我が家の奇形さん(2)

週末で新潟にスキー旅行に行ってきました。
まぁ今回は完全にスキーのみで昆虫採集はカケラもやっていないのでブログには載せませんが。
…ちなみに、十年以上前に家族&親戚旅行でスキーに行った際、中日に自分だけゲレンデ行かずに崖掘ってた事はありますよ、ええ(笑)


さて、我が家の奇形さんシリーズ、その2です。
…今回は1頭だけですが。

数年前に北海道で採集した奇形のノコギリクワガタ。

奇形ノコ-1

斜め前からの画像だと、遠近感覚も相まって、まぁ「大アゴの太い個体」というぐらいにしか見えないのだが、真上から見てみると…









どんっ!
奇形ノコ-2

…正直、“カッコイイ”とか“すげぇ”を通り越して、第一印象は「キモチワルッ!」だった。

北海道某所のミヤマ天国。
ヤナギやミズナラ等そこら中の枝にミヤマクワガタが付いており、しかもサイズのアベレージが高い。
65mm級はレギュラーサイズで、70mmUPも珍しくない。
7月上~中旬だとミヤマが優先種となっている場所ではあるが、下旬以降はノコギリが数を増して優勢となる。
そんな場所で、ヤナギの枝に付いていた個体。

サイズも65mmぐらいで立派な個体なのだが、それより何よりこの異様な大アゴが目を引く。
大アゴが左右で食い違うものや、片方だけ短い、といった奇形は少ないながら見掛けるが、こんな異様な奇形は後にも先にもこの1頭しか見た事がない。

一体、何がどうなるとこんな大アゴになってしまうのだろう…。
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ハガロン

ハガロン

ハガロン。

これは一体何かと言うと、実は切手剥がし用の薬品です。

ところが、これが甲虫の軟化に使えるという事で一部の甲虫屋さんの間で大流行(?)しているのです。

使い方も簡単で、軟化したい箇所に適下しておくだけ。
先日紹介した部分軟化(→部分軟化)と同じ要領で使えます。

更に、コルリクワガタ等の小型種昆虫なら浸るぐらいに垂らしておくと、状態の良いものなら5~10分ほどで全身軟化できてしまいます。

ハガロン軟化-1

関節が柔らかくなったら、あとは以前に紹介した通り展足して標本にするだけ(→小型甲虫の標本の作り方)。
(※正確には、タトウに入ったままでもきちんとデータが付いていれば立派な“標本”なんですが、ここでは“マウントされた標本”という意味で)

大型の画材店なんかで扱っていますが、「昆虫文献 六本脚」という昆虫書籍・用品のお店でも販売しています。
価格も30ml入で250円程度と手頃なので、気が向いたら試してみてはいかがでしょうか?
(→昆虫文献 六本脚ホームページ


小さい種を軟化するのにイチイチお湯を沸かすのも面倒くさい…
そんな時は、このハガロンで。

瑠璃と錦

オキナワルリチラシ

オキナワルリチラシ
南西諸島~本州中部まで生息する蛾の一種で、非常に美しい。
表は艶消し茶色の前翅に白紋と瑠璃を散らし、後翅は白黒に瑠璃を散らす。
地味な中に煌びやかさを散りばめる“瑠璃散らし”。
ところが裏返してみると、翅裏には贅沢に金青色の鱗粉を散らし、ド派手な美しさ。
表と裏で全く印象が異なるが、どちらを見ても“瑠璃散らし”なのは見事。

これは沖縄本島産で、この種は南西諸島ではいくつかの亜種に分かれており、南に行くほど美しさが増していく傾向がある。
本州で見られるものはもっと地味で、八重山の個体群はこれより更に美しくなるようだ。


…ところが、日本にはこれに近い仲間で更に美しいものがいる。


それがコレ。

サツマニシキ

サツマニシキ
この標本個体はちとスレてしまっているが、それでも翅全体が絢爛豪華に輝いているのが分かる。
美麗という意味では日本でトップクラスに美しい蛾だと思う。
何て言うかもう“何のためにそこまで!?”と言いたくなるほど無駄に煌びやか。
大きさもサツマニシキの方が二回りぐらい大きく、立派。

瑠璃と錦

最初に“美しい美しい”と言ったオキナワルリチラシが、サツマニシキと並べた途端地味に見えてしまう程だ。


…ちなみにこの2種、両種とも触っても毒は無いのだが、危険を感じると首の辺りから大量の黄色い泡を出しまくる。
しかもその量が尋常でなく、体中の体液全部出してんじゃないかってぐらい大量に出てくる。

