アブラゼミが鳴いていた…

昨日10月30日、某用事で新宿を訪れ、昼頃に新宿中央公園を歩いていたところ、何処からか間延びした“ジリジリジリジリ…”という声が聴こえ始めた。
思わず耳を疑ったが、注意してよく聴いてみればやはり間違いない。

アブラゼミの鳴き声だ。

…まさか、10月も終わろうかというこの時期に、まだアブラゼミが生き残っていようとは。
気温が低いせいか鳴き方が間延びしているが、今この瞬間に鳴いているということは、前日の冷たい雨を生き延びたという事だ。
そして、まだ鳴くだけの力を残しているということ。

当然、私自身では最遅確認記録だ。
鳴いていたのが高い場所だったので姿までは確認できず、画像はないが、あれは間違いなくアブラゼミだった…

いつ頃に羽化した個体なのか分からないが、もしあと2日生き延び、再び鳴くことがあったなら、11月のアブラゼミ鳴き声記録ということに…!!
今週は天気も比較的安定しているみたいだし、可能性はゼロとは言い切れないのではないだろうか。
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奄美大島採集記2013秋~その6~

【(残念ながら)奄美大島のアマミマルバネクワガタ・アマミシカクワガタ・アマミミヤマクワガタは2013年10月より条例により採集禁止になりました。詳しくはリンク先をご参照下さい。→奄美大島の採集禁止について




9月9日(月)
明日にはもう帰る、つまりは泣いても笑っても今夜が最後である。
まずは朝から加計呂麻島に渡り、数日前に仕掛けたトラップを回収する。
古い踏み跡を辿り、クモの巣を払いながら山の奥へと進む。しばし歩くと森が良くなり、かなり“美味しそうな”雰囲気になる。
…が、ヒラタ♀、アマミコクワ♀、ルイスツノヒョウタン♀ぐらいで目新しいモノは入らず。
やはり難しいかぁ…

再びフェリーに乗って奄美大島に戻ればもう夕方、急いで車と人間のお腹を満たし、ポイントへ向かう。
ポイント入口に着くと、parnass君とその友人が支度を整えているところに出くわした。
時間までしばしお喋りして、19時を過ぎたあたりで3人一緒に入る。

マルバネの森-2

一人で入ると集中力が高まり、周囲の葉擦れの音や虫の立てる小さな音にも気付くが、誰かと喋りながら入るとそういうものには気付きにくくなる。
それでも、肝心のマルバネを見落としては困るので巨木だけは注意しながら歩いていく。
そうして虫話をしながら歩くことしばし、巨木の根元に♀が付いているのが目に入った。
本日最初の個体だ。
アママル♀

林内の踏み跡を歩きながら、その周囲にある巨木を順に見ていく。
続けざまに数頭を見つけたものの、そこで止まってしまう。だんだんと奥へと進むも、なかなか続く個体が発見できない。
ならば自分はもう道無き道に突っ込もうと思い、2人に「この辺から自分は適当に突っ込んじゃうから、こっちは気にしなくて良いよ」と宣言し、森の中へと突っ込んでいく。
…まぁ、あの2人なら放っといても遭難する心配もあるまい。

時々GPSの軌跡を確認しながら、まだ歩いていない方向へと足を進めていくと………いた。
アママル5号

マルバネは巨木の表面にじっと静止しているものが多いが、たまに歩いているものもいる。
ある程度遠くても、見やすい位置にいる個体はライトで黒光りするので分かりやすいが、側面や裏側にいる個体、太い枝に付いた個体等“どこに付いているか分からない”ので、怪しい木は周囲をぐるり一周して確認する必要がある。
そうして巨木を回り込……あ、いた。
根元からこぼれおちたフレーク(という言い方は本来正しくないんだけど)の上に1♂。更にその横にも1♂。
ライトを当てた途端に慌ててウロの中に逃げ込もうとするのを急いで取り押さえ、更に回り込むと今度は♀。
発生木……かもな、これは。

更に、大きな倒木の横に落ちた朽ち木片の上を歩く♂を見つけ、それをケースにしまってもう一度見れば、同じ木片に更に2頭が付いている。
あばばばば!
1頭ずつ見つかればさほど慌てないのだが、一度に複数頭が目に入ると一瞬どうして良いか分からなくなってアワアワしてしまう。
その木片をひっくり返してみるが、さすがにそれ以上はいなさそうだ。
ならばと巨大な倒木の方を照らすと、明らかに大型のマルバネが付いているのが見えた。

「いたっ!」
だが、手前に根があり、ここからでは届かない!
ライトに気付いたか、マルバネがゆっくりと動き出す。
いかん!逃げられる!
慌てて回り込み、その個体を押さえ込む。

アママル60up
デカイ…!

タテヅノ(大アゴの真ん中辺りから上に向かって伸びる内歯)は痕跡の痕跡ぐらいしかないが、大アゴが前方に伸び、今までの個体とは明らかに異なる迫力。
先日の58mmより大きいように思う…
これは…60mmを超えたかもしれん…!

斜面を横に進みながら灌木を押し分けてはスリ抜け、巨木を探す。
折れて切り株になった木を覗き込むと、中は全て腐り落ちて樹皮だけになっている。
その中をライトで照らしたところ、底の部分でガチガチとケンカするマルバネの姿…!
「うわわわ!ケンカしとる!ケンカしとる!」
写真を撮るというところまで頭が回らず、急いでケンカを止めて鷲掴み。
中を見ると既に死亡したマルバネの頭が転がっており、もしかするとそれが♀なのかもしれない。
アママル死骸
切り株の外に小さな1♂を見つけ、更に回り込んでいくと今度は胴体が転がっているのが見えた。
さっき中に転がってた頭の片割れかな?と思って拾おうとしたところ、モソッと動いた。

「生きてんじゃん!Σ(゚Д゚;)」

拾い上げてみれば、先程の死骸とは別個の、生きた♀だった。
胴体だけに見えたのは、土に潜りかけて頭と前胸部分が見えなかったからであった。

…そんなこんなでしばらく探索を続けていると、遠くから懐中電灯の明かりが近付いてくるのが見えた。
「どうもー。おひとりですか?」
声を掛けてみると、
「いや、連れがいるんですけど、車で休んでます」
何処かで聞いたような声だな…と思って照らしたら、なんだparnass君じゃないの。

