コルリクワガタ

コルリクワガタ-2

コバルトブルーに輝くこの小さな虫、実はクワガタです。

ただし、姿もクワガタらしくなければ生態も全く違います。

クワガタというと一般には夏に現れて、夜にクヌギなどの樹液に集まるというのが常識。
…しかし、このコルリクワガタは春に現れます

標高1000mを超えるような山地で、まだ日陰に残雪の残る5月下旬から6月頃に現れ、太陽照りつける昼間に盛んに活動します。
いわゆる樹液には集まらず、開き始めたブナなどの新芽に潜り込み、付け根を齧ってその汁を吸います。

コルリクワガタ-1

そして、発生期間はせいぜい2週間ほど。
発生期間が短い分多くの個体が一度に現れるため、発生ピークに当たればかなりの数の成虫を見る事ができます。
実際、2011年6月に採集に行った際は3桁以上の成虫を見つける事ができました。

新緑の中、暑い程の陽射しを受けて活動する瑠璃色のクワガタは思いのほか美しく、夏のクワガタ採集とはまた違った楽しさがあります。

コルリクワガタは北に行くほど美しい色になる傾向があり、福島・新潟・長野あたりに生息している原名亜種(基亜種)が最も美しい瑠璃色になります。
関東周辺の個体は緑がかった色になり、関西へ行くと更に黄色味が強くなり小型になっていきます。


…ちなみに、100~200頭に1頭ぐらいの割合で全身が真っ黒になる色彩変異個体が現れるようで、本来輝く美しさを誇るコルリクワガタでありながら非常にシブい格好良さがあります。

黒コルリ




※余談※
近年、コルリクワガタは♂交尾器の内袋(ないたい)で分類が細分化され、今回の画像のコルリクワガタはユキグニコルリクワガタという種であるとされています。
…が、この分類に関しては賛否両論あり、かく言う私もどちらかというと否定派。
なので、今回のタイトルもただの「コルリクワガタ」となっており、また分布の話も旧来のコルリクワガタという種を前提に書いております。
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顕微鏡がやってきた

双眼実体顕微鏡

ちょっと前の話になるのですが、とある先輩からお古の顕微鏡を頂いてしまいました。
前から欲しいと思っていた双眼実体顕微鏡です。

「双眼実体顕微鏡が欲しい」とあちこちで言っていたところ、「うちにあるお古で良ければ」とお声を掛けて頂いたもの。
…まさか顕微鏡が頂けるとは。
言ってみるもんですなぁ(笑)

先輩宅で長らく放置されていたとの事で、精密ドライバーで可能な限り分解してレンズクリーナーで汚れ落とししてみましたが、まだ更に内部のレンズ等に明らかな汚れが残っており、これ以上はオーバーホール並みにガチで分解しないとキレイには出来そうにない。
そのせいか、覗いてみるとやや白く煙っているが、とりあえず見える。
ケブカコフキコガネを覗いてみると、体毛の一本一本までちゃんと見える。

単眼部は割れてしまっているが、そんな細密同定をしないのであれば問題ないレベルでは見える。
古い物なのでピント調整のハンドルが結構重く、素手で動かしていると指の腹が痛くなる。
…使う時は指抜きか軍手をした方が良さそうだ。


…何にしても、双眼実体顕微鏡が手に入ったのは自分的にとても大きい。
よし、これで今までホッタラカシになってた虫を同定できる!(爆)

コマルハナバチ

コマルハナバチ

春、暖かい日が続き桜が咲く頃になると、町中で黒くて丸っこい蜂を目にするようになります。
大きさは2cmほどで、全身フサフサの黒毛でお尻の先だけオレンジ色。
ツツジが咲く頃になるとよくその花に来るので更に目に付きやすくなります。

…このハチ、町中で見掛けたなら大抵は「コマルハナバチ」です。
ちなみに、名前は「困る花蜂」ではなく「小丸花蜂」で、ハナバチの仲間で体が丸っこいマルハナバチというグループがおり、その中で“小さいマルハナバチ”という意味です。
似たようなツートンカラーのためクマバチ(キムネクマバチ)と混同される事がありますが、コマルハナバチはお尻の先がオレンジクマバチは胸部(真ん中)が黄色なので、配色の位置が異なります。
(…ちなみに、どちらも温和なハチなので、こちらから捕まえたりしない限りまず人を刺しません)