以前、沖縄でサツマニシキの新鮮ド完品ピッカピカの個体を採集したのだが、チョウと同じつもりで胸を押したら大量の泡を出し始め、いつまで経っても泡が止まらない。
このまま三角紙に入れたら中で泡でベタベタになってしまう…と思い、苦肉の策でティッシュで胸部を挟んで三角紙に収めた。

…が、これが大失敗

しっかりと胸を押せていなかったのか、三角紙の中でサツマニシキが動き回り、最悪な事にティッシュが翅の表側に入ってしまい、新鮮ピッカピカだった翅表が鬼スレ状態に…。

正直、この時の沖縄で一番嬉しい収穫だっただけに、本気で泣きたくなった

その教訓を生かし(?)、昨年沖縄でオキナワルリチラシを採集した際は胸を押さず、できるだけ刺激を与えないようにそのまま三角紙に包んで持ち帰り、冷凍庫で殺虫して展翅した。
おかげで美しいまま標本にする事が出来たが、サツマニシキの後悔は今でも尾を引きずっている…orz


嗚呼…もう一度、新鮮なサツマニシキに出遭いたい。

百均のハガキ用紙

近所の100円ショップに行った時に見つけたハガキ。

百均ハガキ

標本に付けるデータラベルの紙というのは、特に用紙の規定はありません。
酸性紙だと経年劣化でボロボロになってしまったり、あまり薄い紙だと水分等で丸まってしまいますが、多少厚みがある中性紙なら基本的には何でも使えます。
無地ハガキや無地の名刺紙なんかを使っている人も多いようです。
(※ラベルの書き方・作り方は過去記事参照→(データラベルの書き方)(データラベルの作り方))

で、コレです。
郵便局で官製ハガキを買ったら一枚50円も取られてしまいますが、別に郵便局で買わなきゃいけないものでもありません。
家電屋で売っている用紙でも構いませんし、100円ショップでも売っています。
宛名面の切手と郵便番号枠を気にしなければ、一枚あたり65枚~84枚ぐらいのラベルを作れます。

百均ハガキラベル

裏面に枠線が出るのが気になるようなら、その部分を避けて印刷すれば大丈夫ですし、それでもハガキ一枚から50枚以上は作れます。
普通のお店で買うより、はるかに安上がりかと。

調査や本格的な採集遠征など同所で大量に採集した場合はB5版などの大きな紙で一気にラベルを大量作成するのも良いですが、基本的には版型の大きい紙(B5やA4)というのは持て余してしまう事の方が多いため、ハガキや名刺サイズの紙でこまめに作る方が適しています。


100円ショップというのは採集・標本用品に使える物が意外と沢山あります。
材採や小型種採集用のルアーケース、タトウ保管用のタッパーウェア、半紙、ピンセット…等々、釣り具屋・東急ハンズ・ホームセンターと並んで、応用品の宝庫です。
特に大型ショップを見掛けたら、覗いてみると意外な物を見つけられる事があります。

その際は、店内をくまなく歩いてみる事をお薦めします。
頭の中に思い描いている“道具”が意外なコーナーにあったりします。
タトウの半紙は文具コーナー、ピンセットは救急用品や女性用ネイルコーナーにある事もあります。「吹き流しトラップに使えるじゃね?」という物を洗濯用品コーナーで見掛ける事もありますし、バナナトラップ用のストッキングは当然女性用コーナーです。

お役立ち品は、何も工具とアウトドアコーナーだけとは限りません。

お見逃しなきよう。

渋谷に志賀昆は既になく…

1月21日。
知人に頼まれていた酢酸エチル(→酢酸エチル)を入手するため、久々の渋谷へ。
…宮益坂方面はまだ人が少ないから良いんだよね。
道玄坂方面はホントに人だらけで疲れるんだ…

…で、まぁ懐かしの宮益坂上まで行ってみると、かつての志賀ビルはすっかり様変わりしてGnoble(グノーブル)とかいう大学受験予備校に。

元・志賀ビル

既に以前の志賀ビルは取り壊されて新しく建て直されているので面影はないが、旧ビルは“この辺”にでっかく志賀昆虫と書いてあったんだよなぁ…とか感慨深く思ったり。

元・志賀ビル-2

んで、とりあえず酢エチ買いに行くべと青山通り薬局に行ってみると、

…ん?
おや、名前が変わってる。

クオール薬局

店構えや内装はそのままだったが、名前がクオール薬局に変わっていた。
個人経営からグループ傘下に入ったってコトなのかな。

最初に対応してくれたお姉さんは『酢酸エチル』が通じなかったので“常備するのをやめてしまったのか!?”と焦ったが、奧にいたお兄さんが分かってて出してくれたので一安心。