そちらの成果を聞くと、芳しくないという。
ならば自分はもう今夜が最後だし、2人で探索しつつ先程見つけた発生木を案内する。今日でこれだけ付いていたなら、明日以降でもまだ数頭は採れるだろう。
そして、デカイのを採った倒木の横で荷を降ろして一休み。他のクワガタの採集話なんかを繰り広げる。
更に、「もう終わってるとは思うけど」という前置きで初期に見つけた発生木も案内し、その辺りで時計を見たらもう日付が変わる頃。
「そろそろ出ようか」
という事で、森から上がった。

で、さっそく一番大きい個体にノギスを当ててみる。
暴れて正確な計測は出来ないが、やはり60mmは超えていそうだ。
…アマミマルバネの60mmと言えば、某クワガタ雑誌によればアマミノコギリの76mmやミヤマクワガタの75mmに匹敵するサイズ。
つまり、バカデカイ個体ということだ。

最後の晩にコレとは、美味しく締めてくれる虫だね、まったく(笑)

…そうこうするうち、1台の車が通りかかる。
こんな時間にこんな場所を通るのは、ハブ捕りか採集者しかいない…と思っていたら、車が自分の横で停まる。
もしやと思ったら案の定、某社のIさんお嬢コンビじゃないですか。
話をしてみると、あちらは入って初日の晩だというのにいきなりポイントを当てたらしい。

…やっぱかなわないなー、こういう人達には。

しばし雑談してお別れ、こちらは別の場所のトラップに向かうが、小さなアマミコクワが1♂来ていたぐらいであまり大きな成果はなく終了。
アマミコクワ♂小


9月10日(火)
朝9時に出発したものの、各所に仕掛けたトラップを回収していくうち、どう見ても時間的に飛行機に間に合わない事が確実になってきた。
…正直やりたくないが、仕掛けたトラップをそのまま放置していくワケにはいかないし、仕方なく直行便から鹿児島経由の遅い便に変える。
しかし、振替がきくのは直行便1便分だけなので、鹿児島から羽田までの便は新たに 通常料金で 購入するしかない。
…プラス20,000円の出費……痛い…。
車の故障と合わせて70,000円も予定外の追加出費である。

…懐がイタい……イタ過ぎるよ……

…回収時、どうも仕掛けていたライトFITが誰かに摘ままれたとしか思えない状態になっていた。
見た目は変化はないのだが、コガネムシ類が全く入っていないという異様な状態。
ビロウドコガネやカンショコガネなどはゴロゴロ飛び込むトラップなだけに、仮に昨夜が条件が悪かったとしても全く飛び込まないというのは考えられない。
だとすると、誰かが中味を全部あけて、分からないように戻しておいたとしか思えない。

…フザケた事をしてくれるね…

最後の最後で不快な思いをしつつも、3基仕掛けたうちの1つにナカナカ良い虫が入っていたので少しは気が晴れた。…尤も、それも摘ままれたような感じはあったので、採れたのは摘ままれた後に運良く飛び込んでくれたのだろうと思う。
ホント、採りたいなら自分で作って自分で仕掛けろよ、と思う。
他人の苦労を横から成果だけさらうなよな…誰がやったか知らないが、だったら俺の追加出費70,000円ぐらいせめて肩代わりしろよと言いたい。

最後は空港まで見送りに来てくれたY氏に、手付かずのままだった2リットルのお茶と別目的で買った食器用洗剤を押し付けて(笑)、少しばかり日が傾き始めた奄美空港を、鹿児島空港行きの飛行機へと乗り込んだ。
鹿児島への飛行機

           ~完~


…少し前に別の記事で紹介しましたが、奄美大島はこの10月からアマミマルバネクワガタをはじめいくつかの虫が採集禁止になってしまいました。
正直、奄美大島のアマミマルバネクワガタは今回が最後のチャンスだったワケで、そこに大豊作の年が当たるとは幸運としか言いようがありません。
そしてその年に奄美に行けたこともまた、非常に幸運でした。
…例えこの後お金が無くて極貧生活になるとしても(爆)、それでも今回の奄美は行けて良かったと思っています。

でも、願わくば…またいつの日か、アマミマルバネクワガタに出遭いたい…
そんな想いを残しつつ、採集記を終えたいと思います。

お読み頂きありがとうございました。






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※全6話、以下リンクに目次ページがあります。
日を追って順に読んで頂く方は、どうぞ。
奄美大島採集記2013秋~目次~
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奄美大島採集記2013秋~その5~

【(残念ながら)奄美大島のアマミマルバネクワガタ・アマミシカクワガタ・アマミミヤマクワガタは2013年10月より条例により採集禁止になりました。詳しくはリンク先をご参照下さい。→奄美大島の採集禁止について




9月8日(日)
twitterで相互フォローしているparnass君が今日から奄美に入るというので、情報交換のために「ひさ倉」で待ち合わせ。
2日連続のに鶏飯に舌鼓を打ちながら虫話全開。
鶏飯

…と、向こうの席で食事しているのは魔琴さんkapiさんじゃあるまいか…?
声を掛けると、やはりご本人であった。

魔琴さんの話によると、昨夜某所でミヤマ探索をしようとしていたところ、パトロール(?)がやってきて、10月からアマミミヤマも採集禁止になると言われたらしい。
…となると、アマミマルバネ・アマミシカの採集禁止も本当なのだろう。

…なんということだろう…

色々な話を総合すると、どうもやはり「金目の、乱獲されそうな虫」が規制対象になっているらしい。
となれば、どう考えたって 近年の採集者のマナーの悪さ と、ネット販売 が目立ち過ぎたという事に他ならない。
多数採集することも、時に販売することも一概に悪い事だとは言い切るつもりはないが(※個人的には採った虫を売るのは好きじゃないが)、汚らしいトラップの残骸は残りっぱなしで、その上それで採集した虫を何千円・何万円でパカパカ売っているのが目に付けば、そりゃ島の人から良い目で見られるワケがない。

