就寝ナミアゲハ

先日クビキリギス(→記事)を紹介したが、良く似たもう1種を狙って近所の河川敷に行ってみたところ、4頭ぐらい鳴いているのを見つけたのだが、録らせてもらえず。
ブレないように三脚を立てて撮影しようとするのだが、立てる最中に鳴き止んでしまう。
で、鳴き止むと20分以上待っても再び鳴き始めてくれない。

そんなこんなで草藪を漕いでいたら、緑の中に急に薄黄色っぽい色が見えて何かと思ったら…
就寝ナミアゲハ-1

ナミアゲハさん、就寝中。
就寝ナミアゲハ-2

彼らは寝る時は外敵や雨から身を守るため葉の下側にとまって寝ることが多い。
やや深めの草藪(膝上ぐらい)の中とは言え、堂々と葉の上で寝ているとは…。

で、せっかくだからと持ってきたビデオカメラの写真機能で撮影しようとしたら、まさかのバッテリー切れ。
「ちょっ…こんな時に…」

仕方ないので携帯のカメラで撮影した。


…さて、次回更新は「3月、徳之島遠征」最終話です。
ケブカコフキコガネ…
…本当に知れば知るほど分からなくなる虫です。
でも、そこがまた魅力なのかもしれませんが。
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3月、徳之島遠征(5)

3月7日
昨夜はケブカコフキの♂の個体数は比較的多かったものの、♀までは辿り着けず。
♀は一体何処にいるのだろう…

さて、今日も今日とてウ○コ登山。
A岳登山道
10kg近い糞をザックに入れて担ぎ上げる人もいるようだが、自分は万が一にもザックの中で袋が破れたりしたらシャレにならないので、2~3kgをビニール袋に入れて手に下げて持っていく。

ひとつずつトラップをチェックしていくが、やはり低い場所ではオオシマセンチコガネがほとんどでマルダイコクは少ない。
マルダイコク-3
そこで、ほとんどのトラップを山頂下のポイントに集結させる事にした。
掘り起こしてザルを持って更に登り、また次のトラップも掘り起こし…と。
登山道付近に2基、ヌタ場周辺に5基の計7基のトラップを設置し、山を降りる。


やがて夜の帳(とばり)が下りる。
6日以降は風も穏やかで暖かく、ケブカが飛ぶには最良の条件が続いている。

…と、ライトトラップにやたらデカイものが飛び込んだと思ったらタイワンカブト
徳之島タイワンカブト
こんな時期に成虫が活動しているんだなぁ…とちょっと驚く。

さて良い時間になったので真っ先にアダン&ハマビワの林に飛び込んでみると、すぐに羽音。
だが、やはり♀がいない。
残りあと2晩なので勝負をかけなくてはいけない。
林内を探せば昨夜同様♂は多数追加できるだろうが、♀に迫るには視点を変えなくてはいけない気がする。

♂が上から落ちてくる事から樹冠交尾の可能性も考え、数を諦めて樹冠部を照らしながら林縁を歩いてみるが…
…いない。
どうせ数は諦めるのなら…と、今度は道に出てみる。
道のアダン
道沿いも車で照らすと♂が次々飛び出してくるので発生しているのは間違いない。
だが、昨夜までの林以上に入りにくい。アダンが絡み合っている上に、入ろうとすると下草に隠れて60cmぐらいの落段差がある。

なのでまずは入れそうな場所を探そうと藪を照らしながら歩いてみると、やたらと♂が飛来する一角があった。
1♂捕らえて毒ビンに入れている間にも、1♂、また1♂と飛んでくるのだ。
まさか…と思って覗き込んでみると、木々の藪の中に広さ2m程度の小さな空間があり、そこのアダンの葉にとまる個体が見えた。



…確証はないが、直感がそう告げた。
だが、その個体を採るには鋭い刺だらけのアダンの葉を掻いて手を伸ばさなければいけない。

痛い!
でも揺らしたら落ちちゃう!!

ギリギリと手を伸ばし、鷲掴みにする。
手元にきた個体を見てみると、前胸背まで赤い。
裏返すと触角は……小さい!

徳之島ケブカ♀-1
「ぃよっしゃぁぁぁあッ!!!!」

夜のアダン林で1人、大絶叫。

徳之島はケブカコフキ♀は未記録。
つまり、これが、採集された徳之島産♀の最初の1頭。

無理してでも延泊して良かった!
これで胸を張って帰れる!