グループ傘下に入ったからか知らないが、譲渡書も少し体裁が変化しており、“使用目的”の欄はなくなっていた。
でもまぁ、毒劇物である事に変わりはなく印鑑身分証明書が必要な事に変わりはなく。

その後は中野のむし社に行き、K林さんやY口さん達と2時間ぐらいお喋りして、月刊むしの最新号(カミキリ特集号)を買って帰途に。


…まぁ今回は、虫は直接出てきませんが昆虫関係の日記という事で。



※なお「志賀昆蟲普及社(志賀昆虫)」は、現在は品川区の戸越銀座に移転しております。
詳細記事は以下をご参照下さい。
 ↓↓↓
志賀昆蟲普及社

うちの外産ミヤマ標本

わたくし虫けら屋はもともと収集よりも採集が好きなので、購入が主となる外国産標本はあまり持っていません。
なので、好きなLucanus属についても特に海外産を収集したりはしていないんですが、以前に多少まとめて捨て値で手に入る機会があったため、ちょっとだけ持っていたりします(各種雌雄合わせて計20頭チョイぐらいかな?)。

…ただ、前の持ち主の標本の扱い方がかなり悪く、全身に乾いたカビの菌糸が絡まっていたり、フ節があちこち飛んでたり、針が小楯板だの鞘翅のやたら下の方に斜めに刺さってたり、針が途中で45°ぐらい曲がってたり。
ついでに思いっきりケンカ傷(穴)が付いているものも。
まあそんな状態だからそのままコレクションにするのは嫌だし、かと言って進んで手を付ける気にもなれないんですが……それでも折を見て少しずつクリーニング&展足しています(一応、針刺し標本なんですが、お世辞にも“展足してある”とは認められない…)。

いや~ヒドいヒドい。
軟化してティッシュでゴシゴシして死んだ菌糸を拭ったり、表面に毛の無いヤツはボンドパックしたりして、その上で展足をキメてようやく“なんとか見られる状態になるか?”という感じ。
もうクリーニング&展足の前と後では「劇的ビフォー・アフター」状態(笑)

標本クリーニング前→後

針も全部交換(ブラックエナメル針が刺さってるヤツなんて、中で錆びてるし)。
大アゴがカッチカチで動かないヤツは、頭を取り外して内側の筋肉をピンセットで取り除いて。

マザマミヤマ(頭はずし)

軟化した途端にフ節が2~3本取れたりするから、どこのパーツか分からなくならないように保管。
まさに壊れた古いプラモデルを直してる気分ですよ(笑)

…で、展足しながらBE-KUWA片手に絵合わせで名前を調べてみる(大図鑑出すのが面倒臭くて…まだ旧版しか持ってないし)んですが、意外と良い虫が入ってたりしてちょっとビックリしたりする事も。
ただ、本当に「その時の気分で、手に入れやすかった物から買っていった」感じで、オマケに小型種が多く、カンターだのメアレーだのセリケウスだのルニフェルだの人気大型種が抜けてるわりに、バルバロッサだのマザマミヤマだのが入っていたり。
タカサゴ、チョウセン、タイワン、ヘルマンは入ってましたが、ヨーロッパミヤマはケルブスだけ。
なんとも不思議な集め方だなぁ……それとも、自分が海外産種の収集をあまりしていないからそう思うだけなのか?

ちなみに、1960~70年代の採集モノが多く、中にはdet.ラベルが付いているものまであったりするんですが……その同定者を知らないのでナントモ…(^^;

プラキドゥスdet.ラベル


…それにしても、標本の状態はともかく、こういうベースがあると確かに「ちょっと世界のミヤマを集めてみたいかも」と思いたくなったりもしますね。

財布が泣くのでやりませんが

それに、10種買うより1種採る方が楽しいしね。
ただ、国産3種の親戚(パリーやラエトゥス、プラネット、ボイレアウ、とかかな)ぐらいは持っていたい気もするなぁ……

…などと思い始めるのが既に危険な兆候ですかね(笑)

子持ち蝉

まずは下のミンミンゼミの画像を見て下さい。

セミヤドリガー1

…何か違和感を感じませんか?
同じような写真をもう1枚。

セミヤドリガー2

…ミンミンゼミの腹部に、白い塊がくっ付いているのが分かるかと思います。
これ、実は虫の幼虫です。
上写真は全部で4頭(1頭は薄茶色)、下写真は3頭の幼虫が付いています。
そんなワケで、タイトルが子持ち蝉なワケです。

