊るすというのが一般的によく知られた作り方…

…なのですが、浸け込んでデロデロになったバナナを現地でストッキングに入れるというのは、実は意外と手間の掛かる作業です
なので、自分は以下の手順で作っています。

(1)ストッキングを股下部分で切る
バナナトラップ(2)

(2)3~4本まとめてストッキングを被せる
バナナトラップ(3)

(3)2~3重にゴミ袋に入れ、焼酎をかけて、上から軽く潰す
バナナトラップ(4)

(4)袋の口を輪ゴムで縛り、密封する
バナナトラップ(5)

…と、ここまでを採集に行く数日前に済ませておく。
そして、

(5)現地で、クワガタの来そうな場所に吊るしていく
バナナトラップ(6)

(6)設置場所の条件次第では、ハナムグリがビッシリと来てバナナトラップがキラキラになる
(ちなみに、こういう状態を仲間内では『ミラーボール』と呼ぶ。)
バナナトラップ(7)


私の場合、数年前までは毎年お盆時に奄美大島に渡り、40~50個のバナナトラップを掛けてクワガタを採集していました。
しかし、バナナトラップ40~50個となると段ボール2箱近くの量になり、当日持って行くのはとてつもない重労働です。
そこで、事前にレンタカー屋に連絡を入れ、バナナトラップを浸け込んだ段ボールを送り付けて、借りる車に積んでおいて貰うという方法を使っていました。

郵送する事で輸送中に焼酎に浸け込まれ、自分が現地到着した際にすぐに仕掛けられるという利点もあります。
またその際、衣類や採集道具なども一緒に送り付けておくと、出発当日が非常に身軽になり、かなり便利です。

ロッドと軽ザックだけで当日島まで行く」…一度やったら病みつきになるぐらい楽チンですので、ぜひお試しあれ。

バッタの標本の作り方

秋も深まり、コオロギの声も寂しげになってきました。
土手に行くとまだトノサマバッタが飛び出しますが、その数は減り始めていますね。
…尤も、今年(2011年)は11月に入ってノコギリクワガタ見つけたりしてますので、なんだか季節感はおかしいですが。

さて、今回はバッタの標本の作り方です。
トノサマバッタとキリギリス(おそらくニシキリギリス)に登場して頂きます。

バッタ展足

バッタ類は外骨格が柔らかく、内臓が多いため、標本にした際に色が悪くなりやすいという欠点があります。
生きたままの色を残すのは相当に難しいので、少しでも色を残そうという方向で進めていきたいと思います。

色が悪くなる原因の一つが内臓の腐敗です。
そこで、中型以上のバッタを標本にする場合、先の鋭くとがったピンセットを使って内臓を取り除きます。
バッタの頭を下げてやると、胸部との間に節間膜が見えますので、そこをピンセットを突き破ります。

バッタ展足-2

胸部の真ん中辺りまでピンセットを突っ込んで引っ張ると、黒っぽい塊が出てきます。

バッタ展足-3

大きな塊で一気に取れることが多いですが、他にも小さなものが残っていますので、何度か取り出します。
また、メスの場合は腹部に大量の卵を持っていますので、それも丁寧に取り出します。
ただし、腹部の壁面(内側)を強くこすると、色素が剥がれて一部が透けてしまいますので、擦らないように気を付けて作業を行います。

一通りの内臓が取り除けたら、小さく丸めた綿で中の体液を軽く吸い取っておきます。
(※この時も、内壁をこすらないように注意します)

次に、内臓を抜いたお腹が乾燥で縮んでしまわないよう、小さく丸めた綿をお腹に詰めていきます。
綿の量は適当に調整して、バッタのお腹が生きていた時と同じぐらいの長さになるようにします。
(※詰め過ぎると腹が伸びてしまいますし、少な過ぎると乾燥で縮んでしまいます)

バッタ展足-4

綿を詰めたら昆虫針を刺して展足していくワケですが、バッタの場合、クワガタ等と同じ背面展足と、横向きに整形する横刺し展足とがあります。

バッタ展足-5

背面展足の場合はクワガタ等と同じように胸部に針を刺して整えていけば良いのですが、バッタやキリギリス等では横から見た方が種類を調べやすいものが多く、専門家は横向きに展足する場合が多いです。
そこで、今回は横刺し展足をお伝えしていきたいと思います。

昆虫針はやはり胸部に刺しますが、横向きに展足するという事は、針も当然横から刺します。
バッタ展足-6

中脚の少し後ろ辺りです。
針が斜めにならないように、慎重に刺します。

針を刺せたらいよいよ展足になりますが、横刺し展足の場合、クワガタ等と異なり整形にややルールが多いです。
少々面倒に感じるかもしれませんが、これは後で調べやすくするための形で、専門家もこういった形に成形するので、この形になっていると標本がキマッて見えます(笑)

バッタ展足-7
※写真が切れてしまう場合は、画像をクリックして頂ければ別ウィンドウで開きます。

形が出来上がったら乾燥させますが、バッタは色落ちが激しいため、可能であれば冷蔵庫もしくは冷凍庫で冷やしながらじっくりと乾燥させた方が色が残りやすくなります。

…尤も、ご家庭によっては「虫を冷凍庫に入れるなど言語道断!」と言われてしまう可能性も高いと思いますので、その際は諦めてタッパー等に入れて乾燥剤を多めに入れて少しでも短期間で乾燥させるようにしましょう。
1ヶ月ほど乾燥させたら、データラベルを付けて完成です。

