まさかの…

6月28日、フランス滞在9日目。
いつものように夕方に食事を済ませ、暗くなる前に森へと向かう。
4日前に見つけたミヤマが多く飛び交うポイントに着き、時間を待つ。
フランス時刻
…針の指す時刻は日本時間であり、フランス時刻は下のデジタル表示、
「 9:08 」
つまり、この明るさで夜9時なのである(…ちなみに日本は朝4時)。
夏のフランスが、恐ろしく日が長いというのがご理解いただけると思う。

やがて陽が大きく傾き始め、空が、山が、橙色に染まっていく。
そうして21時半頃からポツポツと飛び始めるヨーロッパミヤマクワガタたち。

ヨーロッパミヤマクワガタたちが黄昏の空をいくつも飛んでいく様は、何度見ても飽きない。
不思議なものである。
大きく楕円軌道を描くように飛んでいくもの、大木にまとわりつくように行ったり来たりを繰り返すもの、まっすぐに飛び抜けていくもの…サイズも様々なら飛び方も様々であるが、やはりいかにもクワガタという感じの飛翔姿ではある。

…と、そんな中、低い場所・同じ位置でフラフラと飛び続ける♀がいるのに気が付いた。
飛んでいる姿でも、♂は長く伸びた大アゴがはっきり見えるので、それが見えないというコトは、すなわち♀である。
ヨーロッパミヤマの黄昏飛翔は、普通は何かを探すように大きく移動しながら飛び回るのに、この♀は同じ場所でずっとフラフラしている。

不思議に思い、捕らえてみ……




えええええっ!?




慌てて平らな場所まで持っていき、そこで改めて見てみる。

ヨーロッパミヤマモザイク-1


うっそだろ…


ヨーロッパミヤマモザイク-2

ヨーロッパミヤマクワガタ、雌雄モザイク。
頭部は♂だが大アゴはほぼ♀、前胸背の光沢がまだらになり左右でバランスも違う、そして胴体(中胸~腹部)はほぼ♀。
画像では分かりにくいが、前脚は左右で形が異なっており、右は♀に近く、左は♂に近い。
よく知られた左右真っ二つタイプではなく、「モザイク型」と言われる雌雄の特徴がゴチャゴチャに混じっているタイプだ。


…信じられない。

・初めてのフランス(…ていうか初めてのヨーロッパ)
・初めてのヨーロッパミヤマ(…ていうか初めての外産ミヤマ)
・ポイントも分からずGoogleマップと睨めっこして自分で決めた場所
・2週間弱という限られた滞在期間

…その限られた条件の中で、ミヤマの個体数の多いピンポイントを探し当て、その上まさかこんなモノに出遭ってしまうとは。
もはや奇跡に近い。


驚きすら通り越して、しばし呆気にとられてしまった。








……とまぁ、これでようやくフランス編が終了です。
他の記事を色々挟みながらだったとはいえ、7月頭に帰国したのに記事が完結するのが9月末…(汗

新婚旅行(の名目)でフランスに行き、憧れのヨーロッパミヤマクワガタの野生の姿を見ることが出来ました。
探し方が分かると思った以上に個体数の多い虫であったり、黄昏飛翔や交尾など野生下での生態をこの目で見て、同じミヤマクワガタの仲間でも日本のミヤマとは全く異なる生態をしているのだと肌で感じることも出来ました。
そしてミヤマ以外にも多くのヨーロッパの昆虫に出逢うことができ、非常に濃密で楽しい時間でした。



…そしてこの旅行でお金を使い果たし、帰国後は国内遠征にちっとも行けず、今年は地元採集に精を出しております(笑)
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特別展「蝉類博物館」

東京大学総合研究博物館モバイルミュージアム特別展
「蝉類博物館~昆虫黄金期を築いた天才・加藤正世の世界~」
正世展ポスター

10月1日(木)~11月29日(日)
練馬区石神井公園ふるさと文化館
(〒177-0041 練馬区石神井町5丁目12番16号)

入場料:一般:300円/高校・大学生:200円(※その他、年齢割引あり)


加藤正世は、かつてセミを中心に様々な昆虫を研究し、更に動植物全般に通じていた昆虫界の偉人で、上のポスター写真に写っている「エゾゼミ」は、加藤正世が新種として名を付けたセミです。
更に、専門向け・一般向け・子供向けを問わず様々な昆虫書籍を出版し、昆虫界の発展に大きく寄与した人物でもあります。
後年は石神井公園のあたりに居を構えていましたが、その頃にはまだ石神井公園にトラハナムグリやベッコウトンボがいたというのですから、今では想像もつかないほど豊かな場所だったんでしょうね。