道に戻り、♀を携帯で撮影してFさんに♀採集の一報をメールする。
それからやっと気を落ち着け、その個体をサンプル管に入れる。
そうして、今♀がいた空間を再度覗き込む…と、

「もう1コいる!!」

先程の♀がいた場所のやや奥手に、重なった2頭のケブカ。
本当ならまずは生態撮影をしたいところなのだが、下はアダンの枯れ葉が積もっており、もし落としてしまったらそのままロストしてしまう可能性が高い。
撮影か採集か…と比較したら、やはりどうしても採集を選ぶ。
…貴重な生態写真を撮るチャンスなのは重々分かっているのだが…。
痛い痛い痛い!
無理矢理アダンの葉を掻き分けて手を伸ばし、ペアまとめて掴む。
今度のは普通カラー、いかにも奄美系らしい暗色系の♀だ。

勢いづいて3♀目を探すが、流石にそんなに集まってはいない。
道に戻り先へ進む。

…と、また別の“ぽっかり空間”の5~7mほど奥手のアダンの枝に、黒いものが見えた。
アダンの藪

「♀くさい…」

見てしまっては確認せざるを得ない。
落段差に注意しながら、藪に隠れて見えないアダンの枝を平均台(体育の方の)のようにしながら奥に入る。
アダンを藪漕ぎしつつ、しかし♀(?)のいる枝は揺らさないように注意して、なんとか近付く。
枝が揺れるたびに個体がグラグラしているように見えて、黒ヒゲ危機一髪よりスリリングだ
しかも下は折り重なったアダンの枯れ葉で、落とせば高確率でロスト。
それでもなんとかその個体も掴み、確認すればやはり♀。

戻り際、アダンの平均台で足を踏み外して60cm程度を転げ落ちて転倒し、その拍子に毒ビンの蓋が開いて中身がこぼれ落ちるハプニングに真っ青になるが、幸い♀は残っていた。
…すぐに♀は別のPPサンプル管に移す。

23時には羽音も消え、活動がほぼ終わる。
最後に一回りと歩いてみると、灌木の高所にオレンジに光る眼が見えた。
ケブカ♀のいた場所

ケブカだ。

だがしかし、やたら高い上に恐ろしく採りにくい場所だ。
とりあえず、素手ではどうやっても届かないので車から網を取ってくる。
絡み合うアダンの枝を避けながら近付き、網を伸ばすが……難しい。
弱い風でも網が煽られるし、木の又に近い辺りなので網が入れづらい。
そうこうするうち、その個体がポロッと落ちてしまう。

しまったぁぁぁあ!! Σ(゚Д゚|||)

慌てて根元に回り込むが、アダンの枯れ葉が重なり見つけるのは至難の業……かと思われたが、幸運にも落ちた♀は分かりやすい場所で脚を縮めたまま動かずにいてくれたため奇跡的に発見できた。


4♀。
徳之島ケブカ♀4ex.

大健闘である。
また、今日は昨夜まで以上に♂の数が多かった。
ライトトラップに入る♂の数も昨夜までの倍以上。
もしかすると、発生のピークだったのかもしれない。




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3月、徳之島遠征~目次~
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クビキリギス

「3月、徳之島遠征」の採集記を連載中ですが、ちょうど今が旬の虫がいるので少々閑話休題。


桜の花もすっかり散って葉桜になり、夜でも暖かな日が続くようになるといよいよ春本番。
…ところで、この時期になると、夜に町中を歩いていると不思議な音(?)を耳にしないだろうか。
どこかの配電盤の呻りのような、耳鳴りがするような単調な“ジーーーーーッ”という音…

…そう、こんな音だ。


どこから聴こえているのかよく分からないような音だが、よくよくその音の出所を探ると、近くの草むらや民家の生垣に当たる。

これ、実は 虫の声 なのである。

あまりに単調過ぎて機械か何かの音にしか聴こえないのだが、クビキリギス というれっきとしたバッタ(キリギリス)の仲間。
体長も6cmぐらいあるナカナカ立派なバッタで、色は鮮やかな緑色~枯草色まで個体によって異なる。

クビキリギス
バッタやキリギリスというと晩夏~秋に現れる虫というイメージが強いが、実はこのクビキリギスという虫、成虫で冬を越すという面白い生態を持っている。
そのため、他のバッタがまだ卵から孵ったばかりの春に、いち早く姿を見せて鳴き始めるのである。


