糞トラップ

動物(主に哺乳類)の糞を食べる虫、特にその中でもコガネムシの仲間(コガネムシ上科)を「糞虫(ふんちゅう)と呼びます。
有名なところで言えばファーブルが研究したフンコロガシもその仲間。

ウ○コを食べるというと汚い印象ですが、彼らの中はカブトムシにも劣らぬ立派な角があったり、宝石のような輝きを持っていたりするものがいたりして、これが実は意外と格好良いのです。
ダイコク&オオセンチ

さて、そんな魅力的な糞虫たちですが、採集しようとなるとやはり(ふん)を狙うのが基本。
しかし動物の糞などそう都合よく落ちているものでもなく、それでも採集したいとなると糞を仕掛けて虫を誘き寄せるという方法になります。
…そう、虫屋(→虫屋とは)はウ○チも採集の道具にしてしまうのです。
この方法にも色々なものがあり、人によって実に様々な工夫がされていたりするのですが、その中でもオーソドックスな方法を紹介します。

糞を食べる糞虫の中にもいくつかパターンがあり、大きく分けて「糞に直接潜り込むタイプ」と「糞の下に穴を掘り、地中に運び込むタイプ」「糞を転がして別の場所に運ぶタイプ」の3タイプがあります。
直接潜り込むタイプは糞さえ置いておけば採集も可能なのですが、「糞を地中に運び込むタイプ」の場合、時に30cm近い深さまで地面に潜ってしまう事もあり、せっかく来た虫が採集できなくなってしまったりする事もあります。(※ちなみに、フンコロガシタイプは日本にはほとんどいません)

そこで、糞トラップを仕掛ける場合、まず最初にザルやバット等の容器を地面と同じ高さに埋めます。
それにより、糞の下の地面に潜り込んだ虫が、容器より下には潜れないため、採集しやすくなるのです。

(1)穴を掘る
糞トラップ-1

(2)ザルを埋める
糞トラップ-2

この時、ザルやバットが地面より高くなって段差にならないよう、しっかり穴を掘ります。
糞虫の中には飛ぶのが下手なものや、飛べないものもいます。そういった種類の糞虫たちは、歩いて糞に近付こうとしますので、段差があると登れずにトラップに入れない場合があるのです。

さて、容器を埋めたら、いよいよその上に餌となる糞を置きます。

(3)糞を設置する
糞トラップ
※一応、画像をサムネイルサイズにしていますので、見たい方はクリックで。

牛糞を使用する事が多いのですが、場合によっては自分自身のウ○コを使用する事もあり、そういう場合は特に「マイトラップ」「セルフトラップ」等と呼びます。
あまり少量では『香り』も広がらないので、野球ボール大からもう少し多めに、しっかりと盛り付けます(※自糞でやる時には、出せる分だけですが)。
またこの時、糞がザルやバットの中に余裕を持って納まるようにします。
容器ギリギリやはみ出して盛り付けてしまうと、せっかく来た虫が容器より外に穴を掘って潜ってしまい、せっかく容器を埋めた意味がなくなってしまいます。

また、糞は新鮮であればある程良く、畜舎などで糞を分けてもらう場合も出来るだけ新鮮なものを貰うようにします。
乾いてボソボソになったような糞では糞虫はあまり集まらず、出来ればその場で牛が尻から捻り出したばかり のような物が理想。
セルフトラップの場合は、ザルを埋めたその上にしゃがみ込んで“致す”ようにします。

(4)回収
オオセンチコガネなどは昼間、センチコガネはやや夕方寄り、ダイコクコガネなどは夜に活動しますので、狙う虫によって回収する時間を変えます。
早ければ数時間、長ければ1~3日ほど放置し、それから回収します。

回収の際は、スコップや割り箸などでまず上の糞をどかします。
すると、まずいきなり糞の下にいる場合も多いです。
糞トラップ-4

また土の中に潜るだけでなく、糞の中に潜り込んでいるものもいますので、糞もしっかりほぐして中を確認します。
土の中に潜っているものに関してはザルやバットをあけて中を確認するワケですが、センチコガネ類はともかくエンマコガネやダイコクコガネの仲間などは黒いものが多く、土の塊と見分けが付きづらい場合も多いので、一気にひっくり返すのではなく少しずつ土を崩しながら探していきます。
その際、糞を土中に運び込んで食べているものもいますので、土の中から糞が出てきたりします。
直接糞を触りたくない場合は箸や移植ごて(スコップ)などで少しずつ崩していくようにしましょう。