コマルとクマバチ

ただし、この“黒くてお尻の先がオレンジ”が全てコマルハナバチというワケではなく、似たような種がいくつもいます。
特に、オオマルハナバチ(→オオマルハナバチ)とクロマルハナバチは飛んでいる状態では確実な見分けはほぼ不可能です。

マルハナバチ4種

インターネットで見ていると、『腹部の途中に黄色い帯が出るのがオオマル、お尻の先だけオレンジなのがコマル』だと思っている人もいるようですが、この判別法は実は間違い。

実はコマルハナバチでも黄色い帯が出る個体がいます
そしてオオマルハナバチでも帯が薄くなる個体がいます
下の写真でも、上段の2頭はコマルハナバチ、下段の2頭はオオマルハナバチですが、右側の個体は帯だけでは判別できません。

コマルとオオマル

確認した場所や時期・虫のサイズなどからある程度の判別は付きますが、確実に判別するには捕まえてじっくり観察しなければ非常に難しいです。


…ちなみに、マルハナバチの仲間は英語で「bumble bee」と言いますが、この名前に聞き憶えがある方もいるかもしれません。
そう、映画「Transformers(トランスフォーマー)」に出てきた味方側の黄色いロボット:バンブル・ビーの名前は、実はマルハナバチから来ているんです。

水筒型タッパー

またまた採集用品、毒ビンの代用品です(飼育中心の方にはすみません…)。
私が最も愛用しているのが、こちら。

筒タッパー

水筒型のタッパーウェアです。
素材はPP製なので耐酸性もあり、同じ物を3年以上使い続けていますが、溶けてベタベタになったりといった現象も今の所ありません(黄ばみ等は出てますが、使用に問題はないです)。
自分は何本か持っていて、長く使って老朽化したり、汚れが酷くなったら買い換えています。

100円ショップ等でも似たような商品を売っていますが、私が愛用しているのはホームセンター島忠で売っている株式会社リッチェルのクールポット(型番:FC-25S)です。

筒タッパー(フタ中)

価格は400円程度だったと思いますが、この商品の大きな利点として、この本来コップとなる部分が本体径より少し小さいため、写真のようにスポッとコップが本体に入ってしまうのです。
そのため、本体底に綿を入れて酢酸エチルを注ぎ、その上からコップをストンと落とせば、中型以上の虫は綿に絡まなくなり、中身を出す時も逆さにしてコップを出せばOK。
500mlペットボトルよりだいぶ太いですが、よく売っている“ペットボトルを腰に付けるポーチ(?)”に入るので、タッパー付属の取っ手部分は取り外し、採集時はポーチに入れて腰に付けています。

更に、フタに小さな口が付いており、採集した虫を入れる時はそこを開閉すれば酢酸エチルの無駄な揮発も押さえられてGood。
一見すると口が小さいようにも見えますが、アオオサムシやゴマダラカミキリ級は余裕で入りますし、脚に気を付ければシロスジカミキリやノコギリクワガタの60mm程度の個体でも十分通ります。

お散歩程度の採集には少々大き過ぎますが、離島遠征など本格的な採集に行く時には必ず持って行く必需品です。


…ただまぁ難点を言うなら、これもPPサンプル管と同じくコルク栓ほどフタがしっかり閉まらない、という事。
PPサンプル管と同じく、内圧が上がるとフタが開いちゃうんですよ…(--;

だもんで、ヒメオオ採集とかコブ叩きとか車で高地に行く時は要注意。
標高が上がるに従って気圧が下がり、車で走っている最中にポンッとか音がして、“もしや…”と思っていると車内に酢エチ臭が充満してきたりする事がたびたび…

そのため、車で出掛ける際は必ずすぐに手が届く場所に置いておくか、現地に着いてから酢酸エチルを入れるようにする必要があります。
後部座席に置いておいて高速道路でフタが開いたりすると、車を停めるワケにもいかず、車内が毒ビンと化します

「虫じゃなく自分が逝ってしまふ…~゜」とならないよう、要注意。

クロメンガタスズメ

クロメンガタスズメ

黒(こげ茶)と黄色を基調に茶や白、灰色を織り交ぜた模様はシブ格好良くも派手派手しく、どこか毒々しい。
背中に付いた白い紋は個体によって変異が激しく、ものによっては頭蓋骨のように見えることから、時に「ドクロメンガタ」と呼ばれる事も。

クロメンガタスズメ(髑髏)

大型種の多いスズメガの中でも、その胴体の巨大さは目を奪われる。
翅の長さではオオシモフリスズメ(→オオシモフリスズメ)に日本一の座を譲っているものの、胴体の巨大さでは間違いなく日本一大きなスズメガだ。

南方系種で元々は本州南部までしかいなかったものが近年地味に北上している。
この個体も数年前に千葉県で採集したもの。
ゴマやナスの葉も食べるので、増えてくると害虫化する可能性もある。



ところで、この蛾の写真、どこかで見たことがないだろうか?


