大宮フェア

今年も開催されました埼玉インセクトフェスティバル(通称:大宮フェア)に行ってまいりました。

2/21(土)
生き虫中心ということでのんびりと向かったつもりが、開始時間を2日目と間違えており、到着早過ぎ(笑)
整理券を配っていたが、確かこの整理券は番号が若い人には昆虫ゼリーとか飼育系のオマケが付いていたハズ。そういうのは飼育好きの人が貰えば良いので、自分は一度会場を離れ、近くのLoftで手帳を買ったり、東急ハンズでタトウ用の藁半紙を買ったりして時間を潰す。…タトウなんて新聞紙でも作れるのだが、藁半紙の方が字が書きやすく見た目も良いので、割高になるのを覚悟でこちらを使っている。
さて適当な時間に戻ると、既に開場している。入場料を払おうと入口に向かうと、何処かのむし社で見たような方が…。
少しお喋りして入場し、入ってすぐに知り合いのブース。適当に歩くとLISさんやバードウィングさん、むし社さん、インセクトマートさんなど知り合いのブースもチラホラ(…業者ばっかだな(笑))。
そして何より驚いたのは、両生類・爬虫類の多さ。全体の一割近くが両爬だったような気がする。インセクトフェスティバルの会場でヘビヤラトカゲやらがズラズラと並んでいるのは、かなりの違和感を覚えた。更に土曜日から標本を出店する人も年々増えており、全体の三割ぐらいが標本販売だった印象。
ホノホシさんと長話してブースの邪魔をしたり(違)、会場でバッタリ魔琴さんと会ってお話ししたり。
話をできた知り合いは10人ぐらいだろうか?
2,000円のパッキング標本詰め合わせだけ購入。あとは、標本主体の明日に。
フェア戦利品-1
エレファスホソアカクワガタ(上左)とダイオウヒラタクワガタ(上中)が入ってりゃイイかな、と。

2/22(日)
今まで、基本的に標本は買わない人だったのだが、今後はお仕事の幅を広げていくためにも展示に使えそうな標本を少し集めておこうと思い、なけなしのお金を握り締めてきた。
20分前ぐらいに会場に着くと、既に50人以上が並んでいる。
…しかも整理をする係員がいないため、なぜか列がジグザグではなく螺旋(笑)
たまたま自分の後ろに並んだオジサンと軽いお喋りをしながら待ち、開場とともに中に入って標本探し。
いつもなら知り合いを探してお喋りを始めるところなのだが、今回は標本を探しに来ているので、まずは会場をくまなく歩いて良さげな標本を物色する。
概して展足済の標本よりも、未展足のパッキング標本の方が安いものが多く、必然的にそういう標本を探していく。
箱の中に並べられたものを見ていくのも楽しいが、カゴにパックのままゴシャッと入っている中から欲しい虫を探し出したりするのも宝探しのようでまた楽しい。
まずは良さげな甲虫の未展足標本を入手し、その後チョウ屋の友人と一緒に相談しながらチョウの標本を選ぶ。
フェア戦利品-3
エレファスゾウカブト、ノコギリタテヅノカブト。
…ちなみにこのタテヅノカブト、胸部の角が前方ではなく上向きに生えており、横から見るとこんな感じ。
フェア戦利品-4

フェア戦利品-5
マンディブラリスフタマタクワガタ、ローゼンベルグオウゴンオニクワガタ。
フェア戦利品-6
チリコガシラクワガタと、なかなか大型のマンディブラリスフタマタクワガタ。
フェア戦利品-8
メンガタクワガタ。
フェア戦利品-2
バイオリンムシとホウセキゾウムシ。
フェア戦利品-9
ニシキオオツバメガ、オオルリアゲハ、デタニツマベニチョウ…と、持ち帰り用に購入した標本箱。
…ちなみに、一番左はチョウではなくガの仲間。こんな美しい蛾もいるのである。
この他に某トリバネアゲハの未展翅ペアを購入し、チョウ屋の友人に展翅をお願いする。