このクビキリギス、“首切り”なんて物騒な名前を付けられてしまっているのは、咬み付く力が強く、咬まれたのを無理に引っ張ると首が千切れてしまう…という所から来ているらしい。
言われてみると、この赤い口と鋭く尖ったアゴはいかにも痛そうだ。
クビキリギス顔面

私が小学生の頃は、この赤い口を人の血に見立てたのか、“血吸いバッタ”なんて更に恐ろしい二つ名も付けられていた。


…ところでこの虫、“キリギリスの仲間”ということでインターネット等でも時々「クビキリギリス」という誤表記を見掛けることがあるが、正しくは「クビキリギスなのでご注意を。



※4/24 追記※
古い文献では「クビキリギリス」の表記もあるようですが、近年ではほぼ全ての文献で「クビキリギス」で統一されています。

3月、徳之島遠征(4)

3月6日
3月上旬というオフシーズンだけに、3日後の土曜日でも飛行機に十分空席あり。
1,000円チョイ値段が上がるので差額だけ払い、変更完了。
そこから空港に車を駐めたまま徒歩でレンタカー屋に向かい、延泊希望の旨を伝える。
こちらもオフシーズンで少しでもレンタルを増やせるのは御の字らしく、すぐに延泊決定。追加料金は返却時に支払えば良いらしい。

はい、延泊手続き完了

…宿ナシ車中泊の旅なので、飛行機と車さえ押さえられれば延泊は可能なのである。

これで期限が3泊延びた。
ケブカコフキが今発生しているのは間違いないので、この3泊の間になんとか♀に辿り着きたい。
奄美系のケブカコフキは沖縄系に比べて♀が採りづらく正直厳しいとは思うが、知人から「ケブカマイスター」なんて二つ名を付けられてしまっているので、マイスターの面目躍如といきたいところ。

さて手続きが済めば足取りは軽い。
空港に駐めた車に戻り、そのまま糞虫ポイントへ向かう…前に、途中のコンビニで食事。
徳之島にはエブリワンというコンビニが3軒あるので、食料の入手には困らない。
弁当を買って車内で食事を済ませ、出発する。

ところで、昨夜採集したケブカ♂を改めて見てみると、なんだか小さい印象を受ける。
奄美大島で採集した個体は平均して沖縄やんばる産より若干大型の傾向があるように思えたので奄美系は大きいのかと思ったが、今回採れた個体はサイズにかなりバラつきがあるものの概して小さい。
最も小さいものでは1円玉と大して変わらないサイズだ。
徳之島ケブカと1円玉

環境による差なのか、それとも別の条件があるのか興味深いところ。
今夜以降の追加で確かめられれば面白いのだが…。

さてポイントに着いて糞トラップを順番に回収していくと、山頂まであと5~10分という辺りに掛けたトラップが当たった。
例の不愉快なバットを使って仕掛けたものから、マルダイコクがボロボロ出てきたのである。
怪我の功名というか何と言うか…今ひとつ釈然としないものはあるが……まぁ採れるに越した事はない。

バットは浅いので、糞をどかして中の土を掻き回すとマルダイとオオシマセンチが次々と出てくる。
土の中から黒いものが見えた瞬間に、光沢があればオオシマセンチ、艶消しならマルダイコクだ。
マルダイコク-2

数日、試行錯誤しながらトラップを掛けてみたが、『地表の風通しが良い』『斜度が緩く小さな虫が歩きやすい』『湿度がある』…あたりが条件になりそうだ。あとは『獣がいる』かな?
ポイント周辺はイノシシのヌタ場が多く、そういった場所の周辺はマルダイコクコガネが多いようだ。

本日も数時間をかけてチェックと移設を完了。
食料を調達しつつケブカポイントに移動して夜を待つ。

…ところで、徳之島はガソリンがかなり高い
行く前に奄美の友人Y氏とメールしていた際、奄美大島は1リットルあたり160円ぐらいとの事で「高速道路並じゃねーか」(虫けら屋の住む埼玉の辺りでは、150円台)なんて言っていたのだが、徳之島は更に上を行っていた。
リッター173円
ガソリンが1/3ぐらい残っている状態で満タン給油すると、5,000円札が飛んでいく…
島価格で仕方ないのだが、ナカナカ地味に懐に響く。