データラベルの書き方・作り方については過去の記事をご覧下さい。
データラベルの書き方)(データラベルの作り方

なお、コオロギやスズムシなど、やや平べったい仲間に関しては、標本はクワガタ等と同じ背面展足で作るのが一般的です。

スズムシ標本

…いかがでしょうか?
クワガタ等の大型甲虫に比べると手間が掛かりますが、興味を持って頂けたら、ぜひ挑戦してみて下さい。

標本は自分の思い出だけでなく、貴重な実物資料です
今、近所の河原で見られるバッタは、もしかしたら50年後には風景が一変して全く見られなくなってしまうかもしれません。
そんな時、きちんとデータを付けた標本が残っていれば、その時点で確かにそのバッタが河原にいたという一番確かな証拠になります。

下手をすれば、そこに居たことさえ知られないまま開発によって消えていく昆虫。
標本は、そんな虫たちが確かにそこに居たことを示す、一番の物証でもあります。

もぞもぞ 虫・蟲展

もぞ虫ハガキ

「もぞもぞ 虫・蟲展」なるものに行ってきました。
…まぁ、簡単に言うと、昆虫をモチーフにした美術工芸品展です。
高円寺にあるごく小さなアトリエ(?)で、数人の方が出品されてました。
TOP写真はそのハガキ。

アトリエの表構えもこんな感じでこじんまり。

たまごの工房

…とは言え、わりと面白かったです。
ビーズ細工だったり手拭いだったりも販売してましたが、まぁお土産気分で買うには少々高値だったので買いませんでした。
あのデザインに惚れ込んだなら買っても良いかも?という価格でしたが、まぁ生憎そこまでは…ね。
自分はあくまで“本物の虫”が好きなので(笑)
TOP写真のウデムシ・デザインのTシャツ&ヨナグニンサン・デザインのTシャツも売っており、ヨナグニの方がちょっとイイな…と思ったのですが、Tシャツに2,000~3,000円は出せないなー…。

一応、開催は明日(11/13(日))までです。
詳細は以下ページ。

http://fromtamago.exblog.jp/




…昼過ぎ、その展示会に行こうと家を出たところ、建物入口のスロープで、ゴマダラチョウが息絶えていました。
翅の傷みは少なかったですが、触角は片方なく、恐らくは寿命でしょう。

11/12ゴマダラチョウ

既に硬くなり始めていましたが、せめて最後は土の上に…と、とりあえず植え込みの中に移しておきました。
季節は、確実に冬に近付きつつあるようです…。

オオスズメバチの雄



…はい、動画を見て、ぎょッ!?として頂けたら大成功です。


ヤエヤママルバネクワガタが最盛期を迎える10月下旬~11月……本土では、世界最大のスズメバチであるオオスズメバチが繁殖の時期を迎えます。
(※最初、11月上旬と書きましたが、どうやら11月中は結構見られるようです。都区内だと12月上旬でも見られる事があるのだとか)

毎年秋になるとニュース番組などで『殺人蜂の恐怖!!』なんてセンセーショナルなタイトルで特集が組まれ、危険な害虫という面ばかりが強調されるスズメバチですが、幼虫の餌として多くの昆虫を狩るため害虫の大発生の抑止に大きく貢献しているという一面もあります。
また、九州地方では昔からスズメバチは貴重なタンパク質源として食料とされてきましたし、幼虫との栄養交換でスズメバチの成虫が長距離飛行や活動を行うことからヒントを得た「VAAM」というスポーツ飲料(?)も近年開発されました。

「安全」とは口が裂けても言い難いスズメバチではありますが、その一方で、実は重要な益虫でもあるのです。


さて、そんなスズメバチの中でも、最も大型で最も気性が荒いのがオオスズメバチです。

オオスズメバチ女王蜂

実は世界のスズメバチの中でもオオスズメバチは最大サイズを誇っており、「世界最大のスズメバチ」です。
女王蜂の体長は45mm以上に達し、働き蜂でも最大で40mmクラス。
(…ヨーロッパにはもっと小さなスズメバチしかいないため、西洋の虫屋さんはオオスズメバチの標本をとても欲しがるのだとか。)

4月頃から越冬した女王蜂が営巣を始め、6月下旬~7月あたりから働き蜂が現れ、9月頃には巣は最大級に成長します。
そして10月も下旬に入り木々が紅葉し始める頃、次世代の繁殖期に入り、オス蜂が姿を見せます。

…で、最初の動画の解説になるワケですが、動画の蜂はそのオス蜂です。

スズメバチの雄蜂は、秋にだけ現れるレア蜂で、実は刺しません
と言うのも、実は蜂の毒針というのはメスにしかないのです。
なぜなら、蜂の毒針というのは元々は産卵管由来の器官だからです。
…そう、メスにしか毒針がないという事は、つまり働き蜂も性的には実は全てメスなのです。