…と言っても、これはセミの幼虫ではありません。
では何の幼虫かと言うと、実は蛾の幼虫
その名もセミヤドリガという、セミに寄生する蛾なんです。

幼虫はセミの体液を吸って育ち、やがて成熟するとセミから離れて繭を作って蛹化し、羽化します。
羽化した成虫はすぐさま産卵し、そのまま次の世代へと命が引き継がれていくそうです。
「羽化してすぐ」ということは交尾もしないという事で、この蛾は♀だけで単為生殖すると言われています。

…なお、この蛾は野外で成虫を見つけるのは非常に困難らしく、私もまだ見た事がありません。
成虫を得ようと思ったら、写真のように白い蝋物質をまとった幼虫が付いたセミを捕まえ、蛾を羽化させるのが一番だそうです。

昆虫には、このように変わった生態、変わった姿、面白い行動のものがたくさんいます。
そういった虫達も、今後少しずつ紹介していけたらと思います。



…ちなみに、セミヤドリガは野外で見られる幼虫のうち99%以上がヒグラシに寄生しているそうですが、ヒグラシが見られない都市部などではアブラゼミやミンミンゼミに寄生しているのも見られます。
写真は2枚とも、千代田区の某神社の周辺で撮影したものです。

部分軟化

展足し、乾燥を終えていざマウントしようとした時に、フ節や触角が曲がってしまっているのに気付くことがあります。

部分軟化-1

まぁ「仕方ない」と妥協しても良いのですが、どうにも気に入らなかったりする事もあります。
でも、全部軟化してまた一から展足し直すのはあまりにも面倒…。

そんな時は、修正したい一部だけを軟化、つまり部分軟化をします。

フ節なんかだとやり方は簡単で、小さく切ったティッシュを濡らして軟化したい箇所に当てておくだけ。
数分~十数分も待てば柔らかくなり、そこだけ展足し直す事が出来ます。

…しかし、触角など浮いた状態のパーツだとティッシュを乗せておくのも難しかったりします。

そこでピンセットが登場します。

ピンセットを軽く閉じて水に浸し、
部分軟化-2
そのまま静かに水から引き上げると…
部分軟化-3
ピンセットの間に少量の水分が吸い上げられます。

…で、それを軟化したい箇所に水滴として付けます。
この場合は触角の中程ですね。
部分軟化-6

無論、普通に脚などでも同じ方法で軟化できます。
部分軟化-4

…で、待つこと数分~十数分。
水を付けた部分だけが軟化されますので、そこだけ展足し直します。
部分軟化-5


フ節や触角など先端部分のみの再軟化の場合、1週間ほどで乾燥しますので、乾燥が済んだらラベルを付けて標本箱に入れる事が出来ます。

“展足が一部だけ気に入らないけど、全部やり直すのは…”なんていう時に、この部分軟化は力を発揮します。
また、触角などは一度の展足だけだとビシッとキマらない事もあり、全体を展足して乾燥させた後、触角のみ再軟化して整え直すことも可能です。


展翅や展足は本来標本を検分しやすくするために行うもので、見やすくさえなっていれば本来の目的としては十分であり、それ以上に“美しく仕上げる”のは所詮は個々人のこだわりの世界です。
…しかし、だからこそキレイに展足して美しい標本にしたいと思うもの。

この部分軟化もまた、こだわりの展足のためのテクニックです。

近所で虫探し

1月13日。
なにやら私事系の記事が続いていますが、“虫のタイムリーネタは出来るだけ新鮮なうちに”というのが勝手なポリシーなのでご了承下さい(…というコトは、シーズンに入れば必然的に採集系の記事が増えるってコトです、はい)。

先日、神奈川でイラガの寄生繭を探したものの今ひとつ不発で、ならば家の近所にはいないモンだろうかと自転車で探し回ってみた。

…だがしかし、古い空繭は見つかるものの、セイボウの寄生痕のある繭はおろか中身が入った繭が皆無。
何ヶ所か心当たりの梅林などを探してみるが、どこも中身が入った繭自体が見つからない。
今住んでいる辺りはおそらくここ10~20年で急速に開発が進んだ地域のため、もしかするとそれに伴ってイラガは激減か、絶ってしまったのかもしれない…。

見つからないとどうしても浮気をしたくなってくるもので、樹皮がボロボロになったケヤキを見つけてペリペリと樹皮剥がしなど始めてしまう。

ケヤキ樹皮

ケヤキは大木になると樹皮がヒビ割れて剥がれていくのだが、この剥がれかけた樹皮の下というのは小さな昆虫たちにとって格好の越冬場所となる。
そのため、浮いた樹皮を剥がしていくと色々な虫達を見つけられる。

…いたいた、チビタマムシだ。
チビタマムシsp.