…そう、有名な映画「羊たちの沈黙」のポスターで、女優ジョディ・フォスターの口元に付いているあの蛾だ。
実はあの蛾が本物であると言うと驚く人が多い。
…尤も、正確にはあの写真はクロメンガタスズメではなく、それと近縁のヨーロッパメンガタスズメらしいが。

ただし、あのポスターの写真の蛾の、背中の髑髏模様だけは後から付けたもの。
あそこまで完全な髑髏模様になる個体というのはいないようだ。
つまり、「羊たちの沈黙」のポスター写真の蛾は実在するが、背中の髑髏模様だけは後から付けたモノ、というワケです。


…以上、明日は使えないかもしれないケドいつか使える無駄知識でした。




~次回 昆虫標本作製教室~
4月29日(日) 木曜サロン会場(上野):http://nikkonkyo.org/event/mokuyou01.html
5月5日(日) オオムラサキセンター会場(山梨県北杜市):リンクなし
5月6日(日) むし社会場(中野):http://nikkonkyo.org/event/2010/event_hyohon.html

PPサンプル管

PPサンプル管No.7

先日紹介した毒ビン(殺虫管)ですが、ガラスのため割れやすいというのが最大の欠点であるのはお伝えした通り。

そこで、私が普段よく毒ビン代わりに使っているのが、この『PPサンプル管』です。
PPはポリプロピレンの略で、比較的耐酸性の強いプラスチックです。
そのため、酢酸エチルを使用しても溶けてベタベタになったりという事がありません。
また、フタと本体がつながっているため片手で簡単に開閉でき、開けた際に誤ってフタが落ちて“あわわわわ!”という事がありません。
No.1~No.7まで7種類のサイズがあり、私が愛用しているのは一番大きい「No.7」。

底径:37.5mm
上径:40mm
高さ:85.5mm

…というのが外寸で、フィルムケースより二回りぐらい大きいですが、ポケットに入れて持ち歩け、当然ながら落としても割れる心配もありません。

PPサンプル管使用例

こんな感じでティッシュに酢酸エチルを染み込ませても良いですが、もう一手間掛けてフィルムケースのフタに針で穴をあけて凹部にティッシュを詰めて酢酸エチルを染み込ませ、サンプル管のフタ部分に押し込んでやると、もう完全に「毒ビン」です。

ウェストポーチ

遠征で山に入る時などは、以前にご紹介したウェストポーチ(→ウェストポーチ)に12本を入れて腰に付けています。
…ちなみに、どのぐらいの虫が入るのかと言いますと、62mmのヤエヤママルバネクワガタは入りました
なので、ノコギリクワガタなど細身のクワガタなら大型個体でも問題なく入ります。
ただ、密閉性がそれなりに高いので、生かしておくのにはあまり適していません。
大型のクワガタなどは1~2時間入れっぱなしにしておくと酸欠で仮死状態になってしまいます。
…小さな虫なら数日間入れておいても平気で生きていたりしますので一概には言えませんが、少なくとも大型種については生かして入れておくのはあくまで緊急手段と考え、基本的には毒ビン使用が向いています。

箱売りの場合は、50本:約3,000円です。
50本というと多いように感じますが、5人で分けたら1人10本。さほど多い物でもありません。
また、単価で言えば60円/本ですので、汚れたら使い捨て、でも問題ない価格です。
(※ちなみに、バラ売りだと100円/本ぐらいで売っている所が多いみたいです)

…ただし、これも万能というワケではなく、欠点がひとつ

PP製という事でコルク栓等と比べるとフタがやや弱く、内圧が上がるとフタが開いてしまう事があります。
酢酸エチルを補充した直後であったり、逆に山などで気圧が下がる場合など。
特に、車で山地に向かうと途中でフタが開いてしまう事が時々あります。
…とは言え、この価格でこの機能なら個人的には十分だと思います。

