奄美大島採集記2012夏(03)~スジブトの日~

6月30日(土)

朝起きて、ちょっとイジュの花でも掬ってみようかと近くのトンネル上の旧道まで車を走らせる。
まだ朝9時だというのに既に陽射しは容赦無い。
…実は、内心ちょっとだけフェリベニを狙っていたのだが、まぁそう甘くはない。
キイロミヤマカミキリとツキガタマメコガネを採集して撤収。

友人Y氏と合流し、昼間のトラップ巡回に向かう。
ふと見ると、初日の晩に小さなスジブトが付いていた1号トラップ(ポイント入口から入って最初のトラップ)に、昼間から55mmぐらいある立派なスジブトヒラタクワガタが付いている(※画像のトラップ左下側)。

スジブトとアカボシ

スジブトと一緒にアカボシゴマダラも複数付いており、なんとも奄美らしい贅沢な画だ。
他にも複数頭のスジブトヒラタが付いており、何やら急に集まりだした感じ。
採集する前に写真を撮ろうと携帯を構えて近付きつつ、“昼間なのに結構来てるなぁ…”と見回した瞬間、

「げっ!」

いきなり、トラップすぐ下の草の葉の上に、泥だらけの巨大なスジブトが鎮座しているのが目に飛び込んできた。
「うわわわわっ!」
撮影どころではない。
慌ててそれを引っ掴むと、越冬明けなのか分からないが、中脚・後脚のフ節4本が全て欠損しているボロボロ個体。
だが、それを補って余りある迫力がある。
急いで車まで駆け戻り、ノギスを当てると…

スジブト65mmボロ

で、でかい…

ややアゴちんば(左右でアゴ先がズレる)だが、左で計れば65mm、右で計っても64mmある特大個体。
な、なんでこんな個体が真昼間に草の上なんかに…

デカイ!
なのになんでこんなにボロなんだ!?


これじゃ喜んで良いのか嘆いて良いのか…

複雑な気持ちのまま車を走らせると、あちこちのトラップにアカボシゴマダラが来ている。
これもそのうち採っとかないとなー…なんて思いながら流していく。
…本当は思い立った時に採っておいた方が良いのは分かっているのだが、どうにもたくさん居過ぎて採る気が起きない…。
そんなこんなで初日の晩に本ハブがいたトラップまで来たところ、再びスジブトヒラタが付いているのが目に入った。
「お、これもわりと大きそう…」
と掴んだところ、


“わりと”どころじゃなかった。

スジブト66&65
66mm。

つい先程採集した個体と同等かそれ以上の、しかも完品ときた。
(※画像左の個体。右は先のボロボロ65mm)

「やばい!デカイ!!」
昼日中から65mmクラスが2頭連続って、一体何なんだ!?
スジブトヒラタの65mm級なんて、採れたら夜中に本土の友人に電話掛けていいレベルだぞ!?(※迷惑です)
それが真昼間に立て続けに2頭だなんて…
正直、お盆時に50mmの♂を採って「デカイ!」とか言っていたのが悲しくなってくるようなサイズだ。

スジブトヒラタはアマミノコギリと並んで奄美大島のクワガタの中でも最普通種ではあるが、採れるのは30~40mm台の個体がほとんどで、55mmもあれば十分に大型、60mmに達する個体はかなり少ない。

65mmって……66mmって……

この66mmは後でヤラセでも良いので生かして撮影しようと、毒ビンに入れずにサンプル管に御案内。


さて、午後は島中部の池でも探してみようと某所まで車を走らせる。
そこでついでに、先程採集したスジブトヒラタをヤラセ撮影しておく。

スジブト66mm
ヤラセでも、こんな大きな個体を生きたまま現地で撮影できる機会などもう一生無いだろうし。
少々アゴの細い個体なので、斜め前方から頭部が大きく写るようにした方が格好良く見える。
…なんてコトをやっていたら、いきなり親指に噛み付かれる。

「ぃいたたたたたたッ!!」

このサイズのDorcusに噛み付かれるというのは、痛みがかなりシャレにならない。
ガチ噛みではあったものの、幸い長くは噛まずに放してくれたので、再び木に付けて撮影続行…

…してたら、Y氏が、
「それ、血?」
といきなり言う。
“えっ?”と思ってみてみたら、

スジブトで流血
ガチで流血しとるがな!