…なんとも気の滅入る話である(※採集禁止の詳細は別記事にて→記事)。

さて、気を取り直してparnass君たちと別れ、今度は鳥屋のYさん(奄美のY氏とは別人)とお会いするために名瀬に向かう。
…この方こそ、先の3月、徳之島においてケブカコフキコガネの発生を見つけた方で、この方の情報があったからこそ私は徳之島に渡り、同島未記録であったケブカ♀を採集することができた(→採集記)。
その意味では大恩人である。
Y氏を交えて季節真逆のケブカコフキの話を繰り広げ、色々と貴重なお話を伺う……コンビニの立ち話で。

ここでY氏・Yさんと別れ、こちらは毎度のマルバネポイントへ向かう。

…正直、ハブに出遭っていないため行動がかなり大胆になっている。
気を引き締めて…とは思っているのだが、まだ歩いてない場所、まだ歩いていない場所、と思ううちに膝下がシダで覆われたような場所をザクザク歩いたり、細い灌木の間を無理に抜けて進んだり。
もちろん注意しながら歩いているつもりではあるのだが、少なくともハブの多い年だったら絶対にやらないであろう行動なのは間違いない。
歩くうち、樹液に来ているスジブトヒラタなんかを見つけたりする。
樹液のスジブトヒラタ
自然に出た…というよりは、スジブト自身が傷付けて樹液を出したか、もしくは今年異様に数が多いオオゾウムシが木を傷付けて樹液を出したのではないだろうか。
何にしても、樹液に来ている姿というのはナカナカ出遭えるものではないので写真に収めておく。
…数年前の自分ならこれも採集していたと思うが、昨年初夏の大当たり(→奄美大島採集記2012夏 参照)を経験した後では、“まぁこのサイズは採らなくても、ね…”という事で自然下での生態をじっくりと観察するだけに留めておく。

マルバネクワガタは相変わらず数が多く、あちらの木に1つ、こちらの木に2つ、という感じで付いている。
更に運が良ければ発生木と思われる木にまとめて4~5頭付いていたり。
アママル4号

昨夜に引き続き、今夜もマルバネがよく飛んでいるようだ。
バララララ…!というカブトムシと同等の羽音が闇の中から近付いてくるのはドキドキする。
近くの木にとまったのでそれを採集し、ケースに入れたらまた別の羽音がする。
「まだいるっ!」
羽音の方を照らしていると、やがて闇の中から黒光りする大きな甲虫が姿を現す。
上下左右にブレながらも次第にこちらに近付き、途中の木にとまる事もなくとうとう自分の目の前まで来てしまった。

黒光りする大きなクワガタのお腹が、自分の目の前をフラフラと飛んでいる。

これは採れる…!

思わず空いていた左手を伸ばし、空中キャッチ!
飛来マルバネ♂

大きな黒いクワガタが、翅もしまいきれずに手の中でもがく。

うはっ!
飛翔しているマルバネを空中キャッチとか、めっさ楽しい!!(笑)


さて、本日もここでのマルバネ探索は3時間程で切り上げ。
“もっと探せばもっと見つかる”という確証に近い予感はあるが、無理をして何かあっては元も子もない。
それに、目的は数ではなく採集・探索を楽しむこと。
今夜も十分に楽しませてもらったし、というコトで別所へ向かうが、

…そこでショッキングなものを採ってしまう。



アマミシカ中歯
ボロッボロのアマミシカ中歯型。
しかも、大歯型寸前ぐらいまでアゴが伸びている。
にも関わらず、脚は3本切られ、左鞘翅(上バネ)も先が割れている。

ちょっと待てぇぇぇぇぇえッ!!

なんでこんなにボロボロなんだよ!?
こんな歯型良いのに!!
うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…orz

…ちなみにこの個体、かなり歯型は良いもののサイズは33mmとそこそこ程度。
にも関わらず大アゴはやたらと発達しており、この分だと35mmぐらいで大歯になっちゃうんじゃないの?という感じである。
アマミシカクワガタは飼育では40mmクラスが結構簡単に出てくるようだが、野外で見られる個体は9割方が小歯型、いわゆるバンビちゃん
中歯型になる個体すら少なく、大歯型が採れたらサイズに関わらず大喜びしてしまう。
…そんなアマミシカであるから、この大歯寸前のような歯型の個体には、がっっっっくりと肩を落とすしかなかった。






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※全6話、以下リンクに目次ページがあります。
日を追って順に読んで頂く方は、どうぞ。
奄美大島採集記2013秋~目次~
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奄美大島採集記2013秋~その4~

【(残念ながら)奄美大島のアマミマルバネクワガタ・アマミシカクワガタ・アマミミヤマクワガタは2013年10月より条例により採集禁止になりました。詳しくはリンク先をご参照下さい。→奄美大島の採集禁止について




9月7日(土)
今日から相方さんが来る。
虫屋ではないが、生き物は好きだし私の趣味をこの上なく理解してくれて(※諦めているとも言う)おり、車中泊にも付き合ってくれる(※本当は宿付きが良いと毎回言われるけど)。
さて相方さんを迎えに空港まで&レンタカー屋まで行こうと国道58号線を走る。
…やはり、左前輪からの異音 は消えていない。

途中、コンビニに立ち寄った際に車を見てみると、明らかに左前輪の位置がおかしい。
前輪の位置
正常な右前輪(画像左側)と比べてみると、どう見ても車輪が後ろにズレている。
おそらく、このズレによってブレーキの際にタイヤのゴムがガードに当たり、例の旋盤のような異音がしているのだと思われる。
どう考えてもまともな状態ではないので、やはり予定通り一度レンタカー屋に向かう事にする。
名瀬市街を抜け、やがて龍郷に入り、大川内モータースというSUZUKIの修理工場の横を通…


ガギガガガガガッ!!!!

