静岡ぷち遠征

知人にポイントを聞いて、週末に静岡までプチ遠征。
夜中に東名と新東名をひた走る。
静岡なんて地図で見れば埼玉のすぐ近くに見えるのだが、実際には200km以上を一人で運転して行くのは楽じゃない…。

夜中の日付が変わる前に出発したにも関わらず、パーキングエリア(PA)やサービスエリア(SA)の灯火を見つつ現地に近付く頃には既に空が明るくなりつつあった。
さすがに眠気がきたのでSAで少しだけ仮眠を摂り、最後のひと頑張りで朝5時頃に現地到着。

現地に着いてまだ雨がわずかにしと降る中、早速ツゲの木を探す。
今回の狙いの虫は、ツゲ(柘植)に付く。
まずは道脇に1本だけポツンと植わっていた木を見つけて調べてみるが、キラリと光るものは見当たらない。

…まぁ、そう簡単にはいかない、か。

…他にツゲがないかと探しながら進むが、いつの間にやら道が林へと入り山へと向かっていき、どうも里から離れる一方。
これは道を間違えたか…と戻ってもう一度探す。

すると、道の向こうにツゲと思しき小さな林(と言うか“畑”)がある。
行ってみれば確かにツゲ。
石垣に沿って植えられている。
じっくりと睨みながら順番に見て行くと、コロンとしたキンカメ特有のシルエットが見えた。

いたっ!

やや見上げる高さなので逆光で色が分からないが、形はアカスジキンカメムシにそっくりで、この場所で、ツゲに付いているとなったら、もう間違いないだろう。
慎重に枝を手繰り寄せ、鷲掴む。

ニシキキンカメムシ

ニシキキンカメムシ

…なんという美しさだろう。思わずため息が出てしまう。
先日紹介したアカスジキンカメムシ(→アカスジキンカメムシ)と近い種なのだが、あれの数倍は美しい。
グラデーションのかかった深い緑の色合いと朱に近いオレンジ色のラインは、(みやび)という言葉が相応しい。
まさにのキンカメムシである。

早速の発見に気を良くして念入りに探してみると…



ここにも、そこにも、…あ、またいた。

ニシキキンカメ多数

なんかいっぱいおる…

交尾しているものも多数。
幼虫の姿は見当たらないので、今がまさに発生ピークという感じ。
あっと言う間にケースの中がニシキキンカメだらけになっていく。

ぉぉぉぉぉ…

ニシキキンカメは憧れていた虫のひとつだ。
最初に発見されたのは実は東京の奥多摩なのだが、奥多摩産は激レアでとても見つけられる気がしない。
しかし一度生きた姿を見たいとずっと思っていた。
思っていた虫が……

何やらめっさ沢山いるんですが。

時計を見るとまだ朝7時前。
にも関わらず、もう採集の方はお腹いっぱいになってしまった。

う~ん…
この虫の探索に土日2日間を考えていたのだが、まさか開始1時間でお腹いっぱいになってしまうとは想定外(笑)
かなり心に余裕ができたので、携帯とコンデジでしばし撮影モード。

他に何か面白い虫がいないかと回ってみると、足下で見慣れないシジミが飛んでいる。
とまるのを待ってじっくり見てみると、新鮮なミズイロオナガシジミ
普段は高い所を飛ぶチョウなのだが、この天気で降りて来たのだろうか。
足下で飛んでいるイメージなど無かったものだから、見慣れないと思ったのも無理はない。

白い花にイチモンジチョウが来ているな…と見ていると、どうも様子が違うので採集してみるとアサマイチモンジだ。

西日本では普通種のようだが、関東では良く似たイチモンジチョウの方が優勢になり、アサマは少ない。
この辺りはアサマの方が普通になる、という事だろうか。

さて、腹も減ってきたなとお昼を買いにコンビニを目指していると、道脇にカラムシが生えているのが目に入る。
カラムシときたら…と思ったら、探すまでもなくラミーカミキリ。
黒と夜光塗料のようなツートンカラーのカミキリで、普通種だが特徴的な色彩の美しい種だ。

ミズイロ・ラミー・アサマ

午後も引き続きキンカメムシの撮影を続け、やがて夜。
灯火でも見ようかと車を降りると、沢すじで薄緑の光が舞った。

「ホタルだ…!」

ゲンジボタルが何頭も舞い始めた。
夜空の星と、まるで星が降りて来たかのようなホタルの光。
“乱舞”とまでは言えないが、いくつものゲンジボタルがゆっくりと飛び回っている。
環境を見れば確かにいても不思議はないが、ホタルの事など全く頭になかったので、なんだか得した気分。

標本は標本で大いに魅力があるけど、それが全てではない。
虫は生きている姿が一番魅力的だ。
ホタルは、その最たるもののひとつだろう。
この光は、標本をいくら眺めていたって味わう事などできはしない。