今回の特別展では彼が遺した数々の貴重な標本(高尾山のギフチョウや、セミのタイプ標本なども)だけでなく、昆虫写真パネル、著書、愛用した道具類なんかも展示しています。
ちなみに、講演会もあります。

10月11日(日) 矢後勝也
 「日本の昆虫文化を築いた加藤正世博士のコレクション」

10月18日(日) 大野正男
 「加藤正世と日本の昆虫学」

11月7日(土)  石川忠
 「加藤正世が眺めたカメムシ」

11月15日(日) 須田孫七
 「地図に見る蝉類博物館周辺の今昔」

11月22日(日) 林正美
 「加藤正世博士が命名した日本のセミ」

                    …それぞれ、14時から。


私も展示準備のお手伝いで少し携わりましたので、準備中の写真を2つだけ。
このほかにも、とても面白く、また貴重な品々が色々展示されています。
開催期間は2ヶ月間ありますので、お時間のある方はぜひ足をお運びくださいませ。


著書
正世展本

愛用品
正世展道具


フェア終わりて

いやー…フェアも終わりましたね。
前日が徹夜でオマケに当日はフェア後に仲間と飲んでいたせいか、たっぷり寝たのに今日は一日体が重いです。

今回のフェア、4F会場で出店しており、同フロアをぱぱっと見て回ったぐらいであとはほとんど自分のブースにおり、ほとんど回れませんでした。
おかげで何も買い物する暇もなく、成果と言ったら出展者の入場シールだけ…(笑)

自ブースでは、標本教室の宣伝も兼ねて標本作製実演というコトで、カブトムシやクワガタを展足しておりまして、ポツポツと興味を持って頂けたかな、と。
展足実演

また、何人もの方から「いつもブログ見ています」と声を掛けて頂けました。
標本教室に来て頂いた方からも声を掛けて頂きました。
ブログのコメントを頂けるのもモチロン嬉しいですが、こうして直接お話しできたりするのがフェアの魅力ですね。

…とは言えまぁ、せめて会場全部を一周回るぐらいはしたかったかなぁ…(^^;

なにはともあれ、フェアに出展された方、来場された方、皆々様お疲れ様でした。
そして、虫けら屋ブースにお立ち寄り頂いた皆様、ありがとうございました。
また今後ともよろしくお願い致します!

秋のオニヤンマ

河川敷、スイと現れた大きなトンボが近くのススキの穂に止まった。
秋のオニヤンマ
オニヤンマ。
この日本最大のトンボは夏のイメージが強いが、9月上旬でもまだまだ多く見られる。
しかし、9月も下旬になってくるとハネも破れ、だいぶ満身創痍な個体も増えてくる。
この個体も、画像だとさほど傷んでいいないように見えるが、実際はだいぶくたびれており、特に左側のハネは大きく破れていた。
それでも♂は力強くパトロールし、♀を探す。
「交尾して子孫を残す」という最大の本能に従い、力尽きるまで♀を探して飛び続ける。





…さて、明々後日の9月23日はいよいよ インセクトフェア です。

第69回 インセクトフェア

私も多分4階会場のどこか、「虫けら屋」の名前でクワガタの展足作業か何かをしていると思いますので、お時間がございましたらお立ち寄り下さい(※席を空けている場合もありますので、何卒御了承下さい)。














…それと、ですね。

もうここが最後のチャンスだと思いますので書きますが、、、

昨年冬(2014年12月)に沖縄本島のうるま市で私のライトを盗まれた方、もしフェアにいらっしゃるのでしたら、返してください。
中の虫(主にケブカコフキコガネ)は差し上げますので、ライトはご返却ください。
直接会うのが難しいようでしたら、どなたかに言付けて渡して頂くのでも構いませんので、本当にお願い致します。
光源装置

フランスの虫たち色々

フランスで出遭った虫たちの続編…というか、残り。
ひとつひとつ個別に取り上げるにはチト足りないので、ここでまとめて紹介してしまおうかと。

まずはチョウ。

(1)ベニヒカゲの仲間
仏ベニヒカゲ
ベニヒカゲは日本なら「高山蝶」と呼ばれるチョウの仲間で標高2,000m近い高山に登らないと見られないのだが、フランスは緯度が高いせいなのか、標高1,000mにも達しないような低い山で普通に飛んでいたりする。