…あとは、つい知人ブースで売っていたのが目に留まって買ってしまった、サツマコフキコガネのペア。
フェア戦利品-7

ゾウカブトなどいくつか飼育繁殖個体も入っているが、それでもかなり安い金額で色々手に入れられたと思う。
普通に展足済の標本をお店で買い揃えていったら、余裕で倍以上の金額になるだろう。

ガチで標本を集めている方からしたらちっとも大した金額ではないだろうが、虫けら屋本人としては今までのフェアで使った最高金額である。
基本的に趣味の方ではほとんど標本を買わない(採集するのが楽しい)タイプの人間なので、今まで毎年のようにインセクトフェアには顔を出していながらも、目的は主に知人とのお喋りや、標本教室の宣伝であった。
しかし、今回初めて標本を買うためにインセクトフェアに行った。
…う~む、本来フェアというのはこういう楽しみ方をするんだろうなぁ(笑)

その後は虫仲間とともに近くの飲み屋に移動し、夜9時過ぎまで飲んでから帰途に就いた。
楽しくも、なかなかに疲れた2日間であった。

フェアに行かれた皆様、お疲れ様でした!
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書籍『昆虫の図鑑』

昆虫の図鑑-表紙

書籍『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』
福田晴夫・山下秋厚・福田輝彦・江平憲治・二町一成・大坪修一・中峯浩司・塚田拓, 2009.
A5, 262pp. 3,500円

久々の書籍紹介は、鹿児島の出版社「南方新社」から出ているハンドブック系の昆虫図鑑。
何の捻りもない「昆虫の図鑑」というタイトルは、いっそ清々しい(笑)

A5サイズで鞄に入るので持ち歩きもしやすく、それでいて掲載種数はそこそこ多く、中の解説もそこそこ詳しい。
鹿児島で出されている本ということで掲載種はやや南西方面に偏っているので南西諸島に採集に行く人は必携だし、本州でもそこそこ使える手頃な図鑑である。
昆虫の図鑑-中身
“専門家が使うような解説文たっぷりの図鑑はちょっと敷居が高いけど、子供用の昆虫図鑑よりは詳しいのが欲しい…”なんていう方にもオススメだし、専門屋でも現地で簡単に種の目星を付けるのに十分使える。
別に南方新社の回し者ではないのだけれど、これだけしっかり作られてこの値段はかなりお買い得だろう。

こういう図鑑は、確実な種名を調べたりするにはやや力不足な部分もあるが、目立つ虫ならだいたい分かるし、「これに近い仲間だな」と現地で目星を付けるのに非常に有効である。

採集した後、宿に戻ってその日の成果を眺めながら図鑑を見る。
専門外の虫だけど気になって採集して、「さて、この虫は何だろう?」と図鑑をめくる。
…そんな楽しみを与えてくれる1冊。

沖縄ケブカコフキ探索2014~その6~

12月28日
明日には帰途に就くので、ケブカを狙えるのは今夜が最後である。

何処で狙おうか…と考える。
うるま市のポイントも発生しているのは昨夜確認できたので狙おうと思えば狙えるが、昨夜採集した感じでは全体の平均サイズは北部よりやや大きいものの、その前に採った中城方面の産地ほど巨大ではなかった。
ならば、知念に仕掛けたライトをチェックして、もしそこに入っていれば知念、入っていなければ昨夜と同じ場所で狙おうと決める。
本部半島とうるま市のトラップは完全に撤収。
帰る前にまたこっちまで回収に来るのは大変なので、もう最後の晩は南部のポイントだけに集中する。

『南部のケブカコフキは大きい』とは以前から言われていたことであったが、実際採集してみて激しく実感した。
画像でも一目で分かるぐらい、明らかに南部の個体はデカイ。
南北ケブカ比較
画像の南部個体は採集した中でも最大級のものではあるが、やんばるの個体を見慣れていると異様なほど大きく見える。
同じ島で同じ餌を食べて同じような時期に発生しているハズなのに、この違いはどこからくるのだろうか?
…そんなコトを考えながら車を走らせ、名護から一気に知念に向かう。

