奄美大島採集記2012夏(05)~ミカン畑の奇跡~

7月2日(月)

今日も朝から真夏の日差し。
熱せられて灼熱のサウナとなった車はすぐには乗り込めない。
ドアを開けた瞬間に車内から熱気が噴き出してくるので、エンジンを掛けて冷房全開にして窓も全開。
…ちなみに、ハンドルが熱過ぎて触れない時は、濡れタオルで拭いてやると気化熱で短時間で冷ます事ができるのでオススメ。

さて、ようやく冷めた車に乗り込み、昨日案内してもらったフェリベニのポイントに向かう。

…正直、昨日は完全にグロッキーだったので一人で入って大丈夫か?という心配もあるのだが、今日は午前中からゆっくりと休憩をとりながら進むことにする。
疲れたら十二分に休憩を取れるだけの時間を確保して向かおうというワケだ。
誰かといる時と違い、自分一人では何かあったら助けも呼べない。
全て自己責任なのである。

森に入り、自分のペースで歩く。
40分程で最初の木に辿り着くが、赤い姿はない。
よく見ようと近付こうとした瞬間、木の根元に不自然な“うねり”があるのが目に入った。

瞬間に理解する。

ヒメハブだ。

「おっとォ!」
80cmぐらいはありそうな立派なヒメハブが鎮座していた。
本ハブに比べるとずっと太短く、本土のマムシより更に太短い。ツチノコを彷彿とさせるヘビだ。
本ハブと比べれば毒性も弱く気性も大人しいが、それでも毒ヘビは毒ヘビだ。
ロッドで引っ掛けて追っ払い、改めて木をチェック。

「いない…か。」

更に45分ぐらい森の中を進み、2本目の木へ。
時間はまだ午前11時、フェリベニが飛来するには少々早い。
空を見上げれば、奄美の思わせるヒカゲヘゴが丸く葉を広げる。

奄美の森の天井

…結局、一日粘ってフェリベニ1♀を得て、ついでにアオカナヘビも見つける。

アオカナヘビ

本土で見るニホンカナヘビと比べてスリムで、全身鮮やかな黄緑色の美しいトカゲだ。
持って帰りたい気もするが、飼育はあまり得意ではない(ズボラなので)。そっとリリースする。

帰りも自分のペースでゆっくりゆっくりと登る。
10分歩いては立ち止まり、呼吸を整えてまたゆっくり歩く。30~40分歩いたら座って休憩。
絶対に無理をしない
そうして、時間は掛かったものの無事に森から生還。
…体が慣れたというのもあるとは思うが、どうも昨日のグロッキーはY氏のペースに無理に付いていこうとしていたのが原因のひとつだったらしい。
今回は、そこまで死にそうにはならずに脱出できた。
“自分のペースで歩く”は非常に重要である。


…夜、いつものポイントはボチボチ。
巨大な個体は入らないものの70mmOVERのノコは数頭入り、例のスジブト集会所も相変わらず大盛況。
本日も59mmを筆頭に大型が複数頭入る。
トラップを2巡して一通りクワガタを採集し、さて宿に戻ろうかと走り出したのだが、

ふと、ミカンの樹液に付くアマミノコギリの写真を撮っておこうと思った。

…となると、先日トラップを撤去したポイントのミカン畑が思い浮かんだ。
あそこは樹液はかなり出ていたし、写真を撮るだけなら特大でなくてもいい。
大歯型ぐらいはいるからそれで十分だ、とハンドルを切った。

細い道に車を止めて、畑に入る。
真っ正面の木にいきなりノコが付いていたが、中歯型。
「どうせなら大歯がいいよなぁ…」と呟きながら順番に木を見て行くと、いきなり樹液に付く大型個体が目に飛び込んできた。

ミカンの樹液とアマミノコ

一目見て70mmは確実に超しているのが分かった。
「なんだ、デカイのいるやん!」
ちょっと驚きつつも、コンデジでパシャリと1ショット。
画像を確認して、それからそのノコを掴…んだら、違和感を感じた。

…おかしい。

どうにも
ノコギリの太さじゃない。

ベリベリッとノコギリを木から剥がし、まじまじと良く見る。
…暗いせいで目測が効かなかったが、この太さは75mmを超している可能性がある。
「ヤバイな、これは。ちゃんと計測しないとだな。」
独り言を呟き、一応隣の木を見……たら、なんかまたデカイのがいる。

「え…」

引っ掴むと、最初の個体程ではないが、これまた太い。
おいおいおい…

更に2本隣の木を見たら、ましても70mmは超してそうな大歯型。
別の枝には、こちらは70mmには届かなそうだが立派な大歯型がもうひとつ付いている。

…で、毒ビンが車の中だ。

もともとデカイ個体などいないと思って撮影だけのつもりで畑に入ったのだから仕方ない。
右手の親指と人差し指の間にひとつ、人差し指と中指の間にひとつ、中指と薬指の間にひとつ。
左手は懐中電灯を持ち、更にノコギリをひとつ。
そんな状態で更に見て行くと、またしても70mmOVERのノコギリが…

「ダメだ、一度車に戻ろう。毒ビンないと無理だ…」
と、ようやく車に戻る。
一番大きな個体を残し、他は順番に毒ビンに入れていく。
一番大きな個体は、まずは生きたままノギスを当ててみる……



「やばい…」

まずは、自分の目を疑った。
メモリを読み違えていると思った。
でも、何度見ても間違いない。

「いや、これはちょっと、ちゃんと〆てから計ろう…」
心臓がバクバク高鳴りつつもその個体を毒ビンに入れ、再びミカン畑に戻る。
最後に見つけた70mmOVERも採集し、65mmぐらいの大歯も採集して車に戻る。
だが、気分は既に上の空。
先程の個体のサイズが気になって気になって仕方がない。

車に戻って確認すると、先程の個体は既にかなり弱ってはいるがまだ死んではいない。
その状態でもう一度ノギスを当ててみる。

…やっぱり、間違ってない。


宿に戻り、確実に死んでいるのを確認し、明るい中でノギスを当てる。
普通は、リラックスした状態でノギスがアゴ先に軽く当たる程度にして計るのだが、ギチッと詰めて引っ掛かったまま落ちない状態にしてみる。

アマミノコ79mm

…その状態で、78mmを確実に超している
普通に計れば、79mmを超えている。



ヤヴァイ。


ヤバイを通り越してヤヴァイ
これは相当ヤヴァイものを採ってしまった…。




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※長いので、以下リンクに目次ページがあります。
日を追って順に読んで頂く方は、どうぞ。
奄美大島採集記2012夏~目次~
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No title

どういう神風が吹けば、こうなるんですか・・・(笑)

神憑り

>ふうけぃ☆風敬さん

今シーズンは、本当に神憑り的な成果でした。
ネリヤカナヤから神様でも来ていたのか、はたまたケンムンの気まぐれか。

某方には、『もうこれは今年死ぬね(±の反動で)』と断言されましたよ…(^^;
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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