つまり、オス蜂は手で持とうが握ろうが、絶対に刺さない…と言うか、刺せないのです

オオスズメバチ♂手乗り
オオスズメバチ♂手掴み

…とは言え、絶対安全と分かっていても、手に乗せたり掴んだりするのは結構ドッキドキ。




※予め申し上げておきますが、同時期に働き蜂も飛んでいますので、今の時期にいるのが全て雄蜂というワケではありません。
ですので、手掴み遊びは“確実にオスである”と確認してからにしましょう。
…って、普通手掴みしないか(^^;

オオスズメバチは、日本だけでも毎年2桁の人が刺されて死亡する非常に危険な蜂であると同時に、様々な事に役立っている益虫でもあります。
人に近過ぎる場所に営巣したりした場合にはやむを得ないにしても、山中に営巣したものまで無闇に騒ぎ立てたりせず、適度な距離を保っていきたいものです。

沖縄島採集記2011秋 10月27日~28日

※<この採集記は、10月31日からの6話目(最終話)になります。>※



ついに邂逅を果たしたオキナワマルバネクワガタ。

興奮で完全におかしな人になり、時折車内で叫んだりしながら探索を続けたが、やがて1時間程でアドレナリンが切れ、8日間の疲れが一気に体中に溢れ出した。
肩や肘が軽く痛みだしたり、全身がダルくなったり。
それでも、知人に頼まれたシリケンイモリを採集に行ったりしつつも朝方まで流してみたが…やはりそこは「ピーク時でも1日に1頭採れるかどうか」と言われるオキマル、追加の個体は見つからず、やがて夜が明けた。
…全身が疲れを訴えているが、それでもまぁ今日が最終日だし、あと少しだけ体をコキ使っておこう。

自分は標本中心なので今回のオキマルも当然〆てしまう。
しかし、せっかく採った個体、せめて生きているうちにヤラセで良いから撮影だけでもしておこうと、林道で最後の記念撮影。

オキマル路上
オキマル落葉上
オキマル木の上


調子に乗って動画まで撮っちゃった。




それから、付近の沢でリュウキュウハグロトンボを2♂1♀摘まむ。
本土にも近縁のハグロトンボやよく似たアオハダトンボがいるが、どれも負けず劣らず美しいトンボだ。

リュウキュウハグロトンボ

更に、回収しようとしたトラップから珍品のヒメマルゴキブリ♂が落ちて思わぬ収穫。
最後にネットの張ってあったミカン畑に掛けたバナナトラップでヒラタ♀が採れて、採集終了。

林道の脇に車を止めて荷物を整理し……そして、9日ぶりの那覇市へと車を走らせる。

“羽田行きの飛行機は18:55発だったな…”
オオシマゼミの声に見送られ、私はやんばるの森を後にした。















 =最後に=

「沖縄島採集記2011秋」いかがでしたでしょうか?
あまりにマルバネの登場が遅過ぎて、読まれていた方も途中で心折れたかもしれませんね。
…採集していた当人はもっと心折れてました。

今回は本当に最後の最後で奇跡が起きました。
自分でも、本当に話が出来過ぎだと思ってしまいます。

しかし一方で、「流し」よりも、例え危険があろうとも森に入って「木採り」した方が遥かに面白いという事も実感しました。

今回採れたのは63mmOVERの大歯型が1頭のみ。
素晴らしい個体ではあると思いますが、やはり中小の♂や♀も採りたいと思うのは虫屋の性(さが)。
今度はしっかりと森に入る装備を整えて、万全の態勢で再挑戦してみたいですね。

また、今回マルバネの数が非常に少なかったのは時期が遅かったせいなのか、それともハズレ年だったのか。
それらも含め、「情報を集め、来年以降にぜひ再挑戦してみたい」…それが今の正直な心です。




人を、ハブの徘徊する森へと引きずり込む魔性のクワガタ、マルバネ。
…いつの間にか、自分もその魔力にすっかり取り込まれてしまったらしい。






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沖縄島採集記2011秋 10月26日~27日

※<この採集記は、10月31日からの5話目になります。>※



厳しいよね…。
厳しいよね……。
なんかもう、採れない気がしてきた。
今回、多分ボーズだ。

車で走りながらも、頭の中でもう「次回」の事を考えている。
次に来るとすれば、10月上旬ぐらいに来て夜間に森に入って木を見て回った方が良いように思う。
アマミマルバネで木採りの厳しさは実感しているし、採れる保証はない。
しかし、少なくとも路面を睨んで走っているよりずっと面白い。

となると、まぁ下見モドキでもしてみようか、と。
夜間に走っていた林道を改めて森を見ながら昼間に走ってみる。
まぁ良い環境があれば今夜にでも少し見てみても良いし、次回来る時の重要な参考になる。
昼間もほとんど採集せず、マルバネの付きそうな巨木を探す。

10本程度はそれっぽい木を見つけ、どうせなら今夜も少しだけ見てみようと予定を立てる。
ただ、本ハブは正直危険だし、今回はそれに対する十分な装備を持ってきていないので、本当に森の入口を舐める程度、ごくごく軽く見て回るだけにして、あとは流しで探そう。
期待するなら来年だ。

…そう考え、夜を待つ。

夜の帳が下りたら、まず真っ先に巨木を見に行く。
「…んッ!?」と思ったら、ヒラタ♂。
サイズがかなり小さかったので見つけた瞬間からマルバネの期待はしなかったが、それでも自分が目星を付けた木にクワガタが付いていると、それだけで嬉しいものだ。
ユミアシゴミムシダマシもポツポツと木に付いており、マルバネとは質感も形もサイズも違うのに、見る度にドキッとさせられるのが悔しい。