知念は、以前は知念村であったが合併して南城市になっている。
やや分かりにくいものの2~3ヶ所リュウキュウチク群落があり、そこに仕掛けたライトトラップを確認に行く。
サンゴ隆起の岩をちょっとよじ登ってライトを見に行くが、期待に反してケブカは入っていない。
…ここのポイントはちょっと期待していたんだが、まだ規模が小さいということなんだろうか。
2月の記録だがこの近辺で採れているのは確かなので、どこかに発生源があると睨んだのだが…

知念周辺は古くからの集落なのか道が細く入り組んでおり、一度入るとバックも転回もできない所が多く、走った先がどこに出るか分からない。農道も山裾をどう走っているのか分からない道が多く、さんざん走ってもう元の集落からどれぐらい来たのか分からなくなった頃にぽっと町に出たりする。
山のどこかにリュウキュウチク群落があって、そこで発生しているのか…と思うのだが、足で探すには限界がある。
何処かに良い場所はないものだろうか…

さて知念でケブカが見つからなかったので、昨夜と同じ場所をもう一度攻めるコトにする。
範囲自体は決して広くないので昨日昼間にだいたい下見は済んでしまったし、夜までまだ時間があるので車を停めて体を休めながら色々と考えを巡らせる。

どうもこのポイントは林床がゴチャゴチャと混み入っているせいか、ケブカは林床よりも高い場所の空間を飛んでいることが多いようだ。発生地を外から眺めていると樹冠部近く(と言っても2~3mぐらいの高さだが)を飛んでいる個体をポツポツと見掛けるし、林内で飛んでくる♂も胸高ぐらいを飛んでくるものが多い。
南部ケブカ環境の林床
なんとなく『ケブカは林床近くを飛ぶ』というイメージがあったが、要するに空間があって飛びやすい高さを飛ぶというのが正解なようだ。
北部やんばる地域ではそれがリュウキュウチクの生えた林床で、ここ南部ポイントでは高めの場所になるということ。
…そう言えば、徳之島で採集した時は林床が開けているのに上から落ちてくる個体も多かったな…とか思い出す。
多分、♀が掴まりやすい場所が何処にあるか、もポイントのひとつなのだろう。
ケブカコフキは♀がフェロモンを飛ばし、♂があの大きな触角でそれを感知して探り当て、交尾をする。
だからフェロモンが拡散しやすいように♀は周囲の空間が少し開けて空気の流れやすい場所に付いていることが多い。
(※空間と言っても1~数mの範囲で、人間が言う“開けた場所”という程の広さは無い)

休んだり、ちょっとコンビニで立ち読みしたりしながら時間を潰し、やがて真っ暗になったので装備を整えてポイントへ向かう。
パラパラと小雨が降っているが、ケブカはこの程度なら活動するだろう。

何時頃から活発に飛ぶのかも確認したいので、今日は最初からポイントの灯火に張り付いてみる。
周囲は既に暗いが、まだケブカは見られない。
今日は一日天気があまり良くなかったため、既にポイントの路面も濡れており、非常に確認がしづらいが、いないようだ。
周囲の外灯も確認しながら待つ。




「きたっ!」
目の前をフラフラと飛ぶ影を見つけて叩き落とし、確認すると、予想違わずケブカ♂である。
南部のケブカ♂-2

時計を見ると、19:45。

ふむ…やんばるより遅いな。
外灯があったりして周囲が明るいせいなのか、天気のせいなのか、それとも南部の活動開始時間が実際に遅いのか、はたまた…理由はいくつも思い浮かぶが、とりあえずは活動開始確認、である。
しかし雨は相変わらずで、既に草木は濡れ光っていて、正直あの藪の中に突入するのはかなり気が引ける…ていうか普通はこの時点で諦める。

諦めないのが虫けら屋。

…はい、そこ。「ただのバカ」とか言わない。
思っても口に出さない。

それでもすぐに藪に入る気にはなれず、「とりあえず、何頭か確認して活発に動き始めたのを確認してからだな」と決め、再び外灯探索開始。
しばし間が開き、「後が続かねーな…」と思い始めた矢先にもう1♂。
雨のせいで昨夜より活動が控えめなのだろうか。
…やんばるでは気温12℃の雨の中でも活発に活動していたが、あれはあくまで森の中での話。森の外まで飛び出す個体がどの程度いたのかは分からない。