本格的な採集に行く時は多数持って行ってポイント毎に毒ビンを変えられますし、近所のお散歩の時もザックのポケットに1~2本入れておくと安心です。


箱買いするなら、「昆虫文献 六本脚」で販売しています。
昆虫文献 六本脚 PPサンプル管販売ページ

※なお、同ページでフィルムケース型容器(サイズ10種類)も売っていますので、「フィルムケース型の容器がいいんだ!」という方も是非ご覧下さい。

セミの羽化ズレ(異常早期羽化)

私の短大時代の友人であるセミ屋のMさん(twitterアカウント:Cica245)が、昨年からセミの羽化ズレについて調べており、今年もtwitter上で情報収集を行い、少し前に中間報告を挙げましたのでここでも紹介。

事の起こりは昨年。
2011年早春から「セミ(成虫)を見た」という情報があちらこちらで出始め、しかもそれがハルゼミですらなくアブラゼミだという。
別の知り合いからも「新しい抜けガラを見つけた」という話が出たので、Mさんに伝えたところ「じゃあちょっと調べてみる」となりまして、彼女(Mさん、女性です)がtwitterで記録を収集したところ、どうも関東を中心に各地で起きているらしい。
昨年は昨年で記録をまとめられていましたが、今年も継続して情報収集を始めたところ、またしても早期羽化が見られているらしい。

…昨年春から、という事で時期的に「地震の影響で体内時計が狂った?」とか安易に考えてしまいますが、理由を特定できるだけの資料は何もないので、あくまで「実際に起きている現象」にのみフォーカス。

というコトで、セミやその他の昆虫について、明らかに時期ズレの活動を確認された方、場所・種(分かれば)・状態(生死・抜け殻など)をコメントに書きこんで頂ければ、そのまま吸い上げてCica245さんに追加データとしてお送りしますので、よろしくお願いします。
また、twitterをやっている方は、直接cica245さんにお伝え頂けますと幸いです。

…もしセミの事で呟いていきなりcica245さんから『詳しく教えて下さい』とか連絡が来たら、ヘンな人ではなくちゃんと情報収集をしている方なので、気味悪がらずにご対応をお願いします(笑)


セミの羽化ズレについて(インターネット調査)
くさふじblog(Mさんのブログ):http://blog.livedoor.jp/adiantum245/


…ついでに、昨年2011年の情報収集の際の中間報告連絡も転載。

  ↓↓↓

セミの羽化ずれについて、中間報告します。
本来夏に羽化するはずのセミが春に出てきているらしいとの情報を受け、twitterでの目撃情報を収集し、場所、種類、生死の状態をわかる範囲で調査しました。

尚、セミの鳴き声を聴いたとの情報も数多くありましたが、時間帯が夕方から夜に集中していること、気温が低いことを考慮して、クビキリギスやササキリの可能性もあるため、調査対象外としました。

結果としては、関東でのアブラゼミの死骸の目撃情報が最も多くありました。
伊豆半島や大阪でのクマゼミの死骸や、去年も同じ時期にセミを見たとの報告もあり、羽化ずれは今年だけのものではなく、稀にあるが、特に今年は関東のアブラゼミで多く見られているようです。

アブラゼミの成虫の寿命は2~3週間と言われているため、羽化したのは3月後半から4月前半と考えられますが、活動可能な気温ではないことからそれよりも前後する可能性もあると思います。

羽化ずれが多く起きた理由は、ヒートアイランド、昨年の猛暑、地震による影響など、諸説考えられますが、特定できる情報はありません。
地震により地殻変動が活発化して、地中の温度が高くなっているのでは…というのが最初に考えた仮説ですが、継続的に地中の温度をはかっているところがなくて、ちょっと比較しようがないです。
また、アブラゼミが多いことも考慮すべき事項で、他種に比べて何か違いがあるのか、気になるところです。

殺虫管

殺虫管(1)

最近は使う人もかなり少なくなりましたが、そうは言っても基礎中の基礎の採集道具のひとつなので、当ブログで紹介しないワケにはいきますまい。

正式名称は「殺虫管(さっちゅうかん)」ですが、虫屋の間では通称「毒ビン」で通っている肉厚のガラス製の管です。
管の下の方にクビレがあり、コルク製の口栓と中敷が付いています。

標本作製を含めた「昆虫採集」において、かつては必須アイテムだった商品。
サイズがいつくかあり、よく使われるのは特大あたりでしょうか。
は数年前に廃番になってしまい、現在は販売されていません。
サイズとお値段は以下の通り(2012年現在)