体長2mm程度の小さな虫なので、携帯のマクロ撮影機能でもこの程度にしか写らないが、写真の中心にいる灰色っぽいマダラ模様のヤツがそうだ。
ルーペ撮影をすればもう少し大きく写せるのだが、あいにく持ち合わせておらず。

…さらに剥がすと、いきなりヤモリ。
越冬ヤモリ

出てくるとは思わず、小さな虫に目が慣れていたので突然の巨大な姿にビックリしてしまった。
…野外だとこんな所で越冬するのね。
せっかく寝ていたところをゴメンよ…。

その他に、雑甲虫やらグンバイムシなんかも出てきたが、期待していたヒシモンナガタマムシは出ず。
残念。

…ちなみに、樹皮剥がしは昆虫採集の方法のひとつではあるが、昆虫たちの越冬場所を破壊してしまうし、やり過ぎれば樹木自体を傷める可能性もある。
観察程度なら良いと思うが、片っ端から全部剥がしてしまうようなのは控えておきましょう。


そんなこんなで、ふと見れば富士の向こうに夕日は沈んでしまった。
富士と日没

…ってトコロで、ようやくイラガの中身入り繭を発見。
まだ生き残っていましたか!

分単位で暗くなっていく中、なんとか中身入りの繭を3つ発見できた。

イラガ寄生繭(川)

上の写真の繭は間違いなく“当たり”のセイボウ寄生だと思うが、残り2つは寄生痕なのかただの汚れなのか微妙…。
まぁイラガが出ちゃったら、それはそれで標本にしておけばいいか。


自分は、他で既に採っている虫でも、“地元産”など特定のラベルの虫というのは集めたくなってしまう(…と言っても、そんなに一生懸命に集めてるワケじゃないけど)。
以前、千代田区の某会社に勤めていた頃は、昼休みに千代田区某所で昆虫採集をして「千代田区某所ラベルの虫」なんて集めていたりもした。
おかげで、千代田区産のヤマトタマムシなんて標本を複数頭持っていたりする。

なかなか千代田区ラベルのタマムシを持っている人はいなかろう…と時々悦に浸ったりして(笑)

夏の名残り

1月11日。
ちょっと用事で、午後から自転車で1時間ちょっとの所まで。
…用事は果たせなかったんですが、ついでにヒラタの御神木を見に立ち寄ってみると、その根元には確かに夏の名残りが。

夏の名残り

この木は既に半枯れ状態で、枯れる間際に樹液をダラダラ垂れ流しているような状態なので、いつ枯れてしまうか気が気でないのですが、見上げた梢には新しい芽が付いていたので、とりあえず今年はまだもってくれそうかな?

クヌギの梢

昨年はこの木だけでヒラタ7♂(MAX55mmUP)が採れており、自分にとってはヒラタの御神木。
少しでも長くもってもらいたいものである。

今年も大型ヒラタを採らせて下さいませませ。







※追記※
「小型甲虫の標本の作り方」に、接着剤の話や台紙の話を多少追記しました。
(→小型甲虫の標本の作り方

スズメノショウベンタゴ

1月9日。
2012年初採集は、とあるモノを探しに神奈川県は丹沢の麓まで行ってきた。
そのとあるモノは梅林などで見られるので、枝先を一本一本丁寧に見ていくと…

イラガ空繭

…梅の枝に付いたこの小さな不思議な丸いもの。サイズは1.5cm程。
その名も「スズメノショウベンタゴ
…タゴとは昔の言葉で「入れ物・容器」のことで、つまりスズメの小便容器という意味。

まぁ実際にスズメの便所であるワケはなく、実はイラガという蛾の繭の、蛾が羽化して抜けた後の空繭である。


…が、これは今回の狙いとしては「ハズレ」。
当たりはと言うと、こんなの。
セイボウ産卵痕

模様は違えど同じイラガの繭玉。
ただし同じ繭玉でも穴が開いておらず、上にポチッと黒い点のあるもの。


…じゃあ狙いはイラガの成虫?