「!?!?」

いきなり物凄い音がして、車が動かなくなる。
「えっ!?えっ!?」
慌ててアクセルを踏んでみるが、ギュィィィィイ!というエンジンの回転音はするものの車は全く動かない。ハンドルも利かない。
相当大きな音がしたらしく、何が起きたのかと近所の人が見に来るが、車は呻るばかりで全く動かない。
車を降りてみると、ハンドルはまっすぐになっているのに左前輪だけが外を向いている。
どう見たっておかしい。

…あ…っと……えと……あ……

頭が真っ白になる。
とりあえずハザードを点けて後方の車に停車しているのが分かるようにして、混乱した頭を整理しようと試みる。

まず、そうだ、レンタカー屋に電話しなきゃ!
それでレッカーしてもらって、えと、それから…それから…


パニックになっていると、SUZUKIの工場の方が様子を見にくる。
そして、「とりあえず、このままだと危ないから端に寄せましょう」と言ってハンドリフト(手動、ジャッキ式の簡易フォークリフト)で車の前を持ち上げ、後ろからも押す。自分も一緒になって車を押し、なんとか道の端まで寄せる。
…こういう時は、島の人の温かさが本当に心に染みる。
これが都内の街中だったら、車が壊れて動かなくなってもクラクションを鳴らされるだけで手伝ってくれる人などそうそう現れないだろう。
(※流石に、様々な方のお手を借りているこの状況で写真撮れるほどKYではないつもりなので、作業中の写真は無いです)

それからレンタカー屋に電話して場所と状況を伝え、ようやく一息つく。
道脇に寄せられた車を見るとはなしに眺めながら、"…これ、魔琴さんで言うところの正に ダークゾーン だよなぁ…"とか今更に思う。
SUZUKIの工場

やがてやってきた車にレンタカーは載せられ(自走が完全に不可能なので、ウィンチで荷台に引き上げられていた)運ばれていった。
自分はレンタカー屋の方が持ってきた代車に荷物を積み替えてから後を追う。

幸いにも保険加入のおかげで修理代等はかからず、休車補償の50,000円を支払う。
「これで保険を使ってしまったので、次に(事故を)起こすと全額負担になりますのでお気を付け下さい」と念を押され、新しい車で再び走り出す。
空港は目の前なので、空港の駐車場に車を入れ時間を待つ。

…にしても、壊れるとしては絶妙なタイミングだったと思う。
これがもし峠道で壊れたりした場合、レンタカー屋の到着までに2時間ぐらいは掛かるだろうし、最悪携帯すらつながらない事も考えられる。
山の林道だったら…考えただけでも恐ろしい。
いや、仮に平地だったとしても、この工場から30m離れていたら全く違っていたと思う。
工場の真横で壊れたというのは、不幸中の超幸運だったと言えよう。

やがて相方さんと奄美のY氏も合流し、遅めの昼食に3人で「ひさ倉」へ向かう。
…実のところ、今回の奄美では鶏飯を食べるのが今日が初だったりする。
鶏飯
相変わらず美味い。
いつもなら着いた初日に必ず食べているのだが、今回はあまりにバタバタしてしまい、今日まで保留になっていた。
普段、何処かへ採集に行っても地元料理的なモノはほとんど食べに行かない(だいたいコンビニかスーパーの弁当で済ませてしまう…)虫けら屋だが、鶏飯だけは奄美大島に行ったら必ず食べている
それぐらい美味いし、もう自分の中で「奄美に行く」と「鶏飯を食べる」はセットになってしまっている。

さて、ようやくの鶏飯を腹一杯食らい、お山に糞虫のトラップを仕掛ければもう良い時間。
Y氏と別れてマルバネ探索のポイントへと向かう。

…と、ここで偶然の出会い
同じくマルバネの探索場所を探していた魔琴さんkapiさんコンビとポイント近くでバッタリ遭遇。
「島の何処かで会えると良いですね」とは言っていたが、まさか夜にここで出遭うとは(笑)
せっかくなので「じゃあ一緒に入りましょうか」という事で、お互い装備を整えて19時半ぐらいに森に入る。
毎晩入っているのはこんな森だ。
マルバネの森
中央の奥にうすぼんやりと巨木が見えているが、その手前の細枝にだってハブが絡んでいるかもしれない…そんな森だ。
3人でハブに注意しつつも虫話をしながら、1本ずつ木を見ていく。
…それにしても、最近の成果を褒め千切られ、くすぐったいったらありゃしない。「今じゃ気軽に声掛けられません、虫けら屋“先生”ですよ(笑)」なんて言われて、思わず「ちょっ、ヤメて下さいよ(笑)」。
確かに色々な方のお力を借りたり激幸運も重なったりして近年の成果は我ながら素晴らしいとは思うが、虫けら屋本人の中身は何ら変わっていない(※成長していないとも言う)。
私自身が論文を発表しているワケでもないし、研究成果を上げたりしたワケでもない。
2004年に初めて魔琴さんと奄美の山の駐車場で出遭ったあの頃のままである(※成長していな…以下略)。

そんなお喋りをしながら探すこと15分。
巨木にライトを向けたところ、その手前の細い木に黒光りを見つけた。
「いたっ!」
3人で駆け寄る。
やや大型の♂である。
「すみません、写真撮らせて頂いていいですか?」と魔琴さん。
「どうぞどうぞ。」
そこから、魔琴さんとkapiさんによる撮影大会が始まる。
交互にフラッシュが瞬き、お互いにライト補助をやったり、まさに“コンビ”という感じ。
「お待たせしちゃってすみません」なんて魔琴さんが恐縮されるが、採集記中心な方はこれだけ撮影するんだなぁ…とか、見ていて結構新鮮なので、これはこれで楽しい。

…っていうか、どうせ見ているなら、お2人が撮影しているところを1枚撮っておけば良かった…(笑)

5分か10分程で撮影を終え、その個体を採集する。
更にその後も別の巨木で2~3頭の♀を見つけ、1時間ほど探したところで魔琴さん達とお別れする。
間違って森の奥に行ってしまわないよう出口方角をしっかり伝え、確認する。

その後は一人でしばし探索を続けるものの、ナカナカ追加が見つからない。
1時間ほど森を歩き、さてどうしようかと巨木のそばで一休みした時だった。
倒れた木に腰を下ろし、背負ったザックも降ろしてお茶を飲みつつ一息ついていると…