それでも3♂を得た時点で、“これはもう入らなきゃダメだな”と覚悟を決めて濡れた藪に突入する。
濡れた枝葉をかき分けながら藪の中へと入り込み、周囲を照らす。
足元の枯葉も水を含んで滑り、昨夜以上に足元が悪い。
昨夜♀が付いていた場所や、それに似た場所を思い浮かべながら照らしていくが、すぐには♀は見つからない。
だが、いないワケではない。
大きく育ったクワズイモの群落が見えて、葉裏を覗きこんだら…
「いたっ!」
南部ケブカ♀クワズイモ
クワズイモの葉裏にしがみつくようにとまる♀。
フラッシュに驚いて落ちても良いように、下に網を構えながら数枚撮影。
こういう時、お手軽に撮影できるのはコンデジの利点である。一眼レフのマクロ撮影ではこうはいかない。
水滴でカメラを濡らさないように注意しながら撮影し、♀をケースに入れたら探索再開。
林の中に入ってしまえば雨は樹冠で遮られ、外にいるより濡れない。
オマケに長そでシャツの上から更に登山用の厚手の長そでシャツを着込んでいるので、体までは水分が浸透してこない。
こういう雨中での探索の場合、体が濡れるかどうかで体温の奪われ方は全く違う。
雨合羽を着るという手もあるのだが、枝に引っ掛かるとカッパは破けてしまうことも多く、藪漕ぎを伴う採集だと必ずしも便利なアイテムではない。
胸元の蛍光灯に引き寄せられてポツリポツリと飛来する♂を摘まみながら、♀を探す。

ヘッドランプの明かりと共に視線をゆっくり流していく。
リュウキュウチクの他にも様々な植物が密生するこのポイントは、やんばるとは少し探す感覚が異なるが、既にここでの探し方に慣れた感がある。
こういう時は、多分神経が極度に集中しているのだろう。
いないかな…と覗き込めば、お取り込み中。
南部ケブカ交尾-2
「きゃーっ(照)」

…ちなみに、ケブカコフキコガネの交尾というのは、この状態ではまだ完全には成立していない。
ここから次第に♂が後ろにズレながら交尾器を挿入していき、完全に挿入されると♂は♀の体から脚を放してしまい180°そっくり返ってしまう。
南部ケブカ交尾
なんともアクロバティックな交尾なのである。

…それにしても、だ。
昨夜もそうだったのだが、ここだとクワズイモの葉についている個体というのが意外と多い。
掴まりにくいだろうとは思うのだが、葉がしっかりしていて雨にも濡れにくく、葉の周囲に空間ができる等、利点も多いのだろう。

藪の向こう、背の高い(2m以上ある)ススキの葉に♂がとまっているのが見えたので、藪漕ぎをして近付くとその近くにももう1♂。それを採ろうとしていたら更に1♂が飛来する。
“あ、これは近くに♀がいるな”と思っていたら、またもクワズイモの葉裏に♀。更に欲を出してもう少し探してみたら、灌木の葉裏にももう1♀。
藪が混み入っているせいか、ここでは同じ空間(開けた場所)に複数の♀がいることがある。
やんばるだと林全体が空いているため、♀は思い思いの場所に散っており近くに複数がかたまっているコトは少なかったが、ここではフェロモン拡散に適した場所が限られるため、必然的に集まってしまうのかもしれない。

シャツの袖口は既にビッショリだが、体までは濡れていない。山シャツ優秀!
帽子を被らずに入ってしまったので髪も既にかなり濡れてしまった。
頭からの放熱は体全体の4割にもなるという話を聞いたことがあり、実際帽子を被っているかいないかで寒さが全然変わったりすることもある。枝などからの頭部保護もあるので本当なら当然被った方が良いのだが、今日は完全に失念していた。
目にかかってくる前髪を鬱陶しく払いながら探索を続ける。

