奄美大島採集記2012夏(02)~黒き翅の蜻蛉と蝶~

6月29日(金)

朝起きて、まずは昨日の成果を再確認。

アマミノコとヒラタ特大
左のアマミノコギリが75mm、右のアマミヒラタが71mmぐらい。
ノコも特大だが、ヒラタのデカさがハンパない。

まずは朝からトラップの増設。
今回用意したバナナトラップは50~60個。
全部を1つのポイントに仕掛けるワケではないが、このポイントももう少しは増設しておきたいところ。
良さそうな場所を探して走っていると、何やら見慣れぬトンボが飛んでいる。
ヤンマ級の大型サイズだが、体つきが細い。
捕虫網を取り出して採集してみれば、ミナミヤンマの♂だ。
ミナミナンマはヤンマ科ではなくオニヤンマ科に属するトンボで、カラスヤンマの亜種になる。
そして、♂よりも♀にその特徴がよく現れる。
…とくれば、♀が採りたくなるのは必然。

Y氏と合流して再びトラップ設置を始めると、その待望の♀がフラフラと現れる。
メスだっ!
と慌てて車を停めて捕虫網を引っ掴み、網を構えてジリジリ待つ。
大型のトンボは一度脅かしてしまうとサーッと何処かに逃げてしまうため、チャンスは一度きりだ。
じっくりとタイミングを計り、“今だッ!”と網を振り上げれば、中でバササササッ!という威勢の良い羽ばたき。

よっしゃ!と網から取り出したコレがミナミヤンマの♀である。

奄美ミナミヤンマ♀
翅の前縁に黒条が入り、格好良い。
ただ、これでもかなり黒色部の少ない個体だ。
本種の翅の黒色部は個体変異があり、発達した個体だと翅全体が煤けたような黒っぽい色になる。

さて、トラップを増設しつつ昨日設置したトラップをチェックしていくと、ポツポツとアカボシゴマダラが飛来している。
本種も奄美を代表するチョウで、後翅に赤い丸紋が並ぶ。
本来日本ではアカボシゴマダラは奄美諸島でしか見られず、チョウ屋も一度は憧れる種なのだが、近年大陸の亜種が本土に持ち込まれて増加しており、自宅埼玉の周辺でも普通に見られるようになっている。
…でも、(日本贔屓なせいかもしれないが)やっぱり奄美の亜種の方が品があるように見えるんだよな~

まぁ何にしても、せっかくの奄美大島、アカボシもしっかり採集しておかないとな。

さてそうしてトラップを回っていたところ、昨日75mmのノコが来たトラップのすぐ近くに仕掛けた別のトラップに付いたアカボシがおかしい事に気付いた。

黒い。

これは明らかに異常、黒化型ってヤツに間違いない。
慎重に狙ってネットイン!
網から取り出してみると、なかなかの黒化具合。
本来は赤い輪になるはずの紋が、黒い鱗粉で一部が切れて輪になっていない。

アカボシゴマダラ黒化型
う~ん、いいねぇ。
今回の奄美で最初に採ったアカボシが黒化型とはね。

夜は昨夜と同じコースで巡回。
水たまりに何かいる…と車を停めると、リュウキュウコノハズクが行水中。

奄美リュウキュウコノハズク
両手でお椀を作ったらその中に納まってしまうような小さなフクロウの仲間だ。
本土のフクロウと違い、奄美や沖縄ではよくその姿を見るし、鳴き声も耳にする。

アマミノコギリは更に数を増しており、あちこちのトラップにベタベタと付いている。

…と、細枝に吊るしたトラップで、おかしなモノを見た気がした。

丁寧に網に取り込み、改めて確認する。

錆色アマミノコ
なんじゃこりゃ!?