どうやら、噛まれた際に大アゴが皮膚を貫通していたらしい。
ぅぉぉぉぉ…まさか特大スジブトにガチ噛みされて流血するとは…


…そうして夜、1号トラップでスジブトヒラタの58mmが入る。
昼間にとんでもない個体を採集してしまったせいであまり大きく見えないが、スジブトのWildで58mmと言えばかなり大きい。
実際、今回採集するまでは、自己最大は57mmの不完品だったのだ。
う~ん…バカデカイのを採ってしまうとサイズ感覚がおかしくなるなぁ…。

その後、もう1ヶ所バナナを仕掛けていた場所も見に行ってみたのだが、バナナで中型ノコ1ペア、付近のミカン畑で同じく1ペア見つけたのみでどうにも望みは薄そうだったので、そのままトラップも撤去してしまった。




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奄美大島採集記2012夏~目次~
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奄美大島採集記2012夏(02)~黒き翅の蜻蛉と蝶~

6月29日(金)

朝起きて、まずは昨日の成果を再確認。

アマミノコとヒラタ特大
左のアマミノコギリが75mm、右のアマミヒラタが71mmぐらい。
ノコも特大だが、ヒラタのデカさがハンパない。

まずは朝からトラップの増設。
今回用意したバナナトラップは50~60個。
全部を1つのポイントに仕掛けるワケではないが、このポイントももう少しは増設しておきたいところ。
良さそうな場所を探して走っていると、何やら見慣れぬトンボが飛んでいる。
ヤンマ級の大型サイズだが、体つきが細い。
捕虫網を取り出して採集してみれば、ミナミヤンマの♂だ。
ミナミナンマはヤンマ科ではなくオニヤンマ科に属するトンボで、カラスヤンマの亜種になる。
そして、♂よりも♀にその特徴がよく現れる。
…とくれば、♀が採りたくなるのは必然。

Y氏と合流して再びトラップ設置を始めると、その待望の♀がフラフラと現れる。
メスだっ!
と慌てて車を停めて捕虫網を引っ掴み、網を構えてジリジリ待つ。
大型のトンボは一度脅かしてしまうとサーッと何処かに逃げてしまうため、チャンスは一度きりだ。
じっくりとタイミングを計り、“今だッ!”と網を振り上げれば、中でバササササッ!という威勢の良い羽ばたき。

よっしゃ!と網から取り出したコレがミナミヤンマの♀である。

奄美ミナミヤンマ♀
翅の前縁に黒条が入り、格好良い。
ただ、これでもかなり黒色部の少ない個体だ。
本種の翅の黒色部は個体変異があり、発達した個体だと翅全体が煤けたような黒っぽい色になる。

さて、トラップを増設しつつ昨日設置したトラップをチェックしていくと、ポツポツとアカボシゴマダラが飛来している。
本種も奄美を代表するチョウで、後翅に赤い丸紋が並ぶ。
本来日本ではアカボシゴマダラは奄美諸島でしか見られず、チョウ屋も一度は憧れる種なのだが、近年大陸の亜種が本土に持ち込まれて増加しており、自宅埼玉の周辺でも普通に見られるようになっている。
…でも、(日本贔屓なせいかもしれないが)やっぱり奄美の亜種の方が品があるように見えるんだよな~

まぁ何にしても、せっかくの奄美大島、アカボシもしっかり採集しておかないとな。

さてそうしてトラップを回っていたところ、昨日75mmのノコが来たトラップのすぐ近くに仕掛けた別のトラップに付いたアカボシがおかしい事に気付いた。

黒い。

これは明らかに異常、黒化型ってヤツに間違いない。
慎重に狙ってネットイン!
網から取り出してみると、なかなかの黒化具合。
本来は赤い輪になるはずの紋が、黒い鱗粉で一部が切れて輪になっていない。

アカボシゴマダラ黒化型
う~ん、いいねぇ。
今回の奄美で最初に採ったアカボシが黒化型とはね。

夜は昨夜と同じコースで巡回。
水たまりに何かいる…と車を停めると、リュウキュウコノハズクが行水中。

奄美リュウキュウコノハズク
両手でお椀を作ったらその中に納まってしまうような小さなフクロウの仲間だ。
本土のフクロウと違い、奄美や沖縄ではよくその姿を見るし、鳴き声も耳にする。

アマミノコギリは更に数を増しており、あちこちのトラップにベタベタと付いている。

…と、細枝に吊るしたトラップで、おかしなモノを見た気がした。

丁寧に網に取り込み、改めて確認する。

錆色アマミノコ
なんじゃこりゃ!?