さて本日は20時から森に入ってみる。
昨夜も探索したアダンとハマビワの林だ。
…ちなみに、この時点でライトトラップには何も飛来していない。
ハマビワ林
(※またまた昼間の画像で代用…)

中腰で林の中を歩いていると、やがてブブブブッという羽音が聴こえてくる。
活動が始まったらしい。
胸元に下げた蛍光灯の明かりに飛び込んできたところで捕えて時計を見ると、20:10だ。
…やはり20時過ぎから活動を開始するようだ。

やんばるで採集した際は日没して周囲が真っ暗になると同時に活動を開始していたが、この違いは一体何が要因なのだろう?
直接的な要因は「♀がフェロモンを飛ばす時間」の違いなのだろうが、ではなぜ♀が♂を呼ぶ時間が異なるのか?
気温ではなさそうだし、明るさでもない。
他に何か異なる条件があるという事なのだろうか…。
解明できたら面白いと思うのだが、それをやろうと思ったら現地に腰を据えて毎年シーズン中は毎日のように観察していないとダメだろうなぁ…。

探索をしていると、気になった事がひとつ。
昨夜も思ったのだが、沖縄ではケブカは雌雄を問わず胸高以下の高さで多く見られたのに対し、今回は結構な数の♂が上から降ってくるのだ。
確かに林床で飛び回っている個体も少なくないのだが、全体の4割ぐらいは上から降ってきている印象がある。

もしや樹冠部も活動域になっているのか…?
アダン林
アダンの枝によじ登り、2mぐらいの高さまで登ってみると、確かにポツリポツリとケブカ♂が来る。
もしかすると、ここのケブカコフキは樹冠部を主な出遭いの場にしているのかもしれない。

しかし残念ながら♀の姿は見当たらず、やがて昨夜と同じく23時頃には活動もほぼ終息。
♂の個体数は昨夜より多かったが、♀には辿り着けず。

徳之島ケブカ♂-3





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3月、徳之島遠征~目次~
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【告知】標本教室

今回は、日本昆虫協会で開催している標本教室の告知です。
私が企画や講師を担当しておりますので…

少し前から時々記事に登場していた「ライブ標本」の標本教室をいよいよ開催する事になりました(→記事:その(1)その(2))。

まずは初級編ということで、こちらの形から。
ライブ標本04
クワガタが木の上を歩いているような姿で作るライブ標本です。

一見すると、記事「その(1)」の
ライブ標本01
…の方がシンプルで簡単そうに見えますが、実は自然な感じで体を起こすというのは意外と難しく、今回の方が作業難易度は低かったりします(※なので、「その(1)」の方は今後、中級か上級編でまた企画を立てたいと思います)。

日時: 5月5日(日) 16:30~19:00
場所: むし社 第2営業部

※なお、同日13:00~15:30で、普通の「チョウの展翅と甲虫の展足」という標本教室もあります。

詳細やお申し込みは、以下の日本昆虫協会HPからお願い致します。

日本昆虫協会 標本教室:http://nikkonkyo.org/event/2010/event_hyohon.html

ご興味のある方は、ぜひぜひよろしくお願い致します。

3月、徳之島遠征(3)

3月5日
朝起きると天気は良好。
さっそくライトトラップを確認しに行くと…


徳之島ケブカ♂-1
おったー!!

1♂のみではあるが、ライトトラップに待望のケブカコフキコガネが入っていた。
ようやく、である。
場所を変えたのが良かったのか、天候条件が好転してきたのか…理由は色々考えられるが、1♂では憶測でしかない。
今夜が最後なので、せめてもう少し…という所である。

再び糞虫ポイントへ向かう。
途中で新鮮な牛糞を頂き、山へ。糞を持って山を登るこの作業も今日までである。
本日も少ないながらマルダイコクは来ていた。
オオシマセンチコガネの方が多いが、どちらも良い虫なので嬉しい。
やはりマルダイコクコガネは山頂に近い場所の方が確実に個体数が多いとのことで、チェックをしつつトラップを高い場所へと移設していく。
…と、途中で嫌なモノを見つける

A岳のゴミ

プラスチックコップにザル、更に画像には写っていないが透明プラ製のバット(※野球ではなく容器の方のバット)。
コップは中も土で汚れており、何かを飲み食いしたものではない。
更に極めつけに、バットの中には乾いた牛糞がこびり付いていた。
…明らかに、マルダイコクコガネを狙ってトラップを掛けた残骸である。

