データラベルの作り方

さて、データラベルの書き方の次は、作り方です。
(データラベルの書き方については、前回の記事をご覧下さい。→データラベルの書き方
前にお伝えしたとおり、標本というのは数百年以上保存可能ですので、ラベルもそれに見合った保存性が必要になります。

手書きの場合
標本の数が少ない場合は、手書きしてしまった方が早いです。
その場合は、他の方も読み取れるよう、字は丁寧に書きましょう。
本人以外読み取れないような字では、ラベルの意味をなしません(笑)

筆記具は、鉛筆(シャープペンシル)・ロットリングペン・インク(昔からのペン用インク)のどれかを使いましょう。
ボールペン使っている方が意外と多いのですが、実はボールペンはアウトです。
…と言うのも、ボールペンは字が消えなくて良いと思われがちですが、実はボールペンのインクは紫外線に非常に弱く、数十年もすると色が消えてしまう事が多いのです。
そうなると、「久しぶりに昔の標本でも見るか」と思ったらラベルが真っ白に…なんて事が起こりかねないのです。
鉛筆は炭素なので消しゴムで消さない限り何百年でも消えませんし、ロットリングペンや昔ながらのペン用インクは色が消えない上に紙に染み込むので消しゴムでも消えず、一番適しています。


印刷の場合
印刷の場合はまず作製ソフトを考えますが、これは自分が使いやすいソフトで構いません。
私の場合は「Excel」を使用していますが、「Word」で作る人もいますし、PCの扱いに慣れているなら「Access(アクセス)」を使うとデータ管理も同時にできるので便利です。
一度にたくさんのラベルを作る場合、PCソフトを使えば複製なども簡単にできるので非常に便利ですし、保存しておけば必要時にまた印刷する事もできます。
ラベルは「縦1cm × 横1.5cm」程度を目安に作りますので、通常のままの設定では字が大き過ぎます。
フォント設定で字を小さくするか、もしくは印刷設定で35%~40%程度に縮小して印刷します。

ちなみに私の場合、1回きりの採集地であれば日付も全て入力した上で印刷する事が多いですが、季節や年を変えて何度も訪れるような場所の場合、日付のみ空欄のラベルを大量作製して、日付部分のみ鉛筆で書き込む事が多いです。

ラベル(1)日付入
ラベル(2)日付なし

次に印刷するプリンターですが、通常のインクジェットは残念ながら不向きです。
これは経年変化で色が消えてしまうためと、水に弱いためです。
色が消えるという点については近年かなり改善されてきているようですが、水に弱いのは変わっておらず、誤って水一滴溢してしまうと全ての字が滲んで消えてしまいます。

そのため今までは「レーザープリンター」が最適と言われていましたが、近年は「顔料インクのプリンター」が一番良いと言われています
顔料インクは水にも強く、また色も消えません。
私自身、黒のみ顔料インク(カラーはインクジェット)のプリンターを使用しています。


手書きにしろ印刷にしろ、使う紙は中性紙なら何でも良い(※酸性紙は数十年でボロボロになるのでダメです!)のですが、無地の名刺紙や葉書紙など多少厚みのある紙を使う場合が多いです。
また、ラベルに使う紙は必ず「白」いものにして下さい。
赤や青のラベルは新種記載などに関わる特別な標本に使われるため、混乱を避けるためラベルの紙は白を使います。


出来上がったラベルは、虫と一緒に同じ標本針に刺しておきます
ラベルの高さは、「平均台」を使うと美しく揃えることができます(→平均台
「別にして虫の横に付けた方が見やすい」という場合もありますが、標本というのは移動する事も多く、ラベルが別になっていると移動の度にデータ混乱の危険も出てくるため、必ず一緒に刺すようにして下さい。
どうしても大きい字のデータラベルを別に付けたい場合は、標本自体にもデータラベルを付けた上で、別途に大きめのラベルを作って付けておくようにしましょう。

また、同所で複数の虫を採集した場合、代表で1枚付けるのではなく、必ず全ての個体に1枚ずつラベルを付けます
これは、「ラベルを付けた代表の1頭」が何処かに移動された場合、他の虫が全てデータ不明になってしまう危険があるためです。


…今回は2回続けて小難しい話になってしまいましたが、標本というのは個人の思い出というだけでなく、時に重要な学術資料にもなり得るため、ある程度きちんと作っておく必要があるのだという事を心の片隅にでも留めておいて頂ければ幸いです。

まぁ、そもそもに「標本」とは、動植物や鉱物などで研究用または教育用に保存されるものを指します。
本体そのものだけでなく、それが「いつ」「どこで」採れたものなのかが分かれば、標本から新発見があった際にその場所を再度調査する事もできますし、地域で標本を分けたら地域による形態差(形の違い)など何か新たな事が分かるかもしれません。
同じ場所の標本を日付で分けていったら、長い年月の間に昆虫相や植物相が変化していった事が分かってくるかもしれません。
つまり、標本という資料はデータが多ければ多いほど有用になり、またそのデータが誰でも読み取れる状態である事が大切になります。
そのためにも、分かりやすいラベルを付ける事が重要になるのです。

…ま~それに、きちんと基本に則って作られたラベルが付いていると、標本も格好良く見えますし(笑)
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No title

ラベルの作り方、参考にさせていただいております。
今日は百均で無地のはがきを買ってきました。

質問なのですが、ラベルに針を刺す位置というのは、決まっているのでしょうか?
あるいは、どの位置に刺してもいいのでしょうか?

台紙貼り標本のラベルは端の方に挿しているようですが、大きな個体の場合はラベルの真ん中あたりに刺しても構わないのでしょうか。

よろしければ教えていただけると嬉しいです。

Re: No title

>Taku35歳さん
ラベルに針を刺す位置は、特に決まっていないようです。
ラベル自体も人によって作り方が異なるので、針の刺し位置も人それぞれと言いますか。

ただ、字の上に刺してしまうとラベルが読みにくくなってしまうので、行間など字の無い部分に刺した方が良いようには思います。
ちなみに自分は、ラベルがちょうど虫の真下に来る(中心が重なる)ように針の刺し位置を決めています。

No title

虫けら屋さん、ありがとうございます。
位置は特に決まっていないんですね。
文字にかぶらないように、というのはなるほどです。
標本と中心が重なるようにということは、ラベルも右側に刺すということですね。
ラベルの真ん中に刺すものかな…と思っていましたが、色々参考にさせていただきます!

Re: No title

>Taku35歳さん
そうですね。
チョウなどは中心に刺しますが、甲虫などではラベルも右寄りに針を刺してます。
虫によってサイズも違うので、毎回位置を確認しながら刺しております。

No title

またもやラベルについて、質問させていただきます。

最近、コアオハナムグリを展脚しました。
小さい種なので、ラベルと虫の中心が重なるように刺しても、上から見たときにラベルがかなりはみ出して見えます。
こういう場合は、ラベルを90度回転させて縦向きにしても構わないものなのでしょうか?
縦向きにしてもはみ出るははみ出るのですが、はみ出る面積は小さくなります。
今までは小さくてもカナブン程度だったので迷わなかったのですが、今回コアオハナムグリはどうしたものかと思いました。

ご教授いただけると嬉しいです。

Re: No title

>Taku36歳さん
小さな虫などは、ラベルを90°回して縦にしても問題ないです。
縦貼り用の台紙などではよくやります。

その場合、右に回して「ラベルの最上段が右側に来る」ようにするのが主流のようです。

ラベルの向き

虫けら屋さん、ありがとうございます。
小さい虫の場合は縦向きでも問題ないのですね。
右回しが主流とのこと、心得ました。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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