黄土色のアマミノコギリなんて初めて見たぞ!?
小さな個体だが、こんな体色は聞いた事がない。

…後日知ったのだが、これが実は稀に出る体色のようで、通常は体の一部に汚れのように出る場合が多く、このように全身に出るものはかなり少ないようだ。
某方は「Golden・dissimilis」なんて呼んでいるようだが、個人的にはむしろ「錆色型(さびいろがた)」を提唱したい。
黄土色だから「金」なんて安易な高級感よりも、これは和の渋さを盛り込んだ「錆色」だろう。
アマミノコギリクワガタ錆色型、なんともシブ格好良いじゃないか。

…さて、2晩ほど回ってみて、なんとなく傾向も見えてきた気がする。
クワガタが動き出すのは20時半頃からで、その前に回ってもほとんどトラップに付いていない。
これは恐らく日没から1時間程すると活発に動き出すのだと思われ、日が長い今の時期だから20時半なのであり、お盆時などではもっと早くから活動するのだろう。
また新たに飛来するのは22~23時頃までで、だいたいそれがトラップ巡回の2周目。つまり、1周目・2周目は結構な数のクワガタが付いているのだが、同じつもりで3周目に突入するとほとんど採れないのである。

ちなみに、アマミノコギリは当たり前のように70mmOVERが複数頭入る。
昨夜の75mm級は流石に特大だが、梅雨明け時期であればトラップを20~30個も入れておけば72mmぐらいまではさほど難しくない(※)ようだ。
全体的に見ると60mmクラスの大歯型が最も多く、小歯型より大歯型の方が多いんじゃないかと思う程である。
…お盆時になると小歯型の方が多くなるのを考えると、やはりノコギリは梅雨明けの虫らしい。

なお、アマミノコギリは初日の晩から多数が集まっているが、スジブトとアマミヒラタはまだ僅かしか見ていない。
トラップに対する反応の早さにも差があるようだ。
スジブトヒラタもまた梅雨明けに一気に出てくる虫のようなので、大型個体を採りたいものである。





※「難しくない」というのは“本気で狙えば採れるサイズ”という意味であり、“たくさん採れる”という意味ではない。
ネット通販の標本や生き虫価格だけ見ていると、アマミノコ72mmというのは簡単に採れそうな値段で取引されているが、実際に採集してみるとそこまで簡単なサイズではない。




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奄美大島採集記2012夏~目次~
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奄美大島採集記2012夏(01)~初日~

奄美大島は九州本土と沖縄の間にある島で…
…と、島の説明はどこのHPの採集記でも書いているし、飛ばしてしまいましょうか。
ちなみに奄美大島は沖縄ではなく、鹿児島県です。

今回は、その奄美大島に梅雨明けを狙って昆虫採集に行ってきました。
一番の狙いはクワガタムシですが、奄美大島まで行ってクワガタだけというのはあまりに勿体ない…というコトで、クワガタ以外の虫もいくつか視野に入れつつ、梅雨明けを睨みながら出発の日を待っていた。

奄美大島に降り立ったのは6月28日の木曜日。
天気は薄曇りだが、悪くない。
現地在住の友人Y氏曰く、奄美大島はもう梅雨明けしているだろうとのこと。
まだ公式な梅雨明け宣言が出ていないのは、奄美の梅雨明け宣言はトカラ列島も含まれるため、恐らくはそちらの梅雨明け待ちなのでは?と。

空港内のエアコンの効いた空気でも、その湿度は高く、飛行機を降りた途端に全身にまとわりつくような感じがする。
だが逆に、虫屋にとってはそれがたまらない。
全身が疼き、思わず叫び出したくなるが、着いて早々お巡りさんのお世話になりたくはないので我慢しておく。

早速レンタカーを借りて、まずは宿にチェックインすべく名瀬に向けて車を飛ばす。
車窓をよぎる蝶影は多く、以前お盆時に来ていた時よりも更に数は多い。

…と、走り出してしばし、いきなり路上にクワガタが落ちているのが目に入った。
“こんな場所で!?”と慌てて急ブレーキを踏み、確認に行く。
走っている車から“クワガタ”と認識できるぐらいなので、相当に大きいハズだ…


…って、





アマミヒラタ轢
でけぇッ!!