…どこか遠くから、カブトムシのような羽音が聴こえる…

他のコガネムシ類とは全く異なる、大きく重そうな羽ばたき。
闇の向こうから聴こえる羽音は、飛びつ止まりつしながら少しずつこちらに近付いてくる。
木々の間をすり抜けるほど器用な飛び方は出来ないらしい。
次第に近付き、大きくなってくる羽音。

…もう間違いない。

胸元の蛍光灯(周囲や足元を照らす用)を誘うようにゆっくりと揺らしたりしながら羽音が近付くのを待つ。

バララララッ………ブブッ…バララッ!……

やがて羽音は更に近付き、3mほど先の木にバシッという音と共にとまる。
すぐさま照らせば、そこには黒光りする塊が下翅をしまおうともがいている姿。
慌てて駆け寄り、鷲掴む。

飛んできたアママル♀
マルバネの♀が飛んできた!!

まだ下翅をしまいきれていないまま手の中で暴れる、この力強さ。
すげぇ…
思わぬ来訪にしばし見惚れてしまう。
…マルバネ採集は基本的にはこちらがマルバネのいる場所を探すものだが、時はこういうラッキーもある。

結局、23時半ぐらいまで探索を続け、ようやく森から上がる。
そしてそのまま初日の森へ向かう。
その森の中でアマミマルバネ1♀とアマミミヤマ1♀を得る。
アマミミヤマ♀
アマミミヤマクワガタの♀と言えばかつては大珍品であったが、採り方が一部の人に伝わりだいぶ生き虫が出回るようになった。
とは言え今でもそれなりに珍品ではあり、元々の自身のミヤマ好きとも相まって、採れれば正直嬉しい。

明らかに“ミヤマクワガタ系”である形をしていながら、本土のミヤマとは異なる質感。
また♂は多少とも赤みがかった色をしているが、♀は艶消しの真っ黒。
相変わらずシブい虫だなぁ……うんうん。

…ちなみに、このアマミミヤマ♀を初めて採った2003年8月25日、大興奮して、採り方を教えてくれた友人に山の中から「採れた!ミヤマ♀採れたよ!」と電話したのは良い思い出(笑)






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※全6話、以下リンクに目次ページがあります。
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奄美大島採集記2013秋~目次~
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奄美大島採集記2013秋~その3~

【(残念ながら)奄美大島のアマミマルバネクワガタ・アマミシカクワガタ・アマミミヤマクワガタは2013年10月より条例により採集禁止になりました。詳しくはリンク先をご参照下さい。→奄美大島の採集禁止について




9月5日(木)
朝起きて用足しに行く。
…ふと見ると、和式の中にサソリモドキの子供が2頭落ちている。
便所サソリモドキ
1頭はまだ生きているようだが…
子供ならともかく、親(成体)が落ちてたら、知らん人は悲鳴上げるだろうなぁ…とか思いつつ。

さて今度は糞虫を狙おうと牛糞を入手しに里に下りる。
奄美では牛を飼っている家が北部に集中しており、南部で牛糞を手に入れるのはかなり難しい。
…徳之島ならポイントの近くでも牛を飼っている場所がいくつもあったので、糞の入手は楽勝だったのだが。
それを山に設置し、取って返してマルバネの山に向かう。

…昨夜見つけた発生木で更に4♂を見つけるものの、一番大きな♂が見事に羽化不全。
アママル羽化不全
左鞘翅(上バネ)はほぼ正常に伸びているが、右側が伸び切らず、下翅もクシャクシャになってしまっている。
7月~8月前半にかけて奄美はほとんど雨が降らず(7月の降水量が0mm!!)森が乾き切ってしまったらしく、おそらく乾燥で蛹室が縮み、羽化の際に鞘翅が引っ掛かって上手く伸ばせなかったのではないだろうか。

…今日までの中で最大の個体であり、正直凹む…orz

その後、ちと遠い電柱ポイントまで足を伸ばすと、幸いにも今日は誰も採集に入っていないらしく、アマミミヤマがポツポツと付いている。
灰色の電柱に下からスーッとライトを流していき、上部に黒い影を見つけた時の“ドキッ”とする感じががたまらない。
初めて採った時は、とても小さな個体だったけど感激で手がプルプルした。

今宵見つけたうち1頭は大アゴのよく伸びた41mm。
アマミミヤマ41mm
アマミミヤマはギネスは51mmに達するが、実際電柱で採集していると45mmなどまず滅多に採れず、40mmを超えれば十分大型という印象。
イメージ換算するなら「アマミミヤマ40mm=本土ミヤマ65mm」ぐらいだろうか。
相変わらず格好良いクワガタである。
40mmOVERの大型個体は、何度見ても惚れ惚れしてしまう。

更に、シカクワガタ狙いで仕掛けたバナナトラップに小さいながらも見事にアマミシカクワガタが来てくれていた。
アマミシカ小歯
狙って掛けたトラップに見事に来てくれると、やはり嬉しいものである。
その他、コバネカミキリなんぞも見つけたり。
コバネカミキリ


9月6日(金)
今日辺りから週末にかけて、また虫屋がどっと奄美に入ってくるのだろう。
魔琴さん(→HP:魔琴'sへっぽこ採集記 ミヤマの呪縛)も今日から奄美入りするそうだ。
「島の何処かで会えると良いですね」なんてメールのやり取りをしたのが数日前のこと。

…ずいぶん以前に奄美で初めてお会いしてから、地元がどちらも東京であった事から(自分は現在埼玉だが)時々会ってお話したりしつつ今に至るのだが、この方の「採るまでが重要で、最後に逃がす」というスタイルは自分では真似できないが正直言って尊敬している。
「採るまでの過程が楽しく、採る瞬間にそのピークを迎える」というのは大いに共感できるところで、自分の場合は欲張りなのでその「採った個体」を欲しくなり、標本として手元に残すという方法を選んでいる。
しかし魔琴さんはあくまでその「採るまでの過程」にこだわり続けている。
所有欲をそこまで捨て去った姿勢に、私と奄美のY氏の間で勝手に仙人とか呼んでいたりする。
販売にも興味のない方なので、話していても金銭の話が全く出て来ず、ひたすら「虫採り」の話ができるのも楽しい。

