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データラベルの書き方

標本を作る際、「いつ・どこで・誰が採集したか」を明記するデータラベルというのは非常に重要です。
学術的な面から見れば、展足の出来などより、このデータラベルがきちんと付いている事の方が遥かに重要です。

「クワガタの標本の作り方 ~基礎編~」でも少し紹介しましたが、「ラベルというのは標本の履歴書」です。
(→クワガタ標本の作り方~基礎編~
つまり、他人にも分かるように書く必要があり、また「後世に残るように」書き、作る必要があります。

さて実際の「書き方」ですが、基本情報として書くことは3つ「いつ」「どこで」「誰が」採集したか、です。
例えば「2006年8月16日に、奄美大島の湯湾岳で採集した虫」のラベルを作ることを考えてみましょう。

(例)鹿児島県(奄美大島)
   宇検村 湯湾
   湯湾岳
   2006年8月16日
   井上 三太郎 採集

採集地名については、必ず都道府県から書きます。
これは、奄美をよく知らない人から見れば宇検村が何処かすぐに分からないためと、市町村合併で市や町自体が名前が変わってしまう場合もあるため、後から他の人が見た場合でも分かりやすいように都道府県名から書くようにします。
また、場所が離島である場合は、島の名前も( )などで入れておくと、より分かりやすいです。
山や川、公園、キャンプ場など特定の名前が付いていれば、そこまで書くとより詳細地点を特定できるようになります。

採集年は必ず西暦4桁で書きます。
和歴では年号が変わると非常に分かりにくくなるのと、標本というのはきちんと保管すれば数百年からそれ以上の長期間に渡り保存できる物ですので、100年後、200年後に年が分からなくならないよう、西暦4桁で書きます。

採集者名については、自分や知人が採集した虫ならできるだけ記入しておきます。
ただし、購入した標本(特に海外から輸入したもの)などは採集者が不明な場合が多く、そういう場合は採集者は空欄にします。
分からないからと言って自分の名前を書いたりすると、「自分が採集した」という意味になってしまいますので、気を付けましょう。

これが基本となる情報ですが、人によってはこの他に「当日の天候や気温」「採集方法
(ライトトラップ、など)」「採集地点の緯度・経度(GPS計測)や標高」などを記入する場合もあります。


ところで、日本語の書き方で通じるのは当然日本国内だけです。
海外の方から見たら全く読めない言葉で書かれたラベルは、判読に非常に手間と時間が掛かります。
そこで、もし海外の方と標本の売買・交換を行ったりする可能性が場合は、ラベルも英語で書いた方が親切です。
上記と同じ場所で採った虫のラベルを、今度は英語表記してみましょう。

(例)JAPAN:Kagoshima-ken
   Amami-oshima Is.
   Uken-son, Yuwan
   Mt. Yuwan-dake
   16.Ⅷ.2006
   Santarou Inoue leg.

まず、英語表記をする場合、真っ先に国名を書きます。
国名は全て大文字で書き、その後に「:(コロン)」を付けます。
次に都道府県ですが、「都・道・府・県=Pref.(Pref.=prefectureの略)」(例:Kagoshima-Pref.)と表記しても良いのですが、必ずしも「prefecture」の指す「県」が日本・フランス・イタリア等で同じ自治単位とは限らないため、近年は「Kagoshima-ken」「Tokyo-to」などそのまま都道府県読みで表記する場合が増えてきています。
市町村についても、「city」や「town」でも良いのですが、都道府県と同じ理由から「-shi」「-machi(または -cho)」と書く場合が増えています。
また、県・市・字(あざ)などを一行に続けて書く場合は、間を「,(カンマ)」で区切ります。

採集地が離島なら島の名前も書きます。
その際、例えば「奄美大島」を「Amami Is.」と書いても間違いではないのですが、「奄美大島」という言葉でひとつの固有名詞となっているので、「Amami-oshima Is.」と表記する方が親切でしょうね(Is.=Islandの略)。
また、山なども「Mt. Yuwan」でも良いのですが、同じ理由で「Mt. Yuwan-dake」と書いた方が親切です。
仮に「槍ヶ岳」で採集した場合、「Mt. Yari」と書いてあるのと、「Mt. Yari-ga-take」と書いてあるのと、どちらが分かりやすいでしょうか?

…それと、英語ラベルは詳細地名から逆順に書く場合もあります
どちらでも間違いではないのですが、近年はどちらかというと国名から順に書く場合が多いようです。

採集年月日は並び順が変化します。
日本語表記の場合は「年→月→日」の順に並びますが、英語表記では「日→月→年」の順になります。
また、「月」はローマ数字で表記するのが一般的ですが、英語の月名を略称で書く場合もあります。

採集者名も苗字と名前が逆になり、後ろに「採集」を表す「leg.」を付けます。
標本好きの会話の中で「○○さんレグ」なんて言葉が出てきますが、これは「○○さん採集の個体」という意味になります。
日本語ラベルでも、「採集」と書くと面倒なため「leg.」と表記する場合も多いです。



なお、データラベルに昆虫の種名も一緒に書く場合がありますが、できれば種名は別のラベルにした方が良いです。
と言うのも、生物というのは分類が進むと「1種と思われていたものが実は2種いた」とか、「別種だと思われていたのが実は同種だった」などにより名前が変わる場合があるからです。
例えば、キリギリスという有名なバッタの仲間がいます(いました)が、実はこれは1種ではなく2種が混じっていた事が分かり、「ニシキリギリス」「ヒガシキリギリス」という2つの名前に分かれました。
つまり、今日本に、ただの「キリギリス」という名前の昆虫はいないのです。
そうなると、データラベルに一緒に種名「キリギリス」と書いていた場合、データラベルごと作り直さなくてはならなくなり、その際に写し間違い等が起きる可能性も出てきます。
また、種名が変わる場合だけでなく、個人的な同定間違いや種名の書き間違いなども起こり得ます。

つまり、種名というのは後になって書き直す可能性が十分に考えられるため、種名ラベルはデータラベルとは別にした方が良いのです。
(そして、種名というのは標本があれば後日他の人でも調べられますが、採集データというのはラベルを作っておかなければ当人以外分かりません。“種名を調べるまでラベルは保留して…”なんてやっていて、データが分からなくなったりしたら、それこそ最悪ですし。)


…さて、長くなりましたので、“ラベルの作り方”は次の記事に続きます。
(→データラベルの作り方
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初めまして、バエです。
過去記事への質問失礼します。
採集地の書き方で質問があります。
ミドリヒョウモンの黒色型を県境のほぼ真上で採集したのですが、この場合ラベルにはどのように書けばよいでしょうか?

Re: タイトルなし

>バエさん
地名の境界で採集すると、確かにラベル表記に悩みますね。
自分は境界を厳密にして採集した地域の側で書くことが多いですが、林道を歩きながら複数採集した場合などは「○○~●●」という書き方をする場合もあります。
例えば、

神奈川県○○市~山梨県××市
△△峠

…みたいな感じで。
「データラベルは、他人が見た時にその場所を特定できる」ことが重要なので、それを心掛けて表記すれば大丈夫だと思います。

ご返答ありがとうございます。
「データラベルは、他人が見た時にその場所を特定できることが重要」ですか。
これからはそれを心得てラベルを作っていきたいと思います。

Re: タイトルなし

>バエさん
標本のデータは、その虫がそこにいた証拠であると同時に、「再度同じ場所に確認に行ける」のも大事なので、自分だけ読めてもそれでは意味がありません。
最近では、GPSで緯度・経度を確認してラベルに書く方もいますよ。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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