(5)クリーニング
採集した糞虫たちは、全身が土と糞にまみれていますし、お腹の中にも食べた糞が詰まっています。
標本にする場合、それらをいきなり毒ビンに入れてしまうとビンの中は糞まみれの 大変ステキな大惨事 になります。
そこで、採集した糞虫は、まずは濡らしたティッシュをいっぱい詰めたタッパーウェアなどに入れてしばらく生かしておきます。
濡れたティッシュの中を動き回る事で体に付着した糞もかなり落ちますし、食べた糞も消化して排泄します。
ティッシュが汚れたら交換し、2~3日生かしておくのが理想です。

糞トラップ-5

そうして虫がキレイになったら改めて毒ビンに入れ、あとは普通の甲虫と同じ要領で標本にすれば大丈夫です。
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No title

 最近はヤギやウシを半年レンタルという商売があり、世話賃は自前となりますが1頭1シーズン3000円で借りられるようです。
 単純に酪農体験もさることながら、ここぞというときに重宝するかもしれないなぁと興味があるんですが…大量のトラップを仕掛ける際に効率よく糞を入手できる方法が無いものかと常々悩みます。

Re: No title

>ふうけぃ☆風敬さん
究極の選択かもしれませんが、糞虫屋さんの中には自宅の冷凍庫で糞を冷凍ストックしている方もいらっしゃるようです。
糞は生のままでは発酵して劣化してしまうので、新鮮なまま冷凍して保管し、必要な時に必要なだけ解凍して使う、と。
それであれば、ちょいちょい新鮮な糞を入手しては冷凍していけば、大量に使う時にも困らないかと。

…ま、普通に考えたら食品と一緒に入れるのはあまりにキツイので、別個に専用冷凍庫を買うべきでしょうけど。

自分のは、量に限りがありますし、大量にしかけるのは、かなり苦労します。糞の中に輝く虫を見つけた時の喜びは最高ですね。

Re: タイトルなし

>インセクトさん
オオセンチコガネを採りたくて初めてセルフトラップをした時、土の中から赤紫の輝きが見えた時には本当に感激しました。

No title

昆虫採集にここまですると、ある一線を越えてしまった気がしますね・・・
糞虫を取るときには、犬の糞の近くを探すと便利ですよ!!
私がよくオオセンチをとるところでは、犬の糞でよく捕まえます。

Re: No title

>モモンガさん
まぁ最初は抵抗ありますよね(^^;
ただ、このトラップでないと採集が難しいような虫もいるのは確かです。
セルフはともかく牛糞トラップなどは一度やってしまうと「トラップの一種」と割り切れますよ(笑)

新鮮な犬や獣の糞が見つかれば良いのですが、山の中ではナカナカ…

No title

やってみたいのですが中々敷居が高そうですね・・・
楽しそうではあるんですが・・・

ダイコクとは言わずともゴホンダイコクとかは採りたいですねー

Re: No title

>並人さん
…まぁ、ウ○コですから最初は敷居が高いですよね(笑)

ゴホンダイコクなら、ライトトラップという手もあります。
個体数が多い場所だと、ライトにもよく飛んできますよ。

こんにちは。^^

かなりお久しぶりです。 少し前から、ようやく私情の方が落ち着いたので・・
ブログ再開と共に…また此方のブログの方へ遊びに来ました。(笑)
フン虫は、かなり好きな種類のムシなので・・興味しんしんで 記事を読ませて頂きました。

トラップを置いた下の地面に…ざるを埋めてしまう方法は、斬新かつ 画期的ですね!
今度 糞虫を採集する際に、トラップを仕掛けた際には、是非 試してみようと思いました。

Re: こんにちは。^^

>ティーノさん
お久しぶりです。
虫によっては20~30cmぐらい潜ってしまう事もあるので、ザルなどを埋めて一定以上潜れないようにする手はかなり有効です。
埋める手間は結構大変ですけどね(^^;

何日か継続して仕掛け続けて毎日チェックに行くような場合は、バットなんかの浅い物の方が潜った虫を見つけやすいんですが、一方で雨が降ったりすると水が溜まってしまうのでザルなどの方が水が抜けて良い…と条件によって色々あります。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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