さて今日は夢を追って加計呂麻島(カケロマじま)に渡る。
加計呂麻島は奄美の南西側に位置する細長い島で、奄美大島とほぼ同じ昆虫が見られる島だが、山地性の種がいくつか欠けている。
アマミミヤマ・アマミシカ・アマミマルバネの3種も未記録なのだが、ミヤマとマルバネについては以前から噂だけは絶えない。
「死骸の頭を見つけたが捨ててしまった」「どこそこの家に飛んできたらしい」「どこぞの子供が拾ったらしい」…等々。
だが、未だに確たる記録はなく、幻の域を出ない。
今回はそれらを狙ってトラップを入れてみる。
フェリーかけろま
加計呂麻島へは、古仁屋港からフェリーが出ており、空身なら300円程度、車を積んでも片道3,000円程度で行ける。
日に何便か往復しており、奄美大島からの日帰り採集も十分可能なので、チョウなどでも奄美大島以外にもう1ラベル欲しい(同じ種類でも、別産地の個体も採りたい)という時にはオススメ。

トラップを掛け終えて再びフェリーで奄美大島に戻り、今夜もアマミマルバネクワガタ。
さて今日はY氏と一緒に入ってみる。
ハブに注意しながらゆっくり進んでいくと、Y氏が先に声を上げた。
「いたっ!」
言われて振り返り、その視線を追ってみると、今通り過ぎた木の高さ5mぐらいのところに確かに黒光りする塊が付いている。
こちらの長竿を貸して落としてみれば、確かにマルバネ。

先を越された…(爆)

1時間ぐらい一緒に歩き、その後は分かれて森を探索。
…ちなみに、入る入口は同じ場所だが、毎回少しずつ違う場所を歩いたりして探索範囲を広げていくようにしている。
こういう時は、GPSがあると過去に歩いた軌跡を表示できるので、未踏部に向かう事ができるので便利である。
GPS軌跡
自分の位置をGPSに頼り過ぎると万一壊れたりした際に森から出られずに遭難する危険があるので、脱出方法はきちんと把握しておくべきだが、一方で夜中の森で辿り着いた発生木などはGPSでポイントをマークしておくことで翌日以降も確実に辿り着くことが出来るようになる。
そうして今夜もまた、3時間コース。
アママル♂-1

この森はなぜか電波がバリ3なので、休憩がてら森の中からY氏に電話をかけてみると、あちらは探索中に偶然見つけた別のモノの撮影に夢中になっていたせいでマルバネはまだ2頭と。
こちらが結構な数を見つけられた事を伝えると驚いていた。
そろそろ上がろうかという事になり、森の出口へと向かう。
Y氏のライトが前方でチラチラと動き、お互いに出口の方へと向かっていたところ、Y氏が「いた!」と声を上げる。
慌てて走っていくと、森に入ってすぐ脇の巨木に、2♂が来ていたそうだ。
確かに立派な木だし、来ておかしくないのだが、まさかここにいるとは…。

森を出て、しばしY氏とお喋りしてお別れ。また明日。

…と、それは良いのだが、実はどうも少し前からレンタカーの左前輪がおかしい。
ブレーキを踏むとギュリィィィィィン!と旋盤を回すような音がする。
明らかに、何かおかしな部分が擦れている音だ。
原因は……多分、道に落ちた大きな石を“これぐらいなら、またぎ越せるだろ”と軽く見て超えようとした途端に“ガギャンッ!”とか車の下からかなり嫌な音が聞こえた、あの時だろうと思う…。
明日…明日にはレンタカー屋に行こうと思うので、頼む、それまでなんとかもってくれ…






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※全6話、以下リンクに目次ページがあります。
日を追って順に読んで頂く方は、どうぞ。
奄美大島採集記2013秋~目次~
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奄美大島の採集禁止について

採集記の連載途中ですが、うちのブログに辿り着く検索キーワードの中で「アマミマルバネ採集禁止」「奄美大島採集禁止」等のワードが目立ち、またコメントを頂いた方からのご要望もありましたので、そろそろウチのブログでもちゃんと書いておこうかな…という事で、奄美大島の採集禁止のお話。

2013年10月1日から、奄美大島では一部の昆虫が採集禁止になりました。
昆虫全体の採集禁止ではなく、種指定による規制です。

採集が出来なくなった昆虫は、以下の通り(2013年10月1日現在)

・アマミキンモンフタオタマムシ
・ヒメフチトリゲンゴロウ
・フェリエベニボシカミキリ
・ヨツオビハレギカミキリ
・アマミマルバネクワガタ
・アマミシカクワガタ
・アマミミヤマクワガタ
・マルダイコクコガネ
・ハネナガチョウトンボ
・アマミナガゴミムシ

※昆虫以外の動植物もありますので、それらを見たい方は以下リンクの奄美市のHPをご覧下さい。
 →リンク:奄美市HPホーム > まち・くらし > 自然環境 > 世界自然遺産 > 希少野生動植物

なお、上記の種類はあくまで今回、条例で禁止になった種であり、種の保存法など他の法律等で規制された種(例えばフチトリゲンゴロウとか)もありますので、奄美では上記10種以外何でも採集して良いというワケではありません

なお今回の条例は奄美市を始めたとした大島5市町村合同の条例だそうなので、これらの種は奄美大島全域で採集できません。今後奄美大島に採集に行こうとお考えの方は、よくご注意下さい。

また、違反者への罰則もしっかり入っています。

~奄美市希少野生動植物の保護に関する条例 一部抜粋~
第10条 指定希少野生動植物の生きている個体は,捕獲,採取,殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし,人の生命若しくは身体の保護のため緊急やむを得ない場合又は学術研究その他公益上の理由により市長が特に必要と認めて許可した場合は,この限りでない。
2 前項の規定に違反して捕獲等をされた指定希少野生動植物の個体(その加工品であって,規則で定めるものを含む。以下この項から第13条において同じ。)及び当該個体を増殖した個体は,所持し,譲り渡し,又は譲り受けてはならない。
3 第1項ただし書の許可を受けようとする者は,規則で定めるところにより,市長に許可の申請をしなければならない。
4 市長は,第1項ただし書の許可をする場合において,指定希少野生動植物の保護のため必要があると認めるときは,その必要の限度において第1項ただし書の許可に条件を付することができる。