一度森から上がって外灯下に落ちている♂を探しに行くが、今日はひとつも落ちていない。
路面が濡れて探しにくいのもあるとは思うが、昨夜はポツポツと拾えたので雨の影響は間違いないだろう。
ただ、林内の♂は昨夜とあまり変わらず飛んでいるようにも思うので、雨が降ると尚更森から出なくなるのかもしれない。
少し休憩をし、再び藪の中へ。

藪が濃いので
入れる場所が限られており、既に見た場所には♀は見つからない。
それでもなんとか探し、1♀を追加。
5♀を得て森から上がった。
南部ケブカ5♀
時計を見れば、昨夜と同じく0時近い。
数や雰囲気からしてほぼ発生ピークだと思うが、やはりやんばるに比べれば個体数はかなり少ない。
これが群落の大きさに比例するものなのか、それとも他の要因があるのかは分からない。
ただ、うるま市のポイントはかなり大きな群落があるにも関わらず、やんばるより密度は低いように思えたので、中南部では元々生息域での密度も低いのかもしれない。
車に戻ってから、どうも視界が悪いな…と思ってメガネをはずしてみると、濡れた髪が何度もレンズに張り付いたせいで脂と汚れでギトギト…。
汚れメガネ
かけると視界が白く濁るほどの汚れ。
やれやれ…と追加捨てのメガネクリーナーで掃除しつつ、車の暖房を全開にして濡れた服を乾かす。

南部のケブカは、北部と比べて明らかに大型個体が多く、逆に生息密度は低い。
この違いがどこから来るのか…興味深くはあるが、それを解明しようと思ったら、それこそ沖縄に住み込んで産卵から幼虫飼育までやって生態を解明しないと分からないだろう。

ケブカコフキコガネというのは、知れば知るほど謎の湧いてくる虫である。
♂が活発に飛び回って灯火にも飛来するので活動期の成虫を見つけやすい半面、その発生シーズンは決して長くなく、また年によってズレることもある。
更に発生時期が冬~春ということもあり副産物が少ない。
…毎度のことながら遠征者泣かせの虫である。


12月29日最終日は、知念のライトトラップを撤収したがやはりケブカは入っておらず。
…ホント、何処で発生しているんだか。

全てを撤収して荷物を片付け、近くの立ち寄り湯でひとっ風呂浴びて、レンタカーを返却しに那覇市内へと向かった。















~ニセあとがきモドキダマシ~

はい、これにて今回のケブカ探索記は終了であります。
マイナーな虫の採集記にお付き合い頂きありがとうございます(^^;

本来なら伊平屋島で初記録のケブカを採ってウハウハする予定だった(をいっ)今回の遠征でしたが、その伊平屋島はケブカの気配もなく沈黙。仕方なしにケブカの噂がある伊江島に転戦するも、謎のソ連製対空機関砲を見つけただけでやはりケブカには出遭えず。ガッツリ2連敗食らったにも関わらず当初予定になかった沖縄本島南部のケブカで大逆転、という波乱万丈な遠征となりました。
出発前からドタバタするし、車のバッテリーは上がるし、懐中電灯は落として無くすし、ライトトラップの光源装置は盗まれるしと某方のダークゾーン を思わせる出来事が多々あったものの(笑)、それなりに満足のいく成果を上げることができました。情報を頂いた方々に感謝し、ここで改めてお礼申し上げます。

…ちなみに、盗まれた光源装置はまだ返ってきてません。
ホント、返して下さい。

さて、気付けばもう2月半ば。
早春の虫達が早々と動き始める頃です。
皆様にも私にも、今年も良い(虫との)出遭いがありますように。

沖縄ケブカコフキ探索2014~その5~

12月27日
明るくなってから、うるま市のライトトラップもチェックしてみたが、追加は入っていなかった。
ならばと頂いた情報を頼りに更に南下し、中城方面へ向かう。

車を置いて、お散歩がてら手ぶらで歩いてみると、何ヶ所かリュウキュウチクは見られる。
いるかもしれない。
だが、その規模は伊平屋島と同レベルだ。「この規模で…?」という思いは拭えない。
2時間以上歩き回り、数ヶ所あるリュウキュウチクの中から2ヶ所ほど目星を付ける。