(2)ヒメシロチョウの仲間
仏ヒメシロチョウ
一見するとモンシロチョウか何かにも見えるが、華奢で飛び方も柔らかい感じがする。
日本では高山蝶とまではいかないまでも標高の高い地域にいるチョウなのだが、フランスでは町はずれの広場で飛んでいたりする…


(3)イリスコムラサキ
仏イリスコムラサキ
図鑑によってはチョウセンコムラサキという名で載っているチョウ。
日本人には「朝鮮半島にいるコムラサキ」ということで和名を付けたのだが、実は朝鮮半島からヨーロッパまでユーラシアに広く分布している種だったという話。
…にしても、やっぱりコムラサキのハネの輝きは本当に美しい。
個人的には、オオムラサキよりコムラサキの方が好きだったりする。


…続いてカメムシ。

(4)やたらと目にしたカメムシ
仏カメムシ
ヨーロッパミヤマ探索中によく見掛けたカメムシ。
よく見ると背中に金属光沢があり、美しいと言えば美しい。地味と言えば地味。


…でもって、あとは甲虫の仲間。

(5)ハナカミキリの仲間
仏ハナカミキリ
一見すると日本のヨツスジハナカミキリにも似ているが、だいぶムッチリと太く、別種なのは間違いなかろう。
特に♀はかなりガタイが良く、一瞬トラカミキリのような印象を受ける。


(6)モモブトカミキリモドキの仲間
仏モモブトカミキリモドキ
日本にもモブトカミキリモドキはいるが、こんなに美しくない。
日本のは暗い紺色で地味な印象だが、フランスのものはキラッキラの金緑色で飛んでいる時から輝いている。
う~む、それぞれに良さがあるとは思うけれど、これが日本にいてくれたらなぁ…と思わずにはいられない。


(7)巨大なハネカクシ
仏ハネカクシ
そもそもに「ハネカクシって何ぞ?」って話なんだが、ハネカクシというのはアリのようなハサミムシのような形をしているが甲虫の仲間。以前に紹介したクロシデムシ(→記事)なんかに近いグループで、上バネが小さく腹部が盛大にはみ出している。しかし下バネは想像以上に長く、ちゃんと飛べる。飛べるだけの長いハネを「隠している」ということで、「ハネカクシ」という名が付いている虫だ。
で、そのハネカクシだが、多くの種は1cm以下どころか数mmクラスの虫なのだが、このハネカクシは25mmもある上、頭が異様に大きく、凶悪な大アゴをしている。
この個体は死にたてホヤホヤの柔らかい状態で落ちていたのだが、最初は何かと思った。
拾ってみて初めてハネカクシと気付き、「えええええーっ!?」と思わず声を上げてしまった。


(8)トラハナムグリの仲間
仏トラハナムグリ
日当たりの良い道端にはウドのような花がよく咲いており、このトラハナムグリや、ファーブル昆虫記にも登場するキンイロハナムグリなんかがよく来ていた。
背中の模様だけで見るならアマミトラハナムグリにも似ているように見えるが、体のモフモフっぷりはやはり本土のトラの雰囲気に近い。
日本ではトラハナムグリは少なくなっている虫だが、フランスではごくごく普通に生息しているようであった。


日本でも海外でも、「初めて見る虫」というのは、やはりワクワクするものである。


…さて、ようやくフランス編もあと1編。
顛末記ではなく個々の紹介にしてきたのに、結局ずいぶんと長くなってしまいました。
次回がいよいよ最後です。

分蜂群の悲劇

これもフランス滞在中の話。


昼間の散策を終え、ヨーロッパミヤマの黄昏飛翔前に夕食を済ませるべく一度ホテルに戻ってきたところ、玄関前が妙な雰囲気である。
何か今日はハエが多い気がする。
そして、人々が上を見上げている…?
そんな視線を追って上を見上げた時、思わず 「あっ!」 と声を上げた。

ミツバチ分蜂-1

ホテルの看板に群がる大量のハエ……ではなく、ハチである
ミツバチの分蜂 だ。

ミツバチという虫は女王蜂が数年生きるのだが、次世代の新女王蜂が生まれてくるとその巣を新女王に譲り、自分は半分ほどの働き蜂を連れて新たな営巣場所を探して巣を出ていく。
これを分蜂(ぶんぽう)と呼ぶのだが、その分蜂軍群は新しい巣場所を見つけるまで女王蜂を中心に群れで移動し、女王蜂が休むとその働き蜂も周辺にかたまる。

