奄美大島採集記(7)

<2月24日>
本日は早めに動きだして、まずは宇検方面で見つけたリュウキュウイノシシの頭骨を回収に行く。
元から桝(マス)に沈んでいたのだが、鼻先にまだ少量の肉が付着しており、少しでも剥がれるようにと再度沈めておいたものだ。
生き物好きのK先輩に写メを送ったら相当欲しがっていたので、貸しを作っておこうと 色々恩もあるので、メンドクサイが せっかくだし回収して送ってさしあげようと。

…骨というのもナカナカ面白い世界だとは思うのだが、こんな物まで集め始めたら本当に収納場所がなくなってしまうので、自身では手を出していない。

イノシシ頭骨

本土のイノシシより小型とは言え、成体の頭骨なので30cm近くはある。
上顎・下顎両方の牙も残っており、なかなか立派なものである。

写真の通り、ほぼ白骨化しているが、鼻先にプツプツした腐肉が残っている。
水の中に沈んでいたので腐臭はさほど酷くないが、それでも車の中で腐臭が充満しては困るので、ジップロックに入れてそれを更にビニール袋に入れて、箱に入れる。

さて戻りの道すがら何ヶ所かリュウキュウチクのある場所に仕掛けたトラップを回収してみるが、やはりケブカコフキは入っていない。
…やはり、奄美のケブカはホストがリュウキュウチクではないという事か。

途中、町の小さな郵便局から回収したイノシシ頭骨を先輩宛に発送する。
品名欄に何と書こうか迷ったのだが、やはりイノシシということで…


品名:乙事主


…街の郵便局とかだと品名をキチンと書けとか言われることがあるのだが、奄美の郵便局は普通にスルー。
こちらとしては楽しいけど、イイのかそれで(笑)


その後は島北部まで車を走らせ、某方がコガタノやヒメフチトリを採ったという池まで行き、水昆トラップを仕掛ける。
…何やら周囲は随分とリュウキュウチクも生えており、万一の可能性も考えてケブカ狙いのトラップも仕掛けておく。


そうして夜。
友人&Nさんと合流して採集を開始。
気温は高いが、天候は今までになかった『霧』。
時間になった頃、1♂が林から飛び出してくる………が、後が続かない。
奄美ケブカ飛翔後

昨夜にもまして羽音がしない。

…やはり心配していた通りだったか。

どうやら、ケブカコフキの発生ピークを過ぎてしまったらしい。
沖縄でもそうだったのだが、ケブカコフキという虫は、ある日の発生ピークを過ぎた途端に活動個体数が激減するらしい。
こんなに一度に死ぬとも考えにくいので、何らかの要因で♂が活動をやめてしまうのだろう。

いくら探しても羽音はほとんどなく、ようやく2♂を追加できただけ。
これでは埒が明かない。
森から出てくるとNさんがいたので、森の入口でしゃがんでお喋りを始めてしまう。
お互いに虫屋なので、情報交換が非常に面白い。
沖縄でのケブカの生態や、奄美の記録の話、その他の虫の話などなど…。

その間も森から♂が飛んで来ないかとライトで照らしているのだが、何の羽音もしない。


……と。
自分から3~5mぐらい先の森の中、地面から20cmぐらいの高さにあるうねった横枝が目にとまった。
ただの折れた枝と思えば枝なのだが、なんとなく気になる。

じーっと見てみると、どうも枝に模様があるような…?

そう思い始めると、もう“そう”としか見えなくなる。
っていうか、そうなんじゃないのか…?


「Nさん…あれ、ハブじゃないッスか?」


「えっ?どれどれ?」
「ホラ、あのうねった横枝なんですけど…」
懐中電灯で照らしながら説明する。
「んー…」
Nさんがノソノソと中腰で近付いていく。
そして1mぐらいの距離で確認し、

「おお、ハブだ」

…とサラリと言う。


…っていうか、ちょっと前に私そのすぐ横を中腰で歩いてたんですが。


やべえ!
森の中にハブいちゃったよ!
俺さっきまで普通に森の中歩き回ってたよ!?
やべぇぇぇぇえッ!!


Nさんがトングでハブを捕まえ、森から出てくる。
…っていうか、本ハブ捕るのにトングって…(--;
ご本人曰く、「色々試したけど、トングが一番だった」らしい。

何の変哲もない、ゴミ拾いなんかに使われる大きめのトングだ。
それでハブの首を掴み、開けた道の上まで持ってきて、網袋に入れる。
まだ70cm程度の子ハブだが、ハブはハブである。
既に毒を持っているし、凶暴な性質は変わらない。
こんなモノをトングで捕まえるとは、なんという恐ろしいコトを…

…あ、もちろん「枝で捕ったヤツが何を言ってる」というツッコミは受け付けません(爆)

それにしても、一度森の中でハブを見てしまうと、もううねった枝が全部ハブに見えてきて一気にビビリ入ってしまった。
先程まではズカズカと森に踏み込んでいたのに、今度は一歩入るだけでもビクビク&オドオド。

…まぁ、今回の奄美は悪い意味で夜の森に慣れ過ぎていたので、良い薬になったかもしれない。
ハブは本気で危険な生き物だし、決して侮って良いものではない。
こちらが先に見つけなければ、いつ咬まれるか分からないのである。
咬まれる前に恐怖を思い出せたのだから、良かったと言えば良かったのだろう。

…で、その後もしばらくケブカを探してみたものの、追加はなし。
完全に発生ピークを過ぎてしまったらしい。


…まぁ、今夜は“トングでハブを捕る”という珍百景を見られたので良しとしよう(笑)









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※以下リンクに目次ページがあります。
日を追って順に読んで頂く方は、どうぞ。
奄美大島採集記2012初春~目次~
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こんばんわ!

とても楽しい記事ですね♪
僕も荷物を送る時は宛名や品名にいつもひねりを入れてますが、
「乙事主」で通るなら何でもありですね。
街でキチンと書けといわれるということは、やはり普段も
面白い品名を書いているんでしょうね(笑)
生態を送ること自体禁止されているので、いろいろな書き方を
しますよね。
トングハブは炭焼きにならなくてほっとしました(笑)
焼肉じゃないんだから!と突っ込みたくなりました(笑)(笑)

Re: こんばんわ!

>まー坊さん
家の近所の郵便局とかだと、「衣類・蛍光灯・ガラス瓶・他」とか書くと「“他”じゃなくて全部書いて下さい」とか言われるんですよ。
細々したモノ全部なんて書けるかー!と。

この夜に見たハブは小さかったのでトングでも問題なさそうでしたが、あの方は2m級の個体でもトングで採るんだろうか…とちょっと怖くなりました(^^;
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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