…あのさぁ、現地に捨てていくなよ。

確かに山の中は地元の方のゴミが結構目に付き、正月参りの登山の際のゴミなどを放置してしまっている雰囲気はあるが、だからと言って他所から来た虫屋まで捨てて良いなどという理屈にはならない。
持って山を降りるのが面倒という気持ちは自分にも確かにあるが、それでも山の下から牛糞数kgを担ぎ上げるのに比べたら、ザルやコップを持って降りるぐらい大して苦にはならない。
…少々不愉快な気分になりながらも、バットは使えそうなのでそのまま持って行き、山頂付近にそれを使ってトラップを追加設置する。
どうせ回収するなら、その前に有効活用してやろうかと。

そうして3~4時間ほど掛けてトラップのチェックと移設・増設を終えて山を降りる。


あとは泣いても笑っても、今夜が最後の勝負。
沈んでいく夕陽を見つめながら静かに待つ。
晩夏の奄美の山で、秋のやんばるで、そしてこの早春の徳之島で…日没から探索を始めるまでの、刻一刻と風景が闇に沈んでいくこの時間は、期待と焦燥と不安をマーブル状に混ぜ合わせたような何とも言えない気分になる。

19時を過ぎてライトトラップを見に行くが、何も入っていない。
昨夜までと比べて風は格段に収まり、気温も少し高いように思う。
条件は悪くないハズだ。

19:30 ナシ
20:00 ナシ
20:20 ナシ
…やはり今朝の1♂は偶然だったのか、と思い始めた21時前、

入った!
慌てて懐中電灯を持ってススキ原を探索するが、しかし羽音は全くしない。

風ナシ・気温ヨシでライトに来ているのにススキ原に羽音もしないというのは…発生源がここではない可能性が高いというコト。
しかし、じゃあ一体何処で…?

“まさか…”と思い、可能性を潰すぐらいのつもりで、ライトを掛けたアダン林の裏へと回ってみる。
その林縁をライトを持って歩いていたところ、ハマセンダンの藪の中からブブブブッという明らかな羽音が聴こえた。
「いる!!」
だが羽音は藪の中でもがいており、なかなか上まで上がってこない。
ライトの向きを変えたりしつつ数分待ち、ようやく上まで上がってきたのですかさずキャッチ!
紛う事なきケブカ♂である。

するとまた別の羽音がする。
徳之島ケブカ♂-2
そんなこんなで数頭の♂を得た後、意を決して林の中に入ってみる。
アダンとハマビワの群落が連結して林になっており、その中を何処からともなくケブカコフキの♂が飛んでくる。

明らかに、この周辺で発生してる!

胸元の蛍光灯目掛けて飛来する♂を採集しながら♀を探す。
…それにしても歩きにくい。
徳之島アダン
(画像は昼間に撮ったもので代用になるが)アダンはくねった幹(枝?)が縦横無尽に走っていて、くぐったり乗り越えたりしなければ進めない上にトゲがある。一方ハマビワは樹高が1~2m程しかなく、枝もあるので林の中をまともに立って歩くことすらできず、下手すると四つん這いにならなければ進めない。

こんなんハブでもいたら逃げられん…

22時を過ぎ、飛んでいる♂が減ってきている事に気付いた。
そしてそれに気付くと、あっと言う間に数が減っていく。
23時にはほとんど羽音も聴こえなくなり、林内は静まってしまった。
仕方ないので森から上がり車に戻ると、点けっぱなしにしていたヘッドライトに数頭の♂が飛来していた。
ありがたく追加採集。
簡易式ライトトラップにも4~5頭が入っており、回収する。
やはり♂は走光性が非常に高いようだが、明かりに来るのは全て♂。
♀は1頭たりとも入らないのがケブカコフキコガネ。

1時頃に探索を終え、車中にて就寝。


3月6日
本日も天気は良好。風も穏やか。
ライトトラップにケブカの追加飛来がないのを確認し、急いで空港へ向かった。

徳之島は便数が少ないので、飛行機の離発着時以外は空港の職員も暇そうである。
羽田空港のような緊張感がなく、のどかな空気が漂っている。
“「おや、飛行機もないこんな時間に…」とでも思われてるんだろうな…”とか思いつつ、空港職員の方に軽く会釈なぞしながらカウンターへ回り、担当のおねいさんに言う。