今まで見た事もないような巨大なアマミヒラタクワガタが轢かれていた。
しかも、まだ轢かれて間もないらしく脚や触角が動いている。
…一瞬眩暈がしそうになるが、とりあえず車に戻ってノギスを当ててみると、余裕で70mmを超している。


なんで昼間っからこんなのが轢かれとんじゃぁぁぁあッ!!!!

アマミヒラタの70mmOVERなんて、狙って採れるサイズじゃない。
正直、普通にバナナトラップ(→バナナトラップ)で採集していると60mmですらキツイ、というのが印象。
普通に採れるのは30~40mm台の個体がほとんど。
奄美に着いて最初に見たクワガタが、特大級の轢かれたヒラタって…

その個体は轢かれて割れてしまってはいるものの、まだ原形を保っており修復すれば何とか見られる程度の標本にはなりそうだったので、未練がましく拾って収穫第一号。

チェックインを済ませたら飯も食わずにソッコーでバナナトラップを仕掛けに行く。
以前は「羽田→奄美 便」は午前に奄美に着けたので比較的時間に余裕があったのだが、いつからか時間が遅くなったため、初日にバナナトラップを仕掛けるのがナカナカ大変になってしまった。
なお今回は、今までと少しトラップのレシピを変えており、どういう結果が出るのか楽しみ半分・不安半分でもある。
時間がないのでとりあえず目ぼしい場所に20個ぐらいを設置。
それから現地友人のY氏に連絡を取り、鶏飯屋「ひさくら」で落ち合う。

鶏飯

時間はあまりないのだが、やはりコレを食べないと奄美スイッチが完全にONにならない。
鶏飯を掻っ込んで店を出ると、既に辺りは暗い。
急いで車に乗り込み、ポイントへ向かう。

…既に日もとっぷりと暮れて闇に沈んだ林道へ、ゆっくりと車を走らせる。
まず最初のトラップ第一号を見ると、小さなスジブトヒラタクワガタが1頭。
だが、スジブトは奄美を強く感じさせてくれるクワガタのひとつなので、まずは嬉しい。
…それに、初日からスジブトヒラタが採れるなんて初めてだな。

さて、そうやってトラップを巡回していくと、やがてそこにはクワガタ好きの夢の世界が展開する。

奄美バナナトラップ

今日午後に設置したばかりのトラップだというのに、あちこちでアマミノコギリクワガタが付いている。
時には、75mmという巨大な個体が張りつき、更にその裏側に71mmが陣取り、トラップを結んだ枝には順番待ちの中型個体、下を見れば大型オスに落とされたのか小さな個体が複数歩き回っている。

すげぇ…

黒光りするノコギリクワガタが、いくつもトラップにたかる。
思わず息をするのも忘れていた事に気付き、ふぅと一息吐いた途端、クワガタ達がバラバラバラッ!とトラップから落ちる。
「うわわっ!」
なんて敏感な奴らだ。
慌てて落ちたクワガタを拾い上げると、もうその太さが素晴らしい。
(※そんなワケで、写真は75mmのものではありません。撮る間もなく落ちてしまったので…)

順にトラップを回っていくと、あちらこちらにノコギリが付いている。
梅雨明けはアマミノコギリの発生ピークで個体数が絶対的に多いとはいえ、初日からこんなに多数のクワガタがバナナトラップに集まったのは初めてである。
以前、お盆時に何年も通っていた頃は、初日はほとんどクワガタは集まらず、2日目も少数、3日目からワラワラと集まりだす、というのがお決まりパターンであり、こんなふうに初日からバンバンとクワガタが集まるなど初めてだった。
やはり、“あのレシピ”が効いたという事なのだろう。

う~ん、素晴らしい!


…そうこうするうち、多数の蛾が付いたトラップがあった。
バナナトラップは新鮮なうちはフクラスズメやルリオビクチバなど大型蛾類が来ることが多く、今回のトラップもフクラスズメがベタベタと付いている。
表側は蛾ばかりなので裏側にクワガタが付いていないかとトラップに近付こうとすると、一緒に居たY氏が突然、

「ハブっっ!」

と叫ぶ。
ビックリして慌てて見てみると、


ハブとバナトラ
ぅどわぁぁぁあッ!!!! Σ(゚Д゚;)

トラップのすぐ上に、60~70cmぐらいの本ハブが枝に巻き付いているではないか。

…ま、全く目に入っていなかった…。

しかも、位置的にあのまま普通にトラップを覗き込んでいたら頭か首筋を咬まれていた可能性すらある。

……(゚∀゚;)