ひとつは林の中のリュウキュウチクの大きめな群落。
もうひとつは群落とクワズイモなどが生えている斜面(※画像は夜だけど)。
南部のケブカ環境
ひとつ目は木が倒れたりしてマァ多少歩きにくい程度だが、ふたつ目は斜面で枯草も折り重なりかなり足元が悪い。
できるなら、ひとつ目の方に発生してて欲しいなぁ…なんて。

下見を終えて一度更に南下し、知念方面に向かう。
知念は以前は知念村であったが、いつの間にか合併して現在は南城市の一部になっている。
ここも過去に記録のある場所で、一応リュウキュウチクも見られるので何処かに生息ポイントがあるハズである。
“ここなら、もしかして…”と思える場所2ヶ所にライトトラップを設置。そこそこ程度のリュウキュウチクの群落だ。
設置を終えたら、暗くならないうちに先程の場所へまた戻る。

夜になり、道沿いの外灯を軽く見ながらポイントへ向かう。…途中の灯火では何も見られず。
シーズン中でも、良くて1日に1~数頭拾える程度らしいので実際見つけられるかは……微妙である。
ただ、灯火にポツポツと飛来するということは近くに発生場所があるハズで、それを見つけられれば複数♂の確保や、♀の採集も可能性がある。
たまに近くを人が通ることもある場所なので、森に入り込むのを見られると不審者かと思われそうで、人がいないのを確認してから森に分け入る。
…冷静に考えれば この行動自体が思いっきり不審 であるが、それはそれ

リュウキュウチクを踏み分け、倒れかけた枯れ木を跨ぎ、くぐり、ヘッドライトで周囲を照らす。
少し進んでは周囲を照らし、羽音に耳を澄ます。
また進んでは周囲を照らし、羽音に耳を澄ます。
蠅がうるさい。
リュウキュウチクがあまり密な場所はケブカも飛びづらいので、林内でも少し開けたような場所を中心に探して行くが、音は無い。
しばらく探索してみるものの羽音も、ケブカの姿もない。

仕方なく一度林から出て休憩していると、情報を教えてくれた方から更に追加情報が入る。
「ほうほう…」
灯火をチェックしながらそちらに向かうと、オレンジの外灯に何かが飛んでいるのが目に入った。
「いたっ!」
光源の周辺、つまりかなり高い場所を飛んでいるが、あの姿と飛び方は蛾ではない。
ケブカコフキコガネ!

だが、喜んだのも束の間、その個体は一瞬目を離した隙に消えてしまった。
「マジかよ!?」
地面に落ちたのかと慌てて周囲を探すが、いない。
路上、草の上、木の葉…ライトで照らしながら探してみるが、見付からない。

…目的の虫の発見第一号がロストした時の、あの心を掻き毟られるような気持ちは何と表現したら良いのだろうか。
信じたくないような、叫びたいような、何かにヤツ当たりしたいような、あの気持ち。

だが、いつまでも悔しがっていても仕方ない。
1頭いたということは、発生場所は近いということだ。
神経を集中しながら付近の他の灯火を見ていくと、今度は足元近くの芝生の上を飛んでいるのが見えた。
「いたっ!!」
認識するや否や走って追いつき、芝生の上に叩き落とす。
南部のケブカ♂
「よっしゃ!」
とうとう南部のケブカコフキを捕えた!
明らかに、やんばるで採れる個体より大型である。
それを左手で遊びながら一応近くの灯火を見てみると、更に2♂が落ちている!
「おるやんけ!Σ(゚Д゚;)」
慌てて拾う。
それを丁寧にケースにしまっていたら、また近くを1♂がフラフラ飛んでいく。

あわわわわ!