…つまり、
第10条 指定した種は、人命を守る等の緊急の場合を除き、市長の許可が無ければ傷付けたり採ったり捕まえたりしてはいけませんよ。
2 指定後に採った違法個体やそこから繁殖させた個体も含めて、所持や授受も禁止ですよ。
3 採りたい時は、市長に許可申請をしなくてはいけませんよ。
4 市長は、保護に必要だと思ったら、採集許可を出す際に条件を付けられますよ。
…という感じでしょうか。
更に罰則が以下の通り。

第24条 第10条第1項本文,同条第2項又は第14条第1項の規定に違反した者は,1年以下の懲役 又は 50万円以下の罰金 に処する。
第25条 第10条第4項若しくは第14条第4項の規定により付された条件に違反した者又は第11条第1項若しくは第15条第2項の規定による命令に違反した者は,6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。



…それにしても、こういう重要な条例が施行まで一切告知されず噂だけが流れ、10月1日の夜になってはじめて告示されるというのはどうなんでしょうか?
一生懸命働いて、やっと取れた有給で「10月に奄美に採集行こう!」とずっと楽しみにして飛行機も宿も予約して、島に渡った人はどうなるのでしょうか?
島に着いた途端に採集禁止になり、いきなり「採ったら違法だから逮捕します」と言われたら、納得などできるものではありません。

例え地域の条例レベルとは言え、それを知らずに引っ掛かってしまう人がいる可能性は十分にあるのですから、せめて規制をかける2ヶ月ぐらい前にはHP等で公式に知らせて十分に情報を行き渡らせて頂きたいもの。
確かに、予告をするのは駆け込み需要を増やしてしまうという半面もありますが、知らずに素直に時期に来てしまう人への配慮もして頂きたいと思ってしまいます。

ちなみに、一部で「今までに採集した個体や、そこからの繁殖個体も一切所持禁止」という噂も流れましたが、条例で見る限り「前項の規定に違反して捕獲等をされた指定希少野生動植物の個体(その加工品であって,規則で定めるものを含む。以下この項から第13条において同じ。)及び当該個体を増殖した個体」、つまり指定後に違法に採ったものやそこから増やした個体ということなので、2013年9月30日までの採集個体や、そこからのブリード個体は所持・飼育とも法律には引っ掛かりません。
…まぁ合法的に入手した個体なら既に個人財産ですから、当然と言えば当然なのですが。
ただ、そうなると標本はともかくブリード個体は種親がいつ採集されたものかどう判断するの?という点が出てきますが、ここは飼育する方の良識に委ねられるという事かもしれませんね。
たまにネットオークション等でも「その累代は、Fの数から考えても種親は既に違法になってからの採集個体なのでは?」という個体が出ている事がありますので気を付けませう。

虫屋にも非があるとは言え、採集好きの虫屋として大変残念な話であり悔やまれます。
まして、個人的に第二の故郷とさえ思っていた奄美大島です。
せめて、これ以上禁止の輪が広がらないようにしたいものです。

また、「奄美市希少野生動植物の保護に関する条例」なのですから、制定した側にも「採集だけ禁止にして、生息地の森は伐採しちゃいました」なんて事にならないよう、きちんと「保護」してもらえるよう切に願います。







…普段、こういう情報を全部が全部拾ってブログに載せるワケではないのですが、今回は大好きな奄美大島の件という事もあり、記事にしました。

<情報収集元>
奄美市HP:
http://www.city.amami.lg.jp/kankyo/machi/shizen/sekaisan/kisho.html
奄美市希少野生動植物の保護に関する条例:
http://www3.e-reikinet.jp/amami/d1w_reiki/418901010116000000MH/418901010116000000MH/418901010116000000MH.html
奄美新聞online(10月1日記事):
http://amamishimbun.co.jp/index.php?QBlog-20131001-2

奄美大島採集記2013秋~その2~

さてさて、お待たせしました。
「奄美大島採集記2013秋」の再開です。

…ところで、実はこれまでの間に大きな出来事がありました。
大変残念な話ですが、この10月から奄美大島ではアマミマルバネクワガタが採集禁止になってしまったのです。
条例については別途記事に書きます(→奄美大島の採集禁止について)。
「保護のため」という形ではありますが、実際のところは一部のクワガタ屋(等)のマナーの悪さと、奄美で採集した虫を高値で売り捌いていた事を島の方々が快く思わず…というあたりが遠因かと。「保護のためじゃないだろ!」という文句もあるかとは思いますが、一方で虫屋側も省みなくてはいけない事かと思います。
ただ、虫屋としては「保護」と謳うのであれば、生息地を伐採しない等きちんと「保護」にも力を入れて欲しいと思います。
…さて、その辺りを踏まえつつも、まずは採集の楽しさを知って頂きたく、採集記の連載を再開したいと思います。