 特大(径4.5cm × 長13.5cm):1,850円
 (径3cm × 長13cm):1,365円
 (径3cm × 長9cm):1,260円

」はポケットに入れてお散歩ついでに持ち歩くサイズ、「特大」は国産クワガタならほとんどが入るサイズです。

殺虫管(2)

使い方は、①の部分に綿を詰め、そこに酢酸エチル(→酢酸エチル)を綿が湿る程度に少量入れます。
(※綿がビチャビチャになるほど入れたら入れ過ぎですので、少しずつ入れるようにします)
そうしたら、②の中敷を奥まで押し込み、準備環境。

あとは、気化(蒸発)した酢酸エチルが瓶内に充満していきますので、そのガスで標本にする虫を殺虫処理します。
複数の虫を同時に入れる場合には、咬み合うのを少しでも防止するため、ティッシュを丸めた物や短冊状に切った紙などを入れておく場合もあります。

なお使用する薬品については酢酸エチルが最も一般的ですが、亜硫酸ガス青酸カリなどを使用する場合もあります(※青酸カリは一般の入手はできませんが、専門の研究者等が使う事があります)。
また、近年では酢酸エチルの代わりに百円ショップで売っている除光液(→除光液)が使えるという事で、そちらで代用する人も増えています。


…とまぁ、そんなワケで昆虫採集における基本的な道具のひとつなのですが、そんな殺虫管の特徴であり最大の欠点ガラス製であるという事。
確かに酢酸エチル等の溶剤で溶けたりせず、そういう意味では良いのですが、何しろガラス。
重いし、割れる
重いのはまだしも割れるというのは非常に大きな欠点で、テープ補強等をしていないと、落とした瞬間にもう気持ちいいぐらいパーンッ!と砕け散ります

…実際、私も過去に二回ほど落としており、手を滑らせて“あッ!”と思った次の瞬間にはもうパーンッ!!
“うわーい!”ってぐらいの勢いです。

そのため、今でもこのガラス製毒ビン(殺虫管)を使用している人の多くは、万一落としても砕け散らないよう厚手のビニールテープをグルグルと巻き付けて補強しています。
そうすることで多少は割れにくくなりますし、割れても粉々に砕け散ることがなくなります。

が、補強しても結局はガラスなので割れやすい事に変わりはありません。
そのため、近年ではPP(ポリプロピレン)など耐酸性の高いプラスチック等の容器で代用する人が多くなっています。
軽く、落としても割れないPP製容器は毒ビンの代用品として、虫屋の間ですっかり定着しています。
また価格も相当安く手に入るため、気軽に交換・譲渡できるのも利点です。

近いうちにそちらもご紹介しようと思いますので、期待せずにお待ち下さい。

秦野 春の虫だより

年度の変わる手前の3月30日、ビロードツリアブとスギカミキリの写真が撮りたくて(もちろん採集も)、神奈川県の秦野市に行ってきました。
…なお、基本的には「タイムリーなネタは新鮮なうちに」というのがモットーなのですが、ケブカ採集記に続きまた採集記というのもな…という事で、カナブンの記事を1回はさみました。


着いてしばらくは陽が出なくてどうしたもんかと思っていましたが、午後2時頃になってようやく日が射し、それと同時に虫達も活動を開始。
…早春の虫たちというのは、陽好性が非常に強い傾向がある。
日が射すとさかんに活動しているのに、翳った途端に煙のように姿を消してしまう。
で、また日が射すと何処からともなく現れる。

一つ目の目的であるビロードツリアブもその傾向が強く、陽が出た途端に活発に活動し始めた。
おかげで、とりあえず訪花している写真はまず押さえられたものの、

ビロードツリアブ

…撮りたかったホバリング飛翔の写真が撮れない。
自分のコンデジ(コンパクト・デジカメ)で1cmクラスの虫をそれなりに大きく写そうと思うと、どうしても10cm以下の距離まで被写体に近付かないといけないが、飛んでいるツリアブは微妙な所で敏感であと一歩の距離を近付かせてくれない。
採集するだけならさほど難しくないのだが、撮影となると途端に難易度が上がる虫だ。
…というか、ホバリング写真なんかは逆に一眼レフの方がまだ撮りやすいように思う。
ある程度倍率の高いレンズを使用し、マニュアルフォーカス(ピントを手動で合わせる)にして多少離れた所から狙う事ができると思う。

しばし追い回したものの「これはコンデジじゃ無理!」と諦め、のんびりと散策。

秦野で見た虫2012年3月

写真の虫の他にも、モンキチョウ、ルリシジミ、スギタニルリシジミ、ミヤマセセリなど春の蝶がポツポツと姿を見せる。
あとはギフチョウでもいてくれれば完璧なのだが、残念ながらここでは叶わぬ夢。
…とは言え、1%の可能性(淡い期待)を捨て切れずにいるのだが。

夕方~夜は、スギカミキリの探索。

スギカミキリPr.