あっと言う間に4♂である。
“これは出てる!”と確信する。
…なるほど、辿り着いてみれば情報の場所と言うのは「候補地その2」の近くである。
ならばと候補地の斜面に入ってみる。
ズルズルと滑る斜面をなんとか歩きながら、リュウキュウチクや低灌木を丁寧に照らしていくと、そのリュウキュウチクの葉先にとまる個体が目に入る。
大きな触角は見えない。

キタコレ!(゚∀゚)

だが、足場が悪い。
間違っても滑って葉を揺らして虫を落としたりしないよう、脚をしっかり踏ん張り、そろそろと手を伸ばし……

掴む!
南部ケブカ♀1号
「ぃよっしゃキターッ!!!!」
思わずガッツポーズ。

おそらく、沖縄南部では初記録ではないだろうか。
伊平屋島・伊江島と惨敗を喫したが、こういうことがあるからケブカコフキはやめられない。
南部全体で♀初記録ということは、ただ単に「オイラが一番」というだけでなく、これで標本を調べることが可能になり、本島北部地域や他の島の♀と比較ができるようになるという事でもある。
学術的にも意味があるのである。
大袈裟に言うなら、(ちょっぴりだけど)昆虫や科学の世界に貢献できるワケである。

だがしかし、1♀では変異が分からない。
「1匹採れば十分でしょ」と言われるコトがあるが、昆虫は非常に個体変異の大きい生き物である。
カブトムシひとつとっても、大きな個体から小さな個体まで1頭ずつその姿は千差万別で、「大きいの1頭採ればすべて分かる」と言えないことは誰でも分かる。
その♀を丁寧にケースにしまい、探索を再開する。

…しっかし足場が悪いな。
滑って思わず尻餅をつきそうになるが、なんとか堪えてケブカを探す。
しばしの探索で、再びリュウキュウチクの葉先についた個体を見つける。

ケブカを採集していると、♂も葉先や灌木にとまっていることがあり一瞬ドキッとさせられたりするのだが、そういう場合でも♂はたいていその自慢の触角を大きく広げていることが多い。つまり、見つけた個体が触角が見えない場合、♀の期待が大きく、実際そうであるコトが多い。
掴み採れば、やはり♀。しかもデカイ。
このサイズはやんばるでは絶対に採れないな、という大きさの迫力の♀だ。

…それにしても、2♀とも随分と活発だ。
手を放して撮影しようとすると、途端にハネを開いて飛ぼうとするので慌てて押さえる。
できれば全身を写したかったのだが、それで逃げられては元も子もないので仕方なく手で押さえながら撮影する。

足場の悪さに閉口して一旦道路に戻り、先程の外灯を見に行くと、また♂が落ちている。
南部ケブカと外灯
…気を引き締め直し、今度は別の場所に入ってみると、木の枝先…葉の下側に繋がった2頭の姿。
「!!」
極力慌てないように慎重にデジカメを取り出し、パシャリ。
南部ケブカ交尾
(※画像クリックで大きくなるよ)
フラッシュに驚いて落ちても大丈夫なように真下に網を構えたので余計な物が写り込んでしまっているが、御容赦を。

続いてもう1♀見つけるも、高い場所に付いており枝でつついたらポロッと落ちてしまい、痛恨のロスト。
10分ぐらい探したが、見付からず。
それでも探索を続けて更に1♀を得て、合計4♀(+1♀ロスト)。

森から上がり、時計を見るともう0時近い。
これで本日終了…とも考えたが、これだけ出ているなら、うるま市も出ているかも…と考え、そこから一気にうるま市へ戻る。到着する頃には日付が変わっているだろうな…と。

…が、絶好調の今夜なのに、ここでひとつ嫌なコトが起きてしまう。
うるま市に設置したライトトラップ数基のうちひとつ、とある山の展望台駐車場の前の森に仕掛けたライト。
「あれっ?明かりがついてない?電池切れたかな…」
と違和感を感じながら近付いてみると、あろうことか中味を抜き取られた上に、光源装置がない!
「やられた!!」

他の(マナーの悪い)採集者に盗まれた。

中の虫を全部抜いたあとにわざわざ状態を元に戻し、光源装置だけを持っていくというのは、風などの自然被害や、一般人の撤去によるものではない。非常に残念ではあるがマナーの悪い採集者の仕業だろう。
まして設置場所は駐車場から少し山側によじ登った場所の木の裏側で、一般人ならまず確実に手を出さない場所だ。