いやいや、実はこのイラガに寄生する蜂が狙い。
その名も、イラガセイボウ(またはイラガイツツバセイボウ)。

イラガの蛹専門に寄生するハチで、この上の黒い点は実はセイボウの産卵痕。
冬にこの寄生された繭玉を探し、持ち帰って春まで置いておくと中から蜂が羽化してくるというワケ。

…んで、出てくるのはこんな蜂。

イラガセイボウ

金青緑色に輝く美しい蜂で、体長は1cmほど。
宝石のように美しい虫だ。
1cmというと小さく感じるが、セイボウの仲間としては大型。

ちなみにセイボウとは漢字で「青蜂」と書き、イラガセイボウはその名の通り金青緑色の蜂だが、この仲間には赤っぽい種なんかもいて必ずしもセイボウ全部が青系でもない。
だが、どれも美しい金属光沢をもっており、負けず劣らず美しい。


この時期、春夏と違って網を持ってガチで追いかけ回すような虫はほとんどいないけど、こんな風に今の時期しか楽しめない採集もある。
クワガタがメインの自分なので夏が待ち遠しいのはどうにも否めないが、冬だからといって閉じ籠ってばかりいないで今の季節にしか楽しめない採集を楽しまなくては。

里山風景

小型甲虫の標本の作り方

ハムシや小型のカミキリムシなど、比較的小さい昆虫の展足標本を作る方法です。
クワガタで言えば、ルリクワガタやマダラクワガタ等はこの方法で標本を作る場合が多いです。

先に紹介した大型種の標本作製(→クワガタの標本の作り方~基礎編~)との一番の違いは、昆虫に直接を針を刺さないという事です。
昆虫標本は昆虫針を刺すのが基本ですが、小さな虫の場合、無理に刺そうとすると圧力で体が壊れてしまう危険もあります。
そこで、小さな虫の標本を作る場合、「台紙」という紙に虫を貼り、その紙に昆虫針を刺して標本にします。

まずは展足ですが、これも大型種のように針で押さえて展足しようとすると針だらけになってワケが分からなくなってしまいます。
そこで、以前に御紹介したタトウ(→タトウ)が登場します。

タトウのカット綿の上で、ツメやトゲを綿に引っ掛けるようにして形を整えていきます。
…が、最初は勝手が分からず苦戦するかもしれません。
コルリ標本タトウ乗せ

コルリ標本展足

また、針展足ほどキッチリとは形がキマりません。
コツ…と言える程のものはありませんが、強いて言えば(タイミングが難しいのですが)死後硬直が解けてフニャフニャの時よりも、ほんの少し乾き始めて関節は柔らかく動くけど、動かした形のまま元に戻らないぐらいの状態で展足するコトでしょうか。
…ただしこの方法だと、タイミングを誤るとフ節などの細かいパーツを折ってしまう危険もありますので万人にオススメできるものでもありません。
なので、最初は展足がアマくなるのは仕方ないと諦めて、やり方をしっかりと覚えていく方が良いかもしれません。

展足ができたら、タトウの表に「いつ」「どこで」「誰が」採集したかというデータを記入し、タトウに入れたまま乾燥させます。

コルリ標本タトウ

陽の当らない風通しの良い場所に置いておいても良いですが、タッパーウェアなどの密閉容器に乾燥剤を多めに入れて一緒に封をしてしまうのが保管も容易なので良いです。

その状態で1ヶ月ぐらいすると乾燥して関節等も動かなくなりますので、そうなったら次の作業に入ります。
最初に出てきた「台紙」に貼る作業です。

まずは、前もって台紙に昆虫針を刺しておきます。
針の太さは特に決まりはありませんが、細過ぎると不安定になりますし、太過ぎると悪目立ちしてしまうので、2~3号を使用する人が多いようです(※ちなみに私は有頭シガ針の3号を使用しています)。

コルリ標本針と台紙

台紙は自分で厚手の紙を切って作製しても良いですし、多数使うのであれば市販品もあります。
写真のものはイタリア台紙という市販品(イタリア製)の4号サイズになります。
端に入っている三本線は昆虫針を刺すためのガイドで、複数の台紙を準備した際に必ず同じ位置に針を刺して美しく揃えられるようにするためのものです。
(台紙の種類によってはガイド線が無いものもあります。)

あとは乾燥させた虫を台紙に貼って高さを調整し、下にデータラベルも一緒に刺せば標本は完成です。
※データラベルの書き方・作り方については過去の記事をご覧下さい。
データラベルの書き方)(データラベルの作り方

コルリ標本完成

なお、接着剤については以前はニカワがよく使用されていましたが、最近では木工用ボンドがよく使われています。

木工用ボンド

コンビニでも簡単に手に入りますし、扱いも容易です。
また、標本というのは、研究に使う場合は台紙から剥がして腹面を観察したりする必要もありますが、木工用ボンドは水溶性のため水に浸けるだけで簡単に剥がせるという利点もあります。
(※瞬間接着剤を使う方もいますが、これだと簡単に剥がせなくなってしまう為、個人的にはボンドをお薦め。また、手間が掛かっても良いなら昔ながらのニカワが保存性の面では一番良いようです)