だがまぁ、流石にそう簡単にはいかない。
こんなんでマルバネが採れちゃったら、今までやってきた流しは何だったんだ!?という話になってしまう。
…とは言え、期待できそうな木はあるし、次回、次回♪

残るは今日・明日の2晩のみ。
正直、もう採れる期待は薄い。
時期が遅くなればなるほど個体数は少なくなっていき、遭遇率は下がっていく。
それでも、残る僅かな望みを賭けて、連日の反復作業を繰り返す。
もう、採集というより“作業”である。
ただひたすらに路面を睨み、運転し続ける。

沖縄、夜の路上

「努力=報われる」のだとしたら、もう十分にマルバネが採れても良いぐらいは頑張っていると思う。
しかし、残念ながらオキマルの採集は確率論。
頑張ることでその確率を僅かに引き上げる事は出来るが、100%にすることは不可能。

期待はいつしか失せ、ただひたすらに“作業”を繰り返すだけになっていく。
しかし、26日の夜もまた、無情に過ぎていく…


10月27日の夜が明ける。
初日から数えて7日連続ボーズ。
明日にはもう本土に帰る。

ならばせめて、マルバネがボーズでも他で少しでも楽しんでおくしかない。
小さな池のある場所まで行き、トンボ採りにいそしむ。
今日は、オオハラビロトンボやヒメトンボなど今まで採れていなかったトンボも現れる。
トンボにハマり始めたのが今年からという事もあり、今回の沖縄は本当トンボ採集ばかりである。
一番楽しんでいるのは、間違いなく「トンボ採り」だ。

…前にも書いたが、自分はクワガタムシ中心ではあるもののそれ以外の虫にも色々手を出している。
ともすれば「どれも片手間になってしまう」という危険もあるが、一方で「目的の虫がダメでも、他で意外な収穫があったりする」という利点も大きい。
どちらが良いと一概に決め付けるつもりはないが、個人的には色々な虫に興味を持っておいた方が、フィールドに出た際に楽しめることは多いと思う。
何より、「もっと楽しめるのに、勿体ない!」と思ってしまう。

…とまぁ、それはともかく。

やがて27日の日が暮れていく。
泣いても泣いても今夜が最後。
正直、もうほとんどボーズを覚悟しているが、かと言って最後の晩に何もしなかったら確実に後で悔いを残す。
どちらにしても後悔するのなら、

『やらずに後悔するよりは、やって後悔した方がマシ』

眠眠打破も購入して準備万端で最後の夜に臨む。

明日には本土に帰るという事は、言い換えれば今日・明日の採集品は生の状態で持ち帰れるという事。
ならばと、今日はクロギリスもいくつか摘まむ。

ヤンバルクロギリス全身

…一見するとコオロギとカマドウマを足して2で割ったような容姿をしているが、捕えてみればかなり凶悪な大アゴをしており、なるほど『ギス系』である。
間違っても咬まれたいとは思わない。

ヤンバルクロギリス顔

後脚のトゲも恐ろしく発達しており、エグく、不気味で、かつ格好良い。
ヤンバルクロギリスは1995年に新種記載された虫なのだが、むしろこんな虫が1995年まで未記載だったとは信じられない。
記載の10年ほど前からその存在は知られていたらしいが、なぜ誰も記載しなかったのだろうか…?

クロギリスを摘まみながらも、もはや事務作業的にマルバネを探して車を走らせていく。


…やがて日没から2時間近くが経過し、時刻は20時前。

舗装林道の左側の大きな待避スペースに、





何かいた。


動きは……そう、先日のタイワンカブトによく似ている。
黒くて、大型で、丸っこくて、ウロウロしている。

最初に口をついて出た言葉は、
「またタイワンカブトじゃねーだろうな。」
だった。
もう、心が期待するのを拒否していた。

懐中電灯を持ち、よっこらしょと車のドアを開け、確認に行く。



黒い。



赤みがない。



“ソレ”まで数mの所まできて、やっと心が認識した。



















オキマル路上


「…いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!!!!!」

絶叫した。

本当に、絶叫した。

「いおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおッ!!!!」

もう自分でも何を叫んでいるのか分からない。
頭がおかしくなるかと思った…って言うか、おかしくなった。

デカイ!デカイ!デカイ!
大歯!大歯!!

頭の中で「デカイ」と「大歯」の2つの単語だけがガンガン響き、しかしそれが言葉にならず絶叫しか出てこない。
体温が一気に40℃ぐらいまで上がったような、口から勝手に叫び声が出てくるような、全身の毛が一気に逆立つような、全身からアドレナリンがシューシュー噴き出すような感覚。
とにかくもう叫ばないといられない。
“掴む”という事にすら頭が回らず、ウロウロするマルバネをただただ絶叫しながら凝視しているだけ。

デカイ!デカイ!デカイ!デカイ!デカイ!デカイ!

62~63mmはありそうな、完全大歯型だ。

奇跡だ!

