昆虫針 ~なぜ標本に針を刺すのか~

針刺しミヤマ

標本を作る際、昆虫の体に直接刺すための針を「昆虫針」と言います。
標本作製用品のほとんどは一般流通品で代用が効きますが、昆虫針に関しては専門の物を買った方が良いです。
時々「虫ピン」「シルクピン」「マチ針」などで標本を刺している人を見掛けますが、標本針は専用に作られているので長さがあり、扱いやすいように出来ていますので、是非ともこちらをお薦めします。

現在、日本国内で主に使われているのは「志賀針」と呼ばれる国産針と、「ナイロンヘッド」と呼ばれるヨーロッパ製の針です。
写真左が国産の「有頭シガ針」、写真右が「ナイロンヘッド針」です。

昆虫針

志賀針は安価で普及率も高いので入手しやすく、ナイロンヘッド針はコシがあり針先が鋭いという特徴があります。
また、それぞれ号数があり、数字が大きくなるほど針が太くなっていきますので、虫の大きさに合わせて針の号数の変えていきます。
志賀針は00号、0号、1号、2号、3号、4号、5号、6号の8種類、
ナイロンヘッドは000号、00号、0号、1号、2号、3号、4号、5号、6号、7号の10種類があります。

特にどの虫に何号針を刺すという決まりはないのですが、ミヤマクワガタなど大型種に0号や1号だと標本がフラフラしてしまいますし、テントウムシに6号針を刺そうとしたら太過ぎて虫体が壊れてしまいます。
参考までに、私はこんな感じで号数を使っています。

2号:スジクワガタ大型、コクワガタ中型、モンシロチョウ
3号:コクワガタ大型、ノコギリやミヤマの小型、中型タテハチョウ
4号:ノコギリやミヤマの大型、オオムラサキ、
5号:カブトムシ大型、メンガタスズメ(蛾)

…とは言え、これはあくまで私個人の判断であり、これより細い針を刺す人もいますし、逆に太い針を刺す人もいます。
多少の違いは個々人の好みで判断して構いません。

また、志賀針は全号長さ約40mm、ナイロンヘッドは000~6号は約38mmで7号だけ特大級甲虫(ヘラクレスオオカブトだのゾウカブトだの)用に52mmと長くなっています。
価格は号数によって異なりますが、だいたい1包(100本入):300円~700円です。


…さて、ここまでが針のご紹介。
ここからはちょっとお話。

「標本に針を刺す」というのは、初心者の方からすると“壁”のひとつのようで、「針を刺さないで標本にしたい」というのを時々見掛けます。
針を刺すという行為が非常に残酷に思え、どうしても抵抗があるとか。

では、なぜ標本に針を刺すのでしょうか?

この「昆虫針」が発明されるより以前、標本はどうやって保管していたかというと、ガラスシャーレに綿を置いてその上に虫を置き、ガラスの蓋をして1頭ずつ保管していました。
しかし、昆虫の標本は様々な部位を調べる必要があり、その方法だと調べたり観察したりするたびに虫の体に直接触って標本を扱う事になります。
そうなると、掴んだ拍子に脚が折れてしまったり、チョウなど鱗粉はすぐ剥がれてしまいますし、翅も簡単に破れてしまいます。
移動させるだけで、クワガタのフ節だって折れてしまうかもしれません。
…そう、研究などで使う度・動かす度にボロボロになっていってしまうのです。

しかし、標本に針を刺せば、針を摘まむことで虫に直接触れずに標本を扱うことができるようになり、結果、標本を破損させる可能性がグンと下がるのです。
つまり、標本の針を刺すというのは、決して残酷行為などではなく、標本を大切にするために行っているのです。

ミドリヒョウモン(1)
ミドリヒョウモン(2)



「標本に針を刺すのは残酷だから、俺は刺さずに作る」という方、標本を移動したりする際の“破損の可能性”は考えておりますか?
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No title

初めまして。この夏から記事を楽しみに読ませて頂いています。
子どもの頃は虫好きでしたが、採集や飼育で終わり、標本にするという領域まで行かずに大人になってしまいました。

この夏、カブトムシを採集したのですが、せっかくなので標本にして残したいと思いました。

工作は好きなので、別の記事にある様にフォトフレームから作成する事も考えましたが、材料を揃える手間を考え、キットで作成しようと考えています。

記事にあります昆虫針ですがAM○ZONなどで検索すると「虫ピン」や「シルクピン」がTOPに出て来ましたが、こちらの記事を読んで「昆虫針」で作成する事にします。

まだ虫たちは元気に水槽で動き回っており、子ども達の観察対象なので、まだ数週間は予習が出来そうです。

色々勉強になりました。
興味深い記事楽しみにしています。

Re: No title

>toshiさん
はじめまして。ブログご訪問ありがとうございます。

生きた個体を観察して分かるとと、標本を作ってみて分かることはそれぞれ違いますので、どちらも大切です。
ぜひ色々と観察して頂けたらと思います。

今後も虫を楽しんで頂けるようブログを続けていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します!
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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akepon6464@yahoo.co.jp

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