喜界島(&他)遠征記2014~08~

3月3日、6時半起床。
まだ薄暗い。
正直睡眠不足、かなり眠く、体も動かないが、今日ばかりは「もう少し…」というワケにいかないので無理矢理体を動かして脳味噌を起動させる。
トラップを回収して荷物を整理する。
これから飛行機で奄美大島を経由して沖永良部島に渡り、仕掛けっぱなしにしておいたトラップを回収する。その後は奄美大島に戻り、最後にそこで2泊して今回の大遠征は終了となる。
そこで、最後の沖永良部・奄美大島でで使う物と、もう今回の遠征では使わないものに分けていく。
8時半に空港が営業開始するので、開始早々に駆け込んでチェックインを済ませ、荷物を預ける。
それから再び町中に戻り、今度は9時に開く郵便局へ。
もう今回の遠征では使わない物(余剰トラップ、着替え済衣類、等々)を箱に詰めて自宅宛に発送する。
喜界島の風景
…これで喜界島の風景も見納めである。

9:55の小さなプロペ機に乗り込むと、飛行機は一気に空へ…………と思ったら、あっと言う間に奄美空港に到着。
実質の飛行時間は15分も無かっただろう。
船は名瀬港で飛行機は笠利だから距離自体も違うとはいえ、この所要時間のあまりの差にちょっと溜息を吐きたくなる。
さてそのまま空港で飛行機を乗り換え、沖永良部島へ。

到着して早速仕掛けたままにして置いたトラップを確認に行く。
一週間以上放置となるので本来なら氷酢酸などの防腐液を入れておきたいところであったが、あいにく持ち合わせておらず、少しでも効果があればと食用酢を入れてみたのだが……
…結果からすると、ほとんど意味はなかった。
残念ながらケブカコフキコガネは落ちていなかったが、トラップには蛾などが落ちており、


落ちて…



多分、だいぶ前に落ちて…
腐りキイロトゲ
キイロトゲエダシャクの♀がデロデロに腐ってたなんて、蛾屋さんにはとても言えない。


3月4日、回収を終えて沖永良部島で一泊し、再び飛行機で奄美大島に戻る。
早速トラップ回収…といきたい所だが、今回のレンタカーで一人であのボコボコのダート道ポイントに突入するのは不安が残り、ならばと過去に記録のある別の場所で、車のヘッドライトでライトトラップをしてみることにした。

晩飯を買い込み、山へと向かうと…標高が上がるにつれて次第に霧が濃くなってくる。
細かな雨も降っており、気温が低い。
あまり嬉しくないな…と思いながらもポイントに到着し、目の前を流れて行く霧をしばし眺めて過ごす。

やがて辺りが薄暗くなってくる頃に、車のヘッドライトを点灯する。
すると、木の新芽のような淡い薄緑色の蛾が飛んでくる。
ナンカイキイロエダシャク
「妖精のような」とでも形容したくなる、なんとも不思議な雰囲気を持った蛾だ。
ナンカイキイロエダシャクという南西諸島で春先に現れる蛾らしい。
続いて今度は襟元がフサフサでハネに大きな模様をあしらった蛾が現れる。
カワムラトガリバ
カワムラトガリバという蛾で、これまた春に出る種。
…と言っても正直なところ、自身では名前も分からず詳しい人に教えてもらった名前だ。

気が付くと、車の周囲は蛾だらけになっている。
圧倒的に多いのがナンカイキイロエダシャクで、既に40~50頭は来ているんじゃないだろうか。だいぶ差が開いて次に多いのがカワムラトガリバで、十数頭。他の種類の蛾も色々来てはいるが、どれも数頭ずつという感じ。
しかし肝心の甲虫の姿はなく、飛んでくる虫の95%は蛾だ。
あとはアメバチやらシリアゲムシやらが少々混じる程度。
時折雨が降り出すので、その合間を縫って車の周囲を見回るが、めぼしい虫は飛んで来ていない。

…11時近くなり、そろそろケブカの飛翔タイムも収束してこようかという時間だが、残念ながら1♂たりとも飛んで来てはいない。
それでも、気付かぬうちに飛来して光の範囲外にとまっているコトもあるので、懐中電灯を手に車から出る。
蛾は相変わらず多く、ヘッドライトの範囲内を中心に、車のボディやら路面やらそこら中に貼り付いている。

…と、そんな多数の蛾の中、車の助手席側のドアノブの近くに一回り大きな影。
ユワンオオエダシャク
色合いは地味だがキタテハより大きいぐらいの立派な蛾で、画像では分かりづらいがフサフサの立派な触角をしている。

「ふ~ん…立派だし、一応採っておくか。少しぐらい蛾の標本も持っておきたいし。」
と何となく三角紙に包んだこの蛾が……


………実は大変なモノだった。


ユワンオオエダシャク。
2013年に新種として見つかった(記載された)ばかりの蛾だったのだ。
発見者が昨シーズンに20頭ぐらい採っただけで、下手したら発見者以外誰もまだ採っていなかったかもしれない種だ。
タテハサイズというのは、蛾としてはかなり大型の部類に入る(※タテハ自体は蛾じゃなくてチョウです)。
そんな種が2013年まで未発見だったというのは驚きだ。
発生が春ということで採集者がほとんど来ない時期だったことが主な理由だと思うが、こんな発見がまだ埋もれているのだと思うとワクワクする。

…さてこの時はそんな大した種だとも思わずにユワンオオエダシャクを三角紙に包み、「ケブカは来ていないものか…」と懐中電灯を持って車の周囲を歩いてみるが、見事に甲虫の姿はない。
車の反対側に回り込み同じように照らす。
そうしてライトを流しながら足元付近を照らした時、前輪タイヤにとまる特異なデザインの蛾が目に入る。
奄美キイロトゲ♀
「キイロトゲ!」
沖永良部島でも採った(→記事)が、春先にだけ現れる珍品蛾。
しかも♀は更に珍しいという話だが、どうもこの個体も♀っぽい。触角が細く、腹が太い。

何だろうねぇ、この「引き」は(笑)

せっかく飛来してくれたので、このキイロトゲエダシャクも丁寧に三角紙に包ん知り合いの蛾屋さんへのお土産にする。
…しかし結局本命のケブカコフキは1頭も飛来せず、日付が変わる頃に終了した。
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虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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