初めてのオキナワマルバネ採集で、初日から7晩連続ボーズを食らって、半分以上諦めた最後の晩に、いきなり63mmクラスの大歯型が採れるって、どんな確率だよ!?
誰の脚本演出!?
タイワンカブトのフェイクまで全てこの時のための仕込みかっ!?
伏線だったのか!?

興奮で、何かが体から飛び出しそうなのに何も言葉にならず、ただ絶叫となって口から出てくる。


「し、しゃ、写真っ!写真っ!!」
正直、この時、掴む前に撮影をしようと考えが至ったのは奇跡的だと思う。
走って車までカメラを取りに行くのだが、足が勝手に踊ってしまう。

デジカメと携帯で撮影し、それからようやく手で捕まえる。
…やはりマルバネ、カブトムシ並の力がある。

っくぅぅぅぅぅぅぅぅうッ!!
たまんねぇっっ!!


ヨロヨロしながら車まで戻り、シートに崩れ落ちる。
ズボンの上に載せたマルバネは、興奮してビクンッ!ビクンッ!と体を震わせている。


オキマル採集


「っしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッッ!!!!」
もはや何度目かも分からぬ絶叫を繰り返し、マルバネを採集した実感を噛み締める。

もう、ほぼ諦めていた。
今回はダメだと思っていた。


いた。
採れた。




…最後の夜に、奇跡は起きた。







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沖縄島採集記2011秋 10月24日~25日

※<この採集記は、10月31日からの4話目になります。>※


後輩から「××という場所の池でコガタノゲンゴロウが採れますよ」という良い情報を貰ったので、大型のゲンゴロウ類は採りたいと思っていたし、これ幸いと行ってみる……と、その途中で良さげな川があり、ベニトンボ、ギンヤンマ、タイワンウチワヤンマ、タイリクショウジョウトンボなど色々なトンボが飛び交っている。
ここで2時間ばかりトンボ採り。

※写真はベニトンボ。
光の加減ではなく、実物もこんな紅イモみたいな色をしている。
ベニトンボ

なんか、沖縄にトンボを採りに来たんですか?と自問自答したくなる。

さて情報の池に行ってみたところ…………水面を覆い尽くす浮草。
ミッシリと、それこそ水面が全く見えない程に繁茂した浮草。
アメンボも水面を泳ぐことができず、浮草の上をピンピンと跳ねている始末。
これでは虫が落ちても波紋も立つまいに…。

それでもメゲずにガサガサと掬ってみると、5cmはありそうなゲンゴロウ類の幼虫が入る。
どうやらこの池で間違いないようだ。

それならば成虫を!

池の縁からジャブジャブガサガサと浮草を捨てつつ池を掬う。
時々入る幼虫。
小さなガムシの仲間や、ヤンマ類のヤゴもよく入る。
…が、ゲンゴロウの成虫は入らない。
ここまで採れないとなると、端境期の可能性も高い。
幼虫は時々網に入るのだから、コガタノゲンゴロウ自体は確実にいるのだ。

2時間以上は掬い続けたが、結局成虫はただの1頭も現れず、辺りが薄暗くなり始めた。

…と、見慣れぬトンボが視界に入った。
大きさはシオカラトンボぐらいなのだが、かなり素早く飛び回り、視界に捕え切れない。
いわゆる黄昏飛翔のトンボのようだが、ヤンマ類ではない。
それにしても何と言う素早さだ。
「いた!」と認識した途端にもう飛び去っている。
一体何者なんだ!?

飛行ルートを読みつつ勘に任せて網を振ること数回、運良くトンボをネットイン!
取り出してみると、黒っぽく、複眼が大きく、異様に腹部の細いトンボ。

オオメトンボ

オオメトンボという、奄美大島以南に生息するトンボであった(※後日、トンボ屋の友人に聞いて判明)。

その後、運良く交尾中で油断しているものを2ペア採集することができ、暗くなり始めたので急いで北部へと車を走らせた。

アカマタ、ヒメハブ、リュウキュウアオヘビ…
雨上がりは多数のカエルが林道に出てくる。
そしてそれを狙って多くのヘビも林道に姿を見せる。
…立派な本ハブまでいた。

しかし、それでもマルバネは現れない。
“もう今年は活動を終えて死んでしまったんじゃないだろうか…?”などという思いも頭に浮かぶ。
ヤンバルクロギリスの方がずっとレアだと思っていたのだが、こいつは数日に一度は見られるし、多い日だと一晩で4~5頭が姿を見せる。
ところがマルバネの方は、もう全くのゼロだ。

…正直、オキナワマルバネを甘く見ていた。
発生末期に近いとはいえ「2~3日に1頭ぐらいは拾えるっしょ。8泊もやれば3~4頭、上手くすれば5~6頭ぐらい採れるかも?」なんて考えていた。
まさかこれほど厳しいとは…
まさかこれほど採れないとは…

5晩連続のボーズ。あと……まだ3晩ある。まだ、チャンスはあるハズ…。


10月25日の夜明け。
これだけ車中泊が続くと少々体が痛くなってくる。
流しのあまりの採れなさに、時期的に厳しいとは思いつつも少しだけ夜の森を見てみようかと考え、下見をしてみようと林道を走る。
沖縄の森は大きな原生林とういうイメージが強いが、実は案外“本当の原生林”は少ない。
道沿いには雑木林のような細い木ばかりで、抱えるような巨大なスダジイ等はほとんど見られないのである。
更に、某林道の近くでは意図不明の大規模な伐採。