標本やラベルの高さ調整には、これまた以前に紹介した平均台(→平均台)が非常に有効です。
少量なら目見当で合わせても良いですが、多数の標本を作る場合は平均台は欠かせません。


※ちなみに、今回ご紹介したのは通称縦貼りと呼ばれるタイプで、この他に横貼りと呼ばれるタイプの台紙もあります。

コルリ標本台紙タイプ

また、市販の台紙でも虫の大きさに合わせて様々なサイズがありますので、どのぐらいの大きさの虫の標本を作るか等によって使い分けていきます。
(※なお、セルロイド製の透明な台紙というのも市販されていますが、これは防虫剤等の薬品で変質してしまったりすることがあるため、可能であれば厚手の紙で作られたものをお薦めします。ちなみに、薄めの紙だとボンドの水分でヘタッてしまう場合がありますので、自作される場合は厚い紙を選んで下さい)


なお、「どのぐらいの大きさ以下なら台紙に貼るか」「どれぐらい以上の大きさなら直接針を刺すか」については人によって好みが分かれる所で、厳密な決まりはありません。
ルリクワガタ級なら基本的に台紙貼りですが、ネブトクワガタの大型サイズだと針を刺す人もいますし、台紙に貼る人もいます。
カミキリムシだと、トラフカミキリぐらいだと台紙に貼る場合が多いですが、針を刺すこともあります。
虫のグループや各人の好みでも分かれる所なので、自分の中で「どのぐらいの大きさ以下なら台紙に貼る」という境界線を決めておくと良いでしょう。

シロテンハナムグリ

クヌギ林で樹液採集をしていると、カナブンと並んで最も普通に見られる甲虫の一種です。

あまりに普通に居過ぎてつい見過ごされがちですが、実は日本産ハナムグリ亜科(シロテンハナムグリやカナブンの仲間)の中ではトップクラスに色彩変異に富んだ種で、意外とコレクション向きの虫です。
普通に見掛ける茶色系やたまに見掛ける緑色系のほか、ピンクや紫などの赤系、更にというタイプもあります。
そしてそれぞれの間もグラデーションで並ぶぐらい個体変異が様々で、集めてみると案外面白いのです。

シロテン色彩変異-1

シロテン色彩変異-2

シロテンハナムグリは成虫越冬し、春から成虫の姿を見られます。
春~初夏の樹液が少ない時期にはハルジオンなどの草本の花やクリやアカメガシワなど木本の花に来て樹液や花粉を食べ、やがてクヌギなどの樹液に多く集まるようになりますが、一回り大きなカナブンが増えてくる時期になると一時期的に数を減らし、晩夏~秋になるとまた数が増えます。

ちなみに、このシロテンハナムグリに似た種というのが意外と多く、更にそれらも樹液に集まるものが多く、見慣れていない人には他の種も「シロテンか…」とスルーされている事が多かったりします(…それどころか、全部ひっくるめて『カナブン』と呼ばれてしまう場合もありますが)。
シロテンと、よく似た種を3つほど並べてみました。

シロテンと近似種

左から、
シロテンハナムグリ
シラホシハナムグリ
ミヤマオオハナムグリ
ムラサキツヤハナムグリ

(携帯画像なので実物以上に差異が分かりにくくなってしまっていますが)こんな感じで非常に良く似ており、知らなければ全てシロテンハナムグリに見えてしまいます。
この他にも似た種はいますので、それらを含め、今後少しずつ紹介していけたらと思います。


クヌギ林の常連、シロテンハナムグリ。
駄虫だ外道だと言わず、ちょっと目を向けてみてはいかがでしょうか?

甲虫の軟化(1)

乾燥等により関節などが固くなってしまった虫を、水分などを加えて柔らかくする事を軟化(なんか)と言います。
標本を作るにあたり、展足や展翅をしようと思ったら、虫が固いままだと無理に動かせば虫体が壊れてしまいます。
そこで、一度虫の体を柔らかくし、形を整えた上で改めて乾燥させて標本にするワケです。