「すみません、今日乗る便なんですが…







…3日後に変更したいんですが。」





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3月、徳之島遠征(2)

3月3日
朝、念のため簡易ライトトラップを確認するが、当然のようにケブカは入っていない。
…ま、そうだろうな。

さてケブカコフキコガネは完全な夜行性の虫なので、昼間はポイントの目星を付けるぐらいしか出来ない。
しかも今回はピンポイントで情報が入っているので、ポイント探しもあまり必要ない。

だがしかし、この時期の徳之島には実はとてもステキな副産物がある。
A岳に、この時期でも採れる格好良い糞虫がいるのだ。
採り方は先日紹介した糞トラップ(→記事)を使う。
徳之島は各所に牛の畜舎があるので牛糞の入手には困らない上、百円ショップまであるので簡単な資材は大抵揃う、意外と便利な島である。
トラップ用のザルを買い、適当な畜舎で牛糞を頂き山へ向かう。

A岳登山道
…意外と斜面が急だ。
その上、夏の台風の影響か時折大きな木が倒れて登山道を塞いでおり、くぐったり乗り越えたり迂回したり。
まして数kgの牛糞の袋とザル、穴を掘るための手鍬と移植ごて(スコップ)を持って両手が塞がっており、歩きにくい事この上ない。
頂上に近い方が狙いの虫の個体数は多いらしいが、とりあえず比較的低い場所から何ヶ所かトラップを仕掛けていく。
糞トラップ
計5ヶ所のトラップを仕掛け終え、山を降りるともう16時を過ぎていた。
12月頃に比べて随分と日が延びまだまだ明るいが、かと言ってのんびりしていられる時間でもない。
もう一度ケブカの環境を確認し、更に簡易式ライトトラップの電池も交換しなくてはいけない。
急いで車に乗り込み、ケブカのポイントへ向かう。
さて、今夜こそは……


ごうごうごう…ばびゅおぉぉぉぉぉおおっ!!


…………orz


3月4日
夜は車の暖房をつけないと寝るのにチト辛いぐらいの寒さだった。

日が昇り、車内が少し暑くなってきた頃に起き出す。
バキバキに固まった体を動かし、体中に新鮮な血液を送る。
毎度ながら車中泊は最初の1~2泊が一番キツイ。3泊目ぐらいからは次第に体が慣れてくるのだが。

そうして朝、ケブカはやっぱり入っていない。
…まぁ、あの気温と風では無理だろうなぁ。
なんかもう、車のギアをニュートラルにしておいたら風圧で車が進むんじゃないかってぐらいの暴風だった。

仕方ないのでA岳の糞トラップを回収しに車を走らせる。
途中のコンビニで食料を調達しつつ昼過ぎに登山開始。

1つ目のトラップはオオシマセンチコガネが数頭。
…だが、オオシマセンチも奄美大島産を1頭持っているだけなので嬉しい。
本土のセンチコガネやオオセンチコガネと似ているが黒を基調とした渋い虫だ。

2つ目も同じく。

3つ目のトラップ、ザルを傾けて少しずつ土を出しながらチェックしていくと…

きたぁぁぁあッ!!(゚∀゚)
マルダイコク-1
マルダイコクコガネ!!

奄美大島と徳之島にしか分布していない特殊なダイコクコガネの仲間で、飛ぶ事ができず移動はもっぱら歩行のみという変わり者。
角も発達したそれなりに大型の個体だ。
飛べないためにハネも小さく、その分前胸背が発達して逆三角形の体型をしている。
コロコロして可愛いクセにデザインは細かく、思っていた以上に格好良い。
素晴らしい虫だ。

とりあえず、目的のうちの1つは果たせた。
とは言え明日以降も追加を狙うため、牛糞は毎日新しいものに交換していくつもり。

さて夜だが、先2晩は簡易式ライトトラップをススキ原の中に掛けていたのだが、思うところあってそのススキ原を見渡せるように農道を挟んだ向かいにあるアダンに移してみた。
これが吉と出るか凶と出るか。
やがて陽が落ち、19時を過ぎる頃には周囲は真っ暗になる。
そしてお約束の…

ごうごうごう…ばびゅおぉぉぉぉぉおおっ!!



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プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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