それがたまたま滞在ホテルの看板に来てしまったのだろう。
群れる蜂の数はすさまじく、数千か数万か。
通り掛かる町の人も思わず足を止め、ホテルを見上げている。
自分も面白くなってバシバシと写真を撮っていた。

分蜂群は比較的大人しく、こちらが危害を加えない限りまず危険はないらしいので、撮影しながら観察を続けていると、ちょうど看板の真横の位置のホテルの窓が開くのが見えた。
“なんだ…?”と思っていると、中から年配女性と思われる腕がニュッと伸びてくる。
その手に握られているのは…
「げっ!マジかよ!?」
思った瞬間、年配女性が握りしめていた物から白い煙状のものが一気に噴射される。

ぶしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!
ミツバチ分蜂-2

途端に分蜂群が一気に飛び広がったかと思ったら、次の瞬間に空から無数のハチが雨のように降ってくる。
殺虫剤を噴射されたハチたちはもがき苦しみ、地面に落ちてものたうち回っている。
既に分かって見ていた人たちはともかく、知らずに下を通り掛かった人はパニックである。
いきなり空から無数の虫が降ってきて、それが地面でのたうち回るのである。

見ている間にも次々とハチが降ってきて、路上は苦しみもがくミツバチが散乱するちょっとした地獄絵図と化す。
ミツバチ分蜂-3

分蜂群にとっては、運がなかったと思う。
ホテルの裏側は岩崖になっており、虫けら屋が泊まっている部屋はそちら向き。
表の看板ではなく、そちら側の崖で休憩したのならきっと何事もなかっただろう。
分蜂群は危険が少ないなど普通は知らないだろうし、何万もの蜂の群れが部屋の前を飛び回っていたら普通の人は恐怖する。
…とはいえ、あのバーサンも下を歩く人のコトを考えもせずにいきなり殺虫剤噴射はないだろ…とも思う。


なんとも複雑な気持ちにさせられた、白昼の惨劇であった。

虫目テスト?

フランス記事もまだ少し残っておりますが、時期モノは旬のうちに…というコトで。
1年前ぐらいに、「虫目(むしめ)」という記事(→記事)を書いたが、その虫目を試すちょうど良い相手が、今の時期によく見られる…


9月2日
地元産オニヤンマをなんとか今シーズン中に仕留めようと、ポイントに向かって自転車を走らせていた時…
カラスウリやヤブガラシが絡んだ藪があるのが目につき、「アレがいそうだな~」と走りながらチラと見ると、予想たがわずソレがいた。


…どこに何がいるか、お分かり頂けるだろうか?
オオカマキリ-1





これを一発で見つけられた人は、虫目を持っている。

実は、画像の中央よりやや左、 オオカマキリ がいる。
…見つけられない方のために、答えは下のサムネイル画像をクリック!
オオカマキリ-1(答)

海外には恐ろしく精巧に擬態するカマキリもいるが、日本のカマキリは「カマキリ」というフォルムはそのままに、ほどよく(?)擬態しており、成虫が現れるこれからのシーズンは虫目を鍛える絶好の相手。
草葉にまぎれているけど、フォルムはカマキリそのものなので、ちゃんと見れば見える。

ただ、野外では、この画像のように「そこに“いる”という前提」がないので、探してもいないコトもある。
そして、そもそもにいそうな場所が分かっていなければ探しようがない。

虫目というのは、ただ「虫を見つける」だけではなく、こういう場所にはこういう虫がいる(いそう)という予想を自然と頭の中で組み立ててソレを探し、思惑通りに見つけたり…というのも含まれる。
注意力だけでなく、虫を探した経験もまた虫目を鍛えるのである。
…もちろん、予想外の場所に予想外の虫がいることもあるから、必ずしも「予想通り」にはいかないコトも多い。
経験・勘・注意力・観察力…等々、様々なものが組み合わさって、虫目 はできている。




…では、もう1問。

下の画像にもやっぱりオオカマキリが隠れているが、どこにいるか、分かるだろうか?
オオカマキリ-2
※もっと大きな画像で見たい方は、下のサムネイルをクリックして、出てきた画像をもう一度クリックすると大きくなるよ。
オオカマキリ-2-2


…答えは、「続きを読む」をクリック!

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プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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