使用していた光源装置(※画像)は白色光の市販品を採集用にわざわざ改造している物で手間暇かかっている物だ。
盗まれて「ハイそうですか」とはいかない。
光源装置
…百歩譲って、ケブカコフキコガネがどうしても欲しくて仕掛けてあったライトに来ていた個体を採って(盗って)しまうところまでは、まぁ気持ちは汲める(許す、とは言えないが)。
だが、光源装置まで盗むのは明らかに悪質である。
この件はSNSでも多くの方に拡散してもらったが、結局2/5現在まで返ってきていない。
盗んだ方がもし万一この記事を見ていたら、中に入っていた虫は差し上げるので、光源装置だけでも返して頂きたい。
インセクトフェアの時にでも構わないので、御返却をお願いしたい。

…とまぁ苦情はこのぐらいにして、仕方ないのでもう1ヶ所の方へ向かう。
着いて身支度を整え、ポイント沿いの道を照らしながら歩いてみると、さっそく1♂が飛んでくる。
「出てる!」
ライトに来ていた個体を回収し、森に入る。
先程までの南部ポイントも斜面であったが、ここはそれ以上に急斜面。気を抜けば足を滑らせてしまう。
道路脇から急角度に落ちていく斜面。体感斜度は80°…ほとんど崖に近い(実際の斜度は多分40°ぐらいだと思うが)。
足を踏ん張り、木に掴まりながら斜面を下りていく。
急斜面な上に、ここは不法投棄ゴミも多く、うっかりすると植木鉢や素焼きの筒みたいなのでスッ転びかねない。
ちなみに、一応ここは沖縄本島なので ハブがいる可能性もある のだが、不活発な時期なこともあり、ほとんど考慮していない。…良識ある方々は決して真似してはいけない。
うるま市環境
森に入ると、胸元に下げた蛍光灯に惹かれてケブカの♂があちらこちらから飛んでくる。
シダの向こうから、リュウキュウチクの間から、ブブブブッ!と羽音を響かせながら下手くそな飛び方で近付いてくる。

…それにしても、ケブカコフキは本当に飛び方が下手である。
ライトから1~2mの距離にいるのに、枝にぶつかり、シダにぶつかり、地面に落ち、と全然光に辿り着かない。
すぐ先にいるのに手元に来るまで数分掛かる個体もいる上、中には途中でとまって諦めてしまう個体までいる。
ケブカを採集するたび毎度思うのだが、

そんなに飛ぶの下手なのに、なんで森の中におんねん。

…実際のところ、体が非常に軽いため風に弱く、森の中など風を除けられる場所でないと生きていけないのだが、それならそれでもうちょっと飛ぶの上手くなれよ、と。
ま、それがケブカのチャームポイントのひとつでもあるのだが。

そんなこんなで♂を摘まみながら探していると、
「あっ!
うるまケブカ交尾
見~つけた!」
ペアである。
思い入れのあるうるま市のポイントで、ついに♀を見つけた。
♀を見ながら、急斜面の藪の中で思わず一息ついてしまう。
自分はタバコは吸わないが、もし喫煙者なら一服したくなる所なのだろうな…と思う。

2010年冬から4年越しの達成であり、感慨深い。
やんばるでポイントを当てて♀をたくさん見つけ、その遠征で最後の晩に幸運にもこのうるま市のポイントを見つけてしまった。しかし、その晩は♂はボチボチ採れたものの♀までは辿り着けず、課題を残したまま帰途に就いた。
2年後の2012年は久米島に遠征し、沖縄本島ではほとんどやらなかった。
更に2年…2014年、ようやくこのポイントの♀をこの手で掴む事ができた。

一息ついている間にも、胸元の蛍光灯目掛けて♂はポツポツと藪の中から飛んでくる。
「もう1♀、探すかー!」
自らに気合を入れて、なんとかもう1♀を得て、森から上がったのは夜中の2時近かった。

更にそこから名護まで北上し、本部半島に仕掛けたライトトラップで♂数頭を採集し、トラップは撤収。
全てを終えて寝たのは、既に朝も近い4時頃であった。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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akepon6464@yahoo.co.jp

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