さて今回は、クワガタムシをはじめ甲虫類の最も基本的な軟化方法です。

数頭の採集であれば虫体が柔らかいうちにそのまま展足して標本にしてしまえば良いのですが、多数を採集した場合や、忙しくてすぐに展足していられない場合などは、一度タトウに置いて乾燥させ、都合の良い時に軟化して展足する方法があります。(※タトウについての説明は、過去記事「タトウ」をご参照下さい)
この方法なら、きちんと保管しておけば採集から何年後でも軟化して展足する事ができます。
特に標本中心の昔ながらの虫屋さん(私自身もそうですが)は、シーズン中はもっぱら採集に出ることが多く、標本を作っている暇がないため、採集した虫は基本的にタトウで乾燥させ、秋から冬の比較的時間のできる時期に軟化して展足する事が多いのです。

また、飼育していて、ついうっかり死なせたままカラカラになってしまったような甲虫も、同様の方法で軟化してキレイな標本にする事ができます。

…なお、人によって少しずつ方法は事なりますので、一例として見て頂ければと思います。


まずタッパーウェアなどにティッシュを敷き、その上に軟化したい虫を置きます。
脚が一応広がっているのであれば表裏はどちらでも構いませんが、死んでそのままで脚が丸まっているなら裏返しに置きます。

甲虫の軟化ー1

その上に、虫が浮かないようにもう一枚ティッシュを乗せ、その上からお湯を注ぎます。

甲虫の軟化-2

…ちなみに、ティ○ァール等の電気式の湯沸かしポッドがあると、少量のお湯を沸かすことができるので便利です。

甲虫の軟化-0

60℃ぐらいのお湯で数時間~半日ほど掛けて軟化するのが一般的ですが、クワガタムシなど変色の心配がないような虫で、確実に腐敗していないのであれば沸かした熱湯を注いで1時間程で一気に軟化する事もできます。
ただし、腐敗している場合には虫がバラバラになってしまったり、また虫の種類によっては熱湯で変質してしまう場合もあります(※以前、ヤマトタマムシを熱湯軟化したところ、複眼が変質してしまいました)ので、注意が必要です。

頃合いを見計らって虫を取り出し、関節を軽く動かしてみます。
この時、“ピシッ”とか“パキッ”とか香ばしい音がしたらまだタイミングが少し早いので、もうしばらくお湯に浸けておきます。

甲虫の軟化-3

少し固めでも、変な音がせずに関節が動くようであれば、ティッシュで包んで余分な水分を拭き取ります。

甲虫の軟化-4

余分な水分をしっかりと拭き取れたら、再度全身の関節を動かしてしっかりと軟化できているかの確認をします。
また、これにより全身の筋肉をほぐして展足しやすくする意味もありますので、全ての関節を一通り動かしておきます。
※なお、何十年と経過した虫の場合、どうしても“ピシッ”とか“パキッ”とかの音がする場合が多いので、十分に水分が浸透していれば、あとは少しずつ慎重に動かしていきます。

甲虫の軟化-5

なお、脚は屈伸方向だけでなく、基節が回転して赤矢印のように手前方向(背中を上にした時に、脚が下に下がる方向)にも動きますので、その方向にも動かしておきます。
前脚は前方から下がるように、中脚と後脚は後方から上がるような方向で動きます。
これをしっかりと動かしておかないと、後で展足がやりにくくなる場合もありますので、きちんと確認しておきます。

また触角や大アゴもきちんと動くことを確認しておきます。

全身の関節がしっかりと軟化できていることが確認できたら、あとは普通に展足していけばOKです。
展足の方法は以前の記事(クワガタの標本の作り方~基礎編~)にありますので、そちらをご参照下さい。


※なお、時々大アゴが非常に固く、何時間お湯に浸けても動かないといった場合があります。
その場合は、以下の手順で軟化していきます。

(1)注射器で、口器からお湯を注射する
(2)注射器で、口器から軟化剤を注射する
(3)酢酸エチルを濃い目に入れた毒ビンに数日間入れておく
(4)頭部を取り外し、後ろ側からピンセットで大アゴの筋肉を除去する

…私の経験上、比較的新鮮な虫であれば(3)でほぼ確実に軟化できます。
一日ごとに取り出して軟化状態を確認し、動くようになればそのまま展足をします。
ただし、虫の種類によっては変色を起こす場合があるので注意が必要ですし、また古い標本の場合、それでも動かない場合があるので、その際は最終手段で(4)を行います。
(※酢酸エチルの入手については、過去記事「酢酸エチル」をご参照下さい。)
(4)で筋肉を除去した場合は、頭部とそれ以外の部分で別個に展足して乾燥させ、最後に接着して完成させます。

※(4)の方法については、いずれ機会があればもう少し詳しく書きたいと思いますが、いつになるかは分かりません(爆)

謹賀新年

ヒゲブトハナムグリの飛翔
ヒゲブトハナムグリの飛翔  2011年6月3日 埼玉県川口市
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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