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つちはんめう

春、山に採集やハイキングに行くと、足元を妙なアリが歩いている事がある。
普段見るアリより二回り以上は大きく、動きはあまり軽快ではない。
よく見ると青や緑がかった金属光沢があって、お腹はぼってりと大きく重そうだ。
ヒメツチハンミョウ♀

…実はこれ、ツチハンミョウ という虫(の仲間)で、アリではない。
こんな姿をしているが実はカブトムシやテントウムシなどと同じ甲虫の仲間。
…と言っても、この姿からも分かるように飛ぶことはできず、ひたすらに地面を歩き回る。

この大きなお腹、メスはこの中に千粒以上の小さな卵がパンパンに詰まっている。
で、なぜかオスもお腹が大きい。
ヒメツチハンミョウ♂
ミノガ(蓑虫)や一部のホタルなどオスとメスで極端に姿が異なる虫というのはいくつかあるが、メスが身重であまり動き回れない虫は、大抵オスが敏捷に飛び回ってメスを探す事が多いのだが、ツチハンミョウはオス・メス共に重々しい。
…ちなみにオス・メスの一番の違いは触角。
オスの触角は途中にコブのような塊があるので、よく見ればすぐに分かる。

ただし、「カブトとかと同じ甲虫なんだってさー」なんて気安く 触れるなかれ
彼らは体内にカンタリジンという を持っており、しかも身の危険を感じるとそれを関節から染み出させるのだ。
その体液が人の皮膚に付くと炎症を起こす…つまりかぶれてしまう。
観察するだけなら、小枝などで彼らをコロンと転がしてみると脚を縮めて黄色っぽい体液を染み出させるのが見られるだろうから、決して手で触れようとはしないように。

日本にはハンミョウという虫(→記事)もいて、しばしば混同されることがあるが、ハンミョウには毒はない。
どちらも名前に「ハンミョウ」と付いているが、同じ甲虫とはいえあまり近い仲間ではないのである。
“ゴミムシとクワガタぐらい違う”と言えば何となく分かるだろうか。
そして、漢方薬にある「はんめう(はんみょう)」は、実はこのツチハンミョウや近縁のマメハンミョウ、ゲンセイなどの仲間の毒を利用した薬なのである。
もしも春の散策で足元にツチハンミョウを見つけたら、「あ、漢方薬!」と呼んであげよう。
…そのまま飲んだら 猛毒 だけど。
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プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
夏を中心に東京農業大学の「食と農の博物館」や公立図書館で標本教室を行い、毎年大好評を頂いています。また、科学館の昆虫展の教育展示標本を手掛けたりもしています。
趣味面でも年齢=昆虫歴というぐらいの虫好きで、好きが高じて農大で昆虫学を学び、きちんと基礎を踏まえた上で教室もやっております。

なお、Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいなら構わないのですが、決してフリー素材として置いているワケではありませんので、勝手な使用はご遠慮ください。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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