………………

………………………………(滝汗)



教訓:クワガタに夢中になる前に、ハブには十分注意しましょう。



…結局、初日から75mmを含む多くのアマミノコギリが採集でき、2012年梅雨明け奄美採集はいきなりハイテンションなスタートを切ることとなった。




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奄美大島採集記2012夏~目次~
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奄美大島採集記2012夏~目次~

奄美大島採集記2012夏 [目次]

(01)~初日~
(02)~黒き翅の蜻蛉と蝶~
(03)~スジブトの日~
(04)~深き森の赤~
(05)~ミカン畑の奇跡~
(06)~スジブトの謎の生態~
(07)~本来ならハイライトになり得るはずの中日~
(08)~中日その2~
(09)~ゲンゴロウ~
(10)~トゲさん、いらっしゃい~
(11)~最後の奇跡~
(12)~旅の終わり~

「奄美大島採集記2012夏」があまりに長いので、迷子にならないように目次作りました。
…とか、読んでくれる人向けのように書いておいて、実は半分ぐらいは自分が読み返ししやすいように(笑)

裏面展足標本

えーと、採集記をお待ち頂いている方には申し訳ありません(^^;
ちょっと今回は標本関係記事で。
次回から順次採集記を書いていきたいと思いますので、今しばらくお待ち下さい。






さて、前々回記事のように通常の表向きの標本にするより裏向きで標本にしたくなる虫というのがたまにいます。
そうでなくても、同じ虫を複数頭採った際に裏面が美しかったりすると、1頭ぐらい裏面の標本にしてみたくなる事があります。

ミヤマ裏展

でも、チョウなら表展翅も裏展翅もさほど変わらないけど、

甲虫の裏展足って虫をひっくり返して脚を空中の状態で固定しないといけないから難しい







…とか、思っていませんか?


そんな時は頭を柔らかくしましょう。
思考を柔軟に、発想の転換。

何の事はない、
表向きに展足して、乾燥させた後で裏返せば良いのです。


…そう、なにも展足時から裏返しで作業する必要は全くないのです。
乾燥させた後で昆虫針を抜き、逆向きに刺し直せば良いだけ。

ミヤマ左針刺し
ただ、気を付けなければいけないのは、最後で裏返すので、最初の時点では昆虫針を左側に刺すということ。(※乾燥後に針を刺すという方法もありますが、裏面だと脚が上に来ているため、その状態で針刺し作業をすると足を折ってしまう可能性もあるのであまりオススメしません。)

針を左側に刺したら、そのまま普通に展足して乾燥させ、乾いたらそっと昆虫針を抜き、腹側から刺し直すだけです。
これだけで裏面標本の出来上がり。
もし標本がクルクル回ってしまう場合は、下側を少量のボンドでとめるだけ。

「裏面標本=裏展足」というのはただの先入観、固定観念。
発想を柔軟にすれば、なんら難しくないのであります。

帰ってきました

バナナに来たアマミノコ

帰ってきました。
…というコトで、行先は奄美大島でした。

奄美大島はおよそ年1で10年以上通っていますが、実は梅雨明けの初夏に行ってみたのは初めて。
梅雨明けと言えばアマミノコギリ・スジブトヒラタの発生ピーク。
更に、クワガタ以外の虫にも有名なのがいます。
さて、その中で何を狙い、何が採れたのか?
…採集記は順次書いていきたいと思いますので、ごゆるりとお待ち下さい。

とりあえず、昼間からバナナトラップに付いていたアマミノコギリの大歯型をペタリ。

我が家の奇形さん(3)