やんばるの伐採

それも、よく見ると伐採の境界線に見える木も細い木が多く、定期的に伐採されているんじゃないかという気がしてくる。
古い(と言っても数年前ぐらいの)伐採地跡に、グズグズに朽ちた伐採木が転がっていたので、試しに起こしてみたところ、その下から大きなコガネムシ科の幼虫。

オキナワカブト幼虫

一瞬、「まさかテ○ガコガネ…?」とか思ったが、彼らは大木の洞に溜まった堆積物の中で育つので、流石にこんな場所にはいないだろう。
となると……オキナワカブトムシ?
オキナワカブトは採った事がないし、幼虫採集なら自分の中で野外個体扱いなので、羽化させれば標本箱に並べられる。
4頭を見つけて朽木屑ごと袋に入れる。
またその際、朽ち木の下に隠れていたコカブトムシ成虫も1ペアをゲット。
沖縄のコカブトムシは八重山諸島の個体群と同亜種になっており、石垣島で2♀ほど採集しているが、沖縄本島では未採集だったので嬉しい収穫。

夜の帳が下りると、昨日までと同じ繰り返し。
ただひたすらに、ゆっくりと林道を流す。
路面を睨み続け、ひたすらトロトロと走る。
時速は10~20km/h程度で、狭い林道だと30km/hも出したら路面を確認できなくなってしまう。



……と、某伐採地にさしかかった時。

それは、明らかに大型で、黒く、そして動いていた。
頭の中で可能性をはじき出す。

サイズと丸っこいフォルムからしてクロギリスではない!

ウロウロする動きはゴキブリではない!

あのフォルムは明らかに大型の甲虫!

「期待はするな、期待はするな…!」
気を落ち着かせようと口に出して呟くが、5晩連続ボーズを食らって、ここにきて黒い大型甲虫の姿を見ては、期待するな・興奮するなと言う方が無理な話だ。

やっといた!やっと見つけた…!!

懐中電灯を引っ掴み車のドアを開けるのに手間取りつつも飛び出し、“それ”に向かって駆け出し…



















タイワンカブト




……。



……え……?



……ウソ……だろ?

体中の興奮が、血が、一瞬で冷める感覚。

二の句が継げない。

だって…夜の林道で…黒い甲虫で…だって…え…?


タイワンカブト


…こんなタチの悪いフェイクがあるだろうか。
5晩連続でボーズを食らい、ようやく見つけたと思った希望が……タイワンカブト。

全身から力が抜けていく。
ボーズの連続に必死で煽り立てていた心に、ピシリと音がして確実にヒビが入った。










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季節外れのノコギリクワガタ

沖縄採集記連載(?)中ですが、リアルタイムのネタが出てきたので閑話休題。


20111105ノコギリクワガタ

オオスズメバチの雄バチを狙いに埼玉県某所に行ってみたところ、準備不足で道具が足りずに挫折。
仕方ないので、今年ヒラタクワガタ7♂を提供してくれた御神木を見に行ったところ、秋も深まる11月だというのにクワガタのお尻が見えた。

「おお!まだコクワが活動していたか!」
と枝で突いてみたら、もたげた頭にはギザギザの大アゴ。

うっそ、ノコギリ!?

…目立つ欠けやスレもなく、まず間違いなく今年羽化して、越冬を待てずに出てきてしまった個体だろう。
う~ん、まさか11月に入ってノコギリクワガタを採集するとは思いもしなかった。

沖縄島採集記2011秋 10月22日~23日

※<この採集記は、10月31日からの3話目になります。>※



今日も暑さで目が覚める。
大宜見集落の辺りまで南下してみると、ポツポツとハイビスカスが咲いており、ツマベニチョウやシロオビアゲハなどの蝶が飛んでいる。
少し蝶でも採集するか、と道脇のスペースに車を止め、網を出す。

クワガタムシ中心ではあるもののカミキリやチョウ、トンボ、カメムシなど他の昆虫にも手を出しているので、昼間でも採る虫はいる。
良い獲物はいないかと探していると、かなり白化の進んだナガサキアゲハがいる。
「これは…!」とネットインしてみると、沖縄本島としては相当な白化度合い……なのだが、後翅が裂けており、飛び古した感のある個体。
う~ん…白化度合いは素晴らしいのに…惜しいっ!

ナガサキアゲハ白化♀(1)

シルビアシジミ、ウスキシロチョウ、アオスジアゲハ、ツマベニチョウなど色々な蝶が飛んでいるが、これといって採りたくなるようなものはいない。
周囲からはオオシマゼミの“…ミャン!…ミャン!…ミャン!”という鳴き声が響いてくる。
この時期にまだこれだけ元気なセミの鳴き声を聴けるとはなぁ…。

夜は再び同じように林道をゆっくりと流す。
既に発生末期に差し掛かり、マルバネは発生木から離れて歩き回っている時期なので、森に入っても期待は薄く、採集するにはただひたすらに車で流すしかない。