あちらにポツリ、こちらにポツリという感じで杉の樹皮を歩き回っている個体が見つかる。
10頭ぐらい見掛けたが、今回は撮影の方が主目的なので採集は2♂のみに留め(過去にある程度採集しているので)、あとはひたすら撮影。

スギカミキリ

この写真は、基本的にあまり格好良くはないスギカミキリをあえて格好良く写そうとして撮った写真なので、実際のスギカミキリとは随分イメージギャップがある。


それはそうと、探索中に単独でいた♂が頭を下に向けて体を浮かせ、静止しているのを発見。
どうにもコーリングしているように見えるのだが、スギカミキリってコーリングするんだっけ…?

しばし撮影を楽しみ、ポイントを後にした。

…帰り際、「ああ、そう言えばイボタガとエゾヨツメのシーズンでもあったなぁ…」と思いだしたが、まぁそれはまた別の機会に。
今回は、ツリアブの満足いく写真は撮れなかったが、春の虫屋的始動としては悪くなかった。
2月に奄美でガチの採集をやっているので冬がオフシーズンだった感覚は薄いが、それでも虫全般のメインシーズンはこれから。
ギフチョウの便りも聞こえ始めたし、楽しい季節の到来だ…!

カナブン

カナブン(背面)

写真の4頭は、まるでCGか、さもなくば東南アジアあたりのハナムグリを数種並べたかのようですが、実は全て普通のカナブンです。
それも、全部普通の本土産。

カナブンと言えば、本土の雑木林で樹液採集をするとシロテンハナムグリ(→シロテンハナムグリ)と並んでいくらでも見つかるの付くド普通種
ウロや樹皮めくれを覗きたいのに、そこに頭を突っ込んで樹液を吸っているものだから、
「オマエら邪魔ッ!」
とか言いながらポイポイ投げ捨ててしまうような虫で、“投げると地面に落ちずにブーンと上手に飛んでいく”ぐらいのイメージしかない。
まぁ色にしたって黄褐色かせいぜい緑色ぐらい、というところ。


…が、しかし。

今回の4頭は左から「青」「ウグイス」「赤」「茶」と、どれも素敵な色変わり。
ウグイスは一見すると普通にいそうな色ですが、いざ探してみるとこれが実は見つからない。

カナブン(前)

…そう、実はカナブンは、シロテンハナムグリと並んでハナムグリ亜科では色彩変異が非常に大きい種なのです。

ただ、これらの変異個体というのは何処でも同じ確率で見られるかというとそうでもなく、どうも“色彩変異が大きい地域”というのが確実にあるようで、普通カラーしか見られないような地域では、特殊なカラーの個体というのはほとんど見られません。
一方で、特定の地域ではそこそこの変異個体がポツポツと採れる、という感じ。

虫けら屋個人的にも色彩変異をコレクションしていますが、中でもぜひ採りたいのが「黒」という個体。
今までに採れているのかすら分からないのですが、「黒」はぜひ欲しい。
そうすれば、ナミカナブンのカラーバリエーションでアオカナブン(青)・チャイロカナブン(茶)・クロカナブン(黒)が揃うのです!
そんなネタのために、ぜひ欲しい(笑)
(※実際日本にはナミカナブンとは別種でアオカナブン・クロカナブン・チャイロカナブンという種がいまして、その名前を冠せるカラーのナミカナブンが揃う、というコト)

ちなみに、これだけ馴染みのある虫なのだから生態もほとんどが解明されているのかと思いきや、幼虫がクズ群落に多く見られるという事がごく最近発見されたりと、実は意外と分かっていない虫だったりもします。


…さて、これだけ並べてみると、ただのカナブンなのに実に壮観ではありませんか?
ほらほら、ちょっと集めてみたくなったりしませんか????

カナブン色彩変異
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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