久しぶりの「我が家の奇形さんシリーズ」です。
今回は全て同じタイプ、4頭とも脚が1本だけ短いタイプの奇形です。

ミヤマクワガタ
脚奇形ミヤマクワガタ
左後脚(写真の標本は裏面なので、右側の後脚)が1本だけ明らかに短いですね。

カブトムシ
脚奇形カブトムシ
こちらは右後脚だけが短い(写真だと左側の後脚)。

エゾカタビロオサムシとエサキオサムシ
脚奇形オサムシ
どちらも右後脚が短いタイプです。

こういった奇形はオサムシなど幼虫が野外で動き回るタイプの虫に多く見られ、クワガタムシなど幼虫が土や木の中に棲むものでは比較的少ないようです。
…そう考えると、このテの奇形は遺伝子による先天的な要因ではなく、幼虫時代の欠損による後天的要因の奇形と思われます(※最初から遺伝的に奇形だったのではなく、成長する段階で何らかの原因で奇形になった)。
おそらく、幼虫時代に襲われたりケガ等で欠損した脚が脱皮によって多少再生したことによるものだと思います。
脱皮を重ねる度に再生脚は少しずつ大きく復元されていくものの、脱皮回数には限度があるため完全再生には至らず、という所でしょうか。
より初期に欠損した場合は複数回の加齢(脱皮)によりある程度の大きさまで再生し、より後期(終齢とか)に欠損した場合は、蛹化または羽化の脱皮のみなので再生脚も小さい、という事かと思います。

稀に見られるクワガタムシの大アゴが片方だけ小さい、という奇形も個人的には同様の原因(“材が固い”等により片方のアゴが欠けたもの)ではないかと考えています。


ひとくちに“奇形”と言っても、そのタイプは千差万別です。
奇形というのは、正常型に当てはまらない異常な形のものを言いますので、正常な個体変異の範囲からはみ出してしまえば全て奇形、という事はつまり「奇形とは“こういう形”」というものが無いのです。

今回の奇形は後天的要因によるもので比較的目にしやすいタイプかと思います。
採集をする際、よく見ていれば同じタイプのものが見つかるかもしれません。

初夏の山梨・韮崎市(2)

※6月20日UP記事の続きです。虫けら屋本人は現在は南の離島におりますが、記事は予約投稿で。
一応「前回(→前回記事)」の続きになりますが、2日目は天気も悪く、トラップを回収してちょっと見回っただけなので短いです。




6月16日
…朝起きてみると、予報通り天気は悪い。
昨日は晴れ間の覗く良い天気だったのだが、今日はシトシトと小雨。
これではチョウは難しいな…。

まずは餌用ミミズを確保してからベイトトラップ(→ベイトトラップ)をチェックするが、やはり追加のオサムシは落ちていない。
オサムシは基本的には夜行性だが、夜間気温が下がって寒くなるような場所では昼間メインに活動する場合もあるようだ。
ミミズを追加でコップに入れて、打ち合わせの北杜市(旧・長坂町)のオオムラサキセンターへ向かう。

夏のイベントの打ち合わせをして、昼過ぎに解散。

イベント下見を兼ねてセンター敷地内を歩き、ふと池を見てみると、小雨の中で羽化しているトンボがいる。
腰の部分が黄色い、コシアキトンボだ。

コシアキトンボ羽化

再びベイトトラップを仕掛けたポイントに戻ると、小雨降る中オオオサムシ3♀が新たに落ちていた。

オオオサムシ3♀

…が、考えてみると、今回ベイトに落ちたオオオサムシは何故か全部♀だったような…?

計9頭が採れているが、回収時にざっと見ただけだが全て♀だったように思う。
時期のせいなのか、他に原因があるのか分からないが…。
ついでに、「あと1頭採れたらちょうど10頭だったんだけどなー」なんて思ったりも。

残った餌を捨ててコップを回収し、出発する前に小用を…と思ったら、足下にオサムシ。
紺色の大型はオオオサムシだ。

オオオサムシ♂

“これでちょうど10頭だ!”と拾ってみると、♂だ。
こいつはラッキー。

ついでに材置場も行ってみるが、小雨ではタマムシは飛来しない。
カミキリもほとんど来ていないが、チャイロホソヒラタカミキリだけは数頭が見つかった。
樹液も見てみるが、シラホシやムラサキツヤはおろかシロテンハナムグリ(→シロテンハナムグリ)も来ていない。
…ま、この天気ではなぁ…。

という事で採集を終了し、荷物を片付けて車に乗り込み、中央高速の韮崎ICへと向かった。




…今回は、打ち合わせついでの採集ではあったが思った以上の成果が上がり、初夏の山梨採集を楽しむ事ができた。
ゼフはまだほとんど出ていなかったが、オサムシ・ハナムグリ・タマムシなど採りたかった種が色々と。

材置場を見に行ったのは、もしかしてルリボシカミキリやヤマトタマムシが出ていないかな…と淡い期待を抱いていたのだが、さすがにゼフもほとんど出ていないようでは、まだ2種とも姿を現さなかった。
彼らとの出会いは、夏のイベント本番の時期に期待しよう。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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