…どうにも自分は、この「流し」というのがイマイチ性に合っていないらしい。
森に入ったり林道を歩いて採集したりする場合、仮に目的の虫が採れなくても他に色々な副産物が採れる場合が多いし、木や草など自然物を見ながらになるので精神的に楽しい場合が多いだが、この「流し」というヤツは「ただひたすらに路面を睨み続ける」。
狙いの虫がいないと、ひたすらに人工物を見続けるだけになり、精神的にかなりシンドイ。
しかも同じ姿勢で運転し続けるために腕や肩が固まってくる。

昨日、コウモリが引っ掛かっていたミカン畑に仕掛けたトラップを見に行くと、少し大きめのクワガタの姿。
「よっしゃ!」と捕まえると、51~52mmほどのオキナワヒラタの♂。
まぁ大型とは言えないが、沖縄亜種らしさも出てくるサイズだし、良い収穫。

オキナワヒラタ♂(2)

今日が土曜日という事もあり、採集者も昨日までより明らかに多い。
…とは言え、ピークは過ぎているので5~6台というところ。
発生ピークである10月上~中旬には本当にゾロゾロと採集の車が走っているらしいので、それに比べれば微々たるものなのかもしれない。
まぁこのライバルの少なさを見込んで遅めの時期に設定したのだが……目的のマルバネも少ないのでは結局意味が無かったかもしれない。

数時間走ったものの一向にマルバネの気配はなく(他の採集者は採っているのかもしれないが)、疲れてきたので自販機のある場所で休憩する。
自販機の明かりには小型のシギゾウムシがいくつも飛来しており、休憩しながらそれらを摘まむ。
しばし休憩して再び走り始めるも、急激に睡魔に襲われ敢えなくノックアウト。
これで3晩連続ボーズ…。


翌23日、再びリュウキュウギンヤンマを採る。

リュウキュウギンヤンマ(2)

まさか10月の下旬にもなってヤンマ採りを再び楽しめるとは思っていなかった。
ヤンマ科やオニヤンマ科などの大型トンボ類はネットインした瞬間の「入った!」という感覚がなんとも快感で、クワガタ採集とはまた違った楽しさがある。
その他、南西諸島特有のハネビロトンボも2頭ほど採集。

ハネビロトンボ

更に大宜見集落も見に行くと、今度は比較的状態の良いナガサキアゲハ♀。
蝶屋さんの話によると、一応「短尾型」という軽微な変異型らしい。

ナガサキアゲハ(2)

ちなみにこのナガサキアゲハというヤツは近年日本列島を北上している虫のひとつで、十年前には東京で見るなどとは思いもしなかったのに、今では区内で最も普通に見られるアゲハになってしまった。
♂は黒地に僅かに青鱗粉が乗るだけで、日本国内なら何処でも同じような感じなのだが、♀は南に行くほど白くなり、沖縄ではほとんど『白いアゲハ』という感じになる。
ちなみに東京周辺で見られる♀は後翅に斑紋程度の白い紋が出るだけで、知らずに見ればとても同じ種とは思えない程に色彩が異なる。

そうして夕方、日課のようにガソリンの補給と食料の買い出しに行く。
山道とは言え、燃費の良いヴィッツでありながら毎日タンク半分ぐらいのガソリンがなくなっていく。
123円/リットルとかなり安いにも関わらず、毎日2,000~3,000円単位でガソリンを食われるのはナカナカにしんどい。
これでマルバネが採れていればまだ救いもあるのだが…

やがて日没。
“今夜こそは!”と気合を入れ直し、ハンドルを握り直す。

流し(1)

…しかし、不安材料もある。
知人から聞いた話によると、今年は発生ピークに来たにも関わらず、21晩連続ボーズを食らって帰ったという人もいるという。
そんな話を聞いてしまうと、「自分なんて発生末期だし、ボーズで帰る羽目になるのでは…」という不安が頭をもたげてくる。
採集は8泊9日で今日は4晩目、つまりちょうど半分になる。
オキマルの流し採集は確率論だけの話と思いながらも、「今日採れなければ、4連続ボーズ。となると、後半も4連続ボーズが起きる可能性があるという事に…」と思考がマイナスになりつつある。
そんなマイナス思考を振り払いつつ、必死に路面を睨んで走っていく…。


「マルバネ…マルバネ…マルバネ……」
うわ言のように呟きながら車を走らせる。
たまに「んっ!?」と思って慌ててブレーキを踏むが、落ち葉。
ケナガネズミが白い尾を振りながら慌てて逃げていくが、見てももう感動はない。
国の天然記念物で日本最大のネズミなのだが、マルバネよりよっぽど多い…。

しかし、4晩目にもなって未だにマルバネの轢死体すら見られていないというのは、本当に精神的に厳しい。
死骸だと悔しさが募ってしまうが、それすら見られないと「本当にまだ活動しているのか…?」という気持ちになってくる。


そして、深夜1時を過ぎる頃に急激な睡魔に襲われ、4晩目のボーズが確定する。
…これで既に4日。
あと4日しかない。でもまだ4日ある。
まだ希望はあるけど、心が折れかける………そんな半分が過ぎた。





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沖縄島採集記2011秋 10月21日

※<この採集記は、10月31日からの2話目になります。>※



今回の採集は宿ナシの車中泊。
10月下旬とは言え沖縄は9時を過ぎる頃になると陽射しが暑くて寝ていられなくなり、ノソノソと起き出す。
昨日仕掛けたバナナトラップを見に行ってみると、何か付いている。

コノハチョウ(1)

枯れ葉…?