~前回のあらすじ~
台風でメッチャ遅れた飛行機でなんとか奄美入りし、ハブに好条件な雨上がりの森におっかなびっくり入ったらマルバネ2♂採れてヤッター!……以上。



9月4日(水)
昨日の天気がウソのように、朝から青空。
いくつかのトラップを追加して、朝食を買うために町に降り……る最中、道脇に咲いたセンダングサ類の花にアゲハ類が次々と飛来しているのを見つける。
ちょっとだけと道脇に車を停めて網を出すと、アマミカラスアゲハが道沿いに飛んで来てはセンダングサで吸蜜している。
アマミカラス♂
本土のカラスアゲハより暗めの色調だが、深みがあってコレはコレで美しい。
更に、少し待っていると♀も飛んできた。
アマミカラス♀
♀も本土より暗めの色調だが、後翅の赤紋がよく発達して妙な色気がある。
待っていればポツポツとアマミカラスが飛来し、少ないながら混じって♀も飛んでくるのだが、お散歩ネット(網枠に小さな取手が付いた携帯網)では狙うのはナカナカ難しい。そして、ネットイン出来た中でもキレイな個体だけを選んで2~3頭だけキープする。
他にもジャコウアゲハ、アオスジアゲハ、アカタテハなどが見られ、ソテツにまとわり付くシジミチョウをよくよく見ればクマソことクロマダラソテツシジミ
クロマダラソテツシジミ
奄美では移入種のチョウでソテツの大害虫だが、もうすっかり定着してしまったらしい。
…そんなこんなをしていたら、山の方から明らかにウスバキトンボではない大型のトンボがゆっくりと道に沿ってこちらに向かって飛んでくる。
目の前まで来たところで網を振ったら見事にネットイン!
ヒメミルンヤンマ
ヒメミルンヤンマである。
奄美や徳之島でしか見られない、比較的小さいヤンマだ。
改めて見てみると、複眼が深い色をしていて意外と美しい。

さて、残っているバナナトラップも早めに仕掛けなくてはいけないし、あまりゆっくり蝶とたわむれているワケにもいかないので適当に網をしまい、出発する。
そうしながらも、さて今日はどのポイントでマルバネを狙おうかと考えてみて、やはり今年一番出ているらしい場所に行ってみる事にする。
意外と時間が掛かるので、途中トラップを仕掛けつつ、食料を調達して早めにポイントへと向かう。

つい先日まで奄美に入っていたという知人と話してみると、マルバネは18時半ぐらいにはもう動き出しているらしい。
更に、既に♀もかなりの数が出ているらしく、今年は例年より発生が早いとのこと。
なるほどなるほど…
ついでに、昨日さんざん苦しませてくれた台風は温帯低気圧になって何処ぞに抜けてしまったらしい。
…嬉しいのは非常に嬉しいんだが、足が遅くて数日居座るだ何だと言っていたのは何だったのか…?

アレですか?
私の日頃の行いの良さ が台風を吹き飛ばしてくれたんですか!?


…冗談はさておき、9月初旬で18時半と言えば奄美ではまだ明るい。
空にはまだ水色が残り、開けた場所なら車が前照灯(ヘッドライト)無しでも普通に走行できるレベルである。
しかし林内は既に薄暗く、なるほど夜の虫が動き始めていても不思議はない。
ヘッドライト、胸元用6w蛍光灯、懐中電灯、長靴、ウエストポーチ…諸々の装備を整える。
…ちなみに、今回は奄美に着いてからビッグⅡというお店で長靴を入手したのだが、底が金属のスパイクになっており、これが想像以上に良い。
スパイク長靴
土にガッチリと食い込んで滑りにくく、更に岩の上でもある程度滑りにくくなる。

さて、この「よく出ているポイント」はどうかと歩いてみると、なるほど巨木が何本もあり、いかにもマルバネがいそうな雰囲気である。
昨夜のポイントより斜度はあるが、雰囲気は良く似ている。

…だがしかし、実はこのポイント、ハブが異様に多いという話がある。
当初ポイントを見つけたSさんの話によると、「入って5mでマルバネが見つかるけど、その間に2~3匹のハブに遭う」という異様なハブ生息密度らしい。
足元は言うまでもなく、小さな子ハブはヒョロヒョロと生える灌木に絡みついていたりするらしい。
戦々恐々としながら森に入る。

…と、またしても10分程で最初の個体が見つかる。
アママル2号
……何て言うか、5年前にさんざん苦労したのは何だったのか。

このポイントは、方角さえ分かっていれば元の道に出やすいので、時々コンパス(方位磁針→記事)を確認しながら適当に林内を歩く。
周囲を照らして巨木が見えたらそちらに向かい、その木を確認したらまた周囲を照らして巨木を探し…という感じで、決まったルートを作らずに歩いてみる。
1頭目と2頭目の間こそ開いたものの、2頭目が見つかってからは3頭目、4頭目、とポンポン見つかる。
巨木3本連続で1~2頭ずつ付いていたり。

アマミマルバネってこんなにポンポン見つかるもんなの!?

嬉しいし大興奮ではあるのだが、一方で戸惑いを覚える。
もちろんこれは今年が相当な当たり年だからであり、例年ならこうはいかない。
2♂が付いていた巨木があり、周囲を探索して1時間ぐらいしてたまたまその木に再び辿り着き、再度見たらまた2♂が。
これってまさか、発生木ってヤツなんじゃ…?

そんなこんなで、3時間程で10頭ほどのマルバネクワガタを見つけて森から上がる。
続ければまだ見つかりそうだが、無理をして翌日以降に響いては元も子もない。今日は上がろう。
ルートは特に決めていないので、コンパスを見て道のある方角にひたすら歩くだけだ。
運良く最初に入口に戻れたので、そのまま車に乗り込み昨夜行った辺りに向かう。
1時間半ぐらい掛かるが、出来るならアマミミヤマも採りたいので頑張って走る。

…そうしてポイントへ。
電柱をゆっくりと見て回るが、しかし黒い小さな影はない。
誰かに先に入られてしまったか、時期が終わりかけているのか。
電柱ポイント
一番奥まで行き、戻りもチェックしていくと、ようやく「ほぼ間違いない」黒い影。
10mの長竿を取り出し、スルスルと伸ばしていく。

そうして手元に戻してみれば、
アマミミヤマ1号
超お久しぶりぃぃぃぃいッ!!!!

嬉し懐かしのアマミミヤマクワガタである。
思えば、以前はこの虫を採りたくて何年も連続でお盆時期に奄美に通っていた事もあった。
ここしばらくはお盆に奄美に行っておらず、かなり久々の再会となった。

ドチビな上にかなりスレた個体であるが、下手するとマルバネより嬉しかったりして(^^;
(※この個体は、最終的にリリースしたけど)

その後はミヤマの追加はなく、昨夜と同じ森に少しだけ入ってマルバネ数頭を採集し、山の駐車場で就寝。






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※全6話、以下リンクに目次ページがあります。
日を追って順に読んで頂く方は、どうぞ。
奄美大島採集記2013秋~目次~
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プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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