黄土色のアマミノコギリなんて初めて見たぞ!?
小さな個体だが、こんな体色は聞いた事がない。

…後日知ったのだが、これが実は稀に出る体色のようで、通常は体の一部に汚れのように出る場合が多く、このように全身に出るものはかなり少ないようだ。
某方は「Golden・dissimilis」なんて呼んでいるようだが、個人的にはむしろ「錆色型(さびいろがた)」を提唱したい。
黄土色だから「金」なんて安易な高級感よりも、これは和の渋さを盛り込んだ「錆色」だろう。
アマミノコギリクワガタ錆色型、なんともシブ格好良いじゃないか。

…さて、2晩ほど回ってみて、なんとなく傾向も見えてきた気がする。
クワガタが動き出すのは20時半頃からで、その前に回ってもほとんどトラップに付いていない。
これは恐らく日没から1時間程すると活発に動き出すのだと思われ、日が長い今の時期だから20時半なのであり、お盆時などではもっと早くから活動するのだろう。
また新たに飛来するのは22~23時頃までで、だいたいそれがトラップ巡回の2周目。つまり、1周目・2周目は結構な数のクワガタが付いているのだが、同じつもりで3周目に突入するとほとんど採れないのである。

ちなみに、アマミノコギリは当たり前のように70mmOVERが複数頭入る。
昨夜の75mm級は流石に特大だが、梅雨明け時期であればトラップを20~30個も入れておけば72mmぐらいまではさほど難しくない(※)ようだ。
全体的に見ると60mmクラスの大歯型が最も多く、小歯型より大歯型の方が多いんじゃないかと思う程である。
…お盆時になると小歯型の方が多くなるのを考えると、やはりノコギリは梅雨明けの虫らしい。

なお、アマミノコギリは初日の晩から多数が集まっているが、スジブトとアマミヒラタはまだ僅かしか見ていない。
トラップに対する反応の早さにも差があるようだ。
スジブトヒラタもまた梅雨明けに一気に出てくる虫のようなので、大型個体を採りたいものである。





※「難しくない」というのは“本気で狙えば採れるサイズ”という意味であり、“たくさん採れる”という意味ではない。
ネット通販の標本や生き虫価格だけ見ていると、アマミノコ72mmというのは簡単に採れそうな値段で取引されているが、実際に採集してみるとそこまで簡単なサイズではない。




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※長いので、以下リンクに目次ページがあります。
日を追って順に読んで頂く方は、どうぞ。
奄美大島採集記2012夏~目次~
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通りすがりの者です

はじめまして。今年の8月中旬に奄美でクワガタ採集をしようと思っている者です。できればアマミマルバネを採集したいのですが、虫けら屋さんはアマミマルバネを採集した経験はございますでしょうか?

No title

 地元の人の話では・・・ごく小さい範囲で、集中的に黄金系が出るらしいですね。部分的に特別な個体群を形成しているのではないでしょうか。
 本当に全身に現れているものはまさしく「黄金」で、ノコ特有の艶やかさを持ちながら金色をしていて驚きますよ。知人が採集して累代した際、死後に譲り受けた個体があります。
 また、飼育したものはWF1時点で一定の遺伝性とおぼしき金色の発現が認められました。
 知名度が上がってくればかなり流行る気がしますよ、飼育も。

Re: No title

>ふうけぃ☆風敬さん
この個体も、縁を除くほぼ全身に発色した個体ではあったものの、金というよりはサビ色、という印象でした。
でも、本当に“金”な感じの個体がいるのなら一度是非見てみたいですね。
部分発色の個体は今回何ヶ所かで採集しましたが、どれも中部~北部で、南部ではこういった発色の個体は見られませんでした。

>アママルさん
アママルは、“一応”という程度ですが採集したことはあります。1週間ほどで4♂1♀でした。
ただ、8月中旬だと時期的にまだ難しいかもしれません。
早い年なら発生が始まる頃ですが、まだアマミミヤマ全盛期でマルバネは発生前、という可能性もあります。

No title

>虫けら屋さん

返信ありがとうございます。やはり時期的に難しそうですよね・・・

がんばってアママル探したいと思います。ありがとうございました!

お気を付けて

>アママルさん
ハブにはくれぐれもお気を付け下さい。
奄美大島のハブは地面に多い、という話もありますが、今回木に登ったハブも2回目撃しています。
注意してし過ぎる事はありませんので、ご無理をなさらずに。

やはりハブ、出ますよね…

気を付けます。アドバイスありがとうございます。

>アママルさん
場所によって多い・少ないの差はありますが、基本的にハブはいると思っておいた方が良いです。
無理をせず、頑張って下さい!
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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akepon6464@yahoo.co.jp

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