いやいや、こんな不自然な付き方の枯れ葉はない。
バナナトラップに付いている時点で、正体は分かっている。
脅かさないようにゆっくりと近付き、携帯のカメラを起動して構える。

コノハチョウ(2)




…ゆっくりと翅が開く。

コノハチョウ(3)

コノハチョウ!

沖縄県の天然記念物の蝶で、翅の裏は見事なまでの枯れ葉擬態。
一方で表は紺とオレンジの鮮やかな色彩を持つ蝶だ。
蝶にも少しは手を出しているので憧れの種なのだが、残念ながらコイツは天然記念物。
撮ってもイイけど、採ってはイケナイ

そんなコトをしていたら、車の近くを大きなトンボが飛び始めた。
明らかにヤンマ級…ギンヤンマに良く似た色彩のコイツはリュウキュウギンヤンマだ。

リュウキュウギンヤンマ

その他、ウスバキトンボやベニトンボが数頭飛んでいたぐらいで、特段の収穫はナシ。

今夜は北部の林道を中心に走ろうと思い、明るいうちに環境を確認しておこうと走っていると、ミカン畑。
南西諸島では、山中のミカン畑は良いクワガタポイントになる。
「ここにもバナナトラップ仕掛けておこう!」と車を下りてみると、畑の上にネットが張ってある。
カラス避けかな…?と思ってよく見てみると、どうも何かが引っ掛かっているらしい。

コウモリネット(1)

近付ける所まで行って改めて見てみたところ、その正体が分かった。

コウモリネット(2)

「ハッピーハロウィン!」と言うには少々趣味が悪過ぎる。
正体はオオコウモリ。
クビワオオコウモリの沖縄亜種オリイオオコウモリだろう。
一般にコウモリというと蛾などの小昆虫を超音波で見つけて捕食する肉食性というイメージがあるが、オオコウモリの仲間は果実を食べる植食性のコウモリだ。
そのためミカン農家からしたら立派な害獣になってしまうのだろう。
このネットも、コウモリを狙って仕掛けてあるのだろうと思われる。
見れば5~6頭は引っ掛かっており、ミイラ化したものもある。

良いとはとても言えないが、農家からすれば作物を荒らす害獣あり、一方だけの視点で簡単に「悪」だと語れるものではない。
とりあえず、付近の木にバナナトラップを仕掛けておく。

そうして夜、“今夜こそは!”と意気込みも新たに走り出す。
…と、昨夜ヒラタ♀が付いていたトラップに、またも小さいクワガタの姿。
採ってみれば、これまた小さいオキナワヒラタの♂だ。

オキナワヒラタ♂

ドチビながらオキナワヒラタのペアが揃ったワケだ。
オキナワヒラタは沖縄では最普通種のクワガタだろうが、嬉しいものは嬉しい。

さて再び視線を路面に移して走っていくと、今度はコオロギとカマドウマを足して2で割ったような真っ黒いバッタが現れる。
触角が異様に長く、翅は無い。

こ、これは、ヤンバルクロギリスってヤツですか!?
1995に新種として記載された虫で、沖縄のやんばる地域にだけ生息している。(近縁種が八重山に生息)
異様に長い触角がナカナカに格好良い。
格好良いのだが……正直、マルバネが採れてからにして欲しい。
本命が採れないうちから「面白い副産物」が現れても、心から楽しめない。

気を取り直して進むと、前から明らかに「マルバネ採集中」という感じの車が来る。
道が狭いので、待避スペースで避けて待っていると、向こうが横で止まる。
採集者同士のご挨拶、だ。
こちらも窓を開けると、「どうですか?」と聞かれる。

ええ、まだボーズです。

「いや…採れないですね…。採れました?」
問うと、向こうはどうにも上機嫌。
「自慢じゃないんですけど、大歯型採れましたよ。」

ナンダッテー!?

「見ます?(今年は)昨夜から来てるんですけど、いやー大歯型はすごい久しぶりだから誰かに自慢したくって…」

自慢じゃん。

…こちらの返事を聞くまでもなくケースを出そうとしてくるが、こちらは同じく昨夜から入っているのにボーズだし、沖縄で最初に見るオキマルは自分で見つけた個体にしたかったので、折角の申し出ながらお断りさせて頂いた。
聞くと、今夜は2頭採れていると。

そうか…いるのか…。

オキマルの流し採集というのは本当にタイミングの勝負で、運次第なのだ。
どんなに頑張っても採れない時は採れないし、軽くやっただけでも採れる時には採れてしまう。
均等には行き渡らないのである。

だが、採れるというコトはまだ可能性は十分にあるという事。
その人とすれ違い、再びゆっくりと走り出す。

路面の怪しい影を見つける度に車を止めて確認するが、松ぼっくり、大きなカタツムリ、タイワンクツワムシ、ヤマナメクジ、シリケンイモリ…本命は現れない。
ヒメハブ、アカマタなどの蛇や、ハナサキガエル、ホルストガエルといったカエル類も出てきている。
そういう生き物の姿を見るのも楽しいのだが…楽しいのだが…しかし……


マルバネがいません…(泣)





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プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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