この後しばしホタルの光を堪能し、最後に外灯に飛んできた小さなシロスジカミキリ♂を採って車に戻り、そのまま就寝。
翌日は、昨日に採集したニシキキンカメのうちリリースと持ち帰りを選別(なんという贅沢!)し、高速が混む前にという事で早めに帰路に就いた。
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こんにちは。

 僕の住んでいる岡山では県北にいかなければ採集できないのでなかなか大変です(例えば新見とか)      話は変わりますが先日、沖縄に修学旅行に行きました。そこではリュウキュウヒメハンミョウやタイワンカブト、ホソキヒラタケシキスイに似ているケシキスイ、ルリジガバチ、サビカミキリなど約30種類以上の昆虫が採集できました。以前虫けら屋さんがこのプログで紹介していた除光液が役に立ちました。時間があれば遊びに来ますので宜しくお願いします。 

No title

 静岡の現地には心無い採集家も多数集まっているため、かなり広い範囲で採集に対する厳しい眼が光っています。(ときには警察沙汰になったりする模様。)
 私の知人で、「ツゲ林をご存じないですか」と町人に聞くと、「おめぇもキンカメか」と凄い勢いで町民からたたき出された話もあります。なお、毎年、地元の新聞ではキンカメ採集について叩き出しの様な記事が掲載されているようです。部分的には、深刻な地域社会問題として捉えられているとみて差し支えないでしょう。
 ぞれぞれ地域的にはオオクワやギフチョウ、ブラックバス釣りなどもそうですが、採集すること自体を危惧しなくてはならない残念な現実を垣間見ます。静岡においては、できれば今後、観察のみに留めていくべきではないかという気がしています。そのあたりが、未来へとつなぐ昆虫採集家のモラルではないかという想いです。

 物事を安易な規制で片付ける昨今(生レバーの問題も然り)、とくに昆虫採集のような趣味は「知らなかった」で済まされない問題も多いですね。ニシキキンカメについてはムシ屋の側から動いて、もう少し理解を貰ったり、共通のモラルを確立するべき時期に来ているのではないかと思います。

Re: No title

>インセクトさん
同県内で確実な産地があるだけで十分ですよ…
こちらは東京・神奈川を超えて行ったんですから…

除光液はとっさの場合などに現地でも入手しやすく、便利ですよね。
…ちなみに、不純物が混じっているためか純アセトン等と比べてやや効力は落ちるものの、脂抜きにも使えますよ。


>ふうけぃ☆風敬さん
ニシキキンカメムシでもそのような現状があるのですね。
クワガタでは多々存じていましたが、キンカメでは勉強不足で存じていませんでした。
この点については自分も反省しないといけないですね…。

確かに本種の場合、探すにあたり現地の方との接触する状況も多いでしょうし、より問題が表面化しやすい面もあるのかもしれません(クワガタもそうですね)。
採集の是非については個人的にすぐに結論を出せないのですが、

>ムシ屋の側から動いて、もう少し理解を貰ったり、共通のモラルを確立するべき

についてはその通りだと思います。
先日の「虫屋とは」で冗談めかして書きましたが、虫屋の特徴である「コミュニケーションを面倒臭がる」「虫の事になると我を忘れる」の2つは、実は虫屋が世間から浮いてしまい、白い目で見られる大きなマイナス要因なんですよね…。
最も基本的なところで「人に会ったら挨拶する」という、そこですら行き渡っていない現状があるように思います。

虫屋の行動は世間一般からすれば不審者に見える事も少なくなく(ホストの樹木を覗き込む、外灯の下をウロウロする…等々)、逆にこちらがきちんと挨拶して昆虫採集の旨を説明すれば「ああ、なるほどね」と笑顔を見せてくれる人も多くいます(実際、今回もそういう方にお会いしましたし)。

そういう現状を鑑みると、(畑を荒らさないだの当然のマナーを守るのは勿論ですが)正直今まず虫屋が周囲に理解してもらうためにすべきことは、(まるで小学生のようですが)【人に会ったら笑顔で挨拶しましょう】という基本的で当たり前な事なのではないかと思います(恥ずかしい話ではありますが)。
その上でないと「モラルの確立」も絵に描いた餅であり、実現は難しいように思います。
また逆に、その挨拶さえ出来れば、現状の問題の七割ぐらいは解決しそうな気にすらなります…。

…と、高説ぶってはみるものの、自分はそれを先導する程の行動力はなく、せめて「自分は笑顔で挨拶しよう」「何か聞かれたら明るく対応しよう」と心掛けるというのがやっとなのではありますが…。

…また、こういう問題について「自分がやらなくても、誰かが矢面に立ってやってくれるだろう」と思ってしまう風潮も、虫屋の悪い面のひとつですね…。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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