東北プチ遠征~糞虫編~

9月12日から13日へと日付が変わった頃、車で自宅を出発する。
東北道に乗り、深夜の高速をひた走る。

途中のPAで車から降りると、空気はヒンヤリしていた。
もうすっかり秋の夜だ。
灯火に何か飛んで来ていないかと見てみると、大きな蛾の姿。
クスサンだ。
灯火のクスサン
他にもいないかと探すと、クスサンはポツポツと飛来していたが、不思議とそれ以外のヤママユガ科は見当たらず。
そのまま更に北上してようやく高速を下り、そこから更に山道を行く。
山向こうの空が白み始める頃にようやく現地に到着し、コンビニの第二駐車場で仮眠を摂る。

…翌朝、東北の朝ということもあってヒンヤリとした空気。
とある牧場に辿り着き、そこで採集をさせて欲しい旨を伝えてみるのだが、「一般の方の立ち入りはちょっと…」と言われてしまう。
そう言われてしまってはこちらも無理に入るワケにもいかず、さてどうしようかと考え込んでしまう。
そこは“いる”と言われていた場所だったのだが、そこが無理となると新規開拓でもするしかない。
ならばと分布調査も兼ねて、別の牧場に目を付ける。

さて牛はいるけど人はいないかとウロウロしていると、ちょうど牧場の方が通り掛かる。
『挨拶したいなー』感を出して目くばせすると、上手いコト伝わって止まってくれた。
挨拶して素性を明かし、糞虫を採集したい旨を伝えると、
「こちらは構わないけど、何かあっても補償できないよ?」
とのお返事。
自己責任なのは無論承知の上。牛を刺激しないように注意することを伝え、放牧地に入らせてもらう。

牛くんは、見慣れぬ侵入者に顔を向けてくるが、近付いてまで確かめるほど興味は無いようでその場で立ったまま、あるいは座り込んだままでこちらを見つめてくる。
あまり刺激しないよう遠巻きに回り込み、放牧地の糞を探すと、すぐに見つかった。
シャベルでそっと糞をどかしてみると、ツノコガネやエンマコガネ、マグソコガネなど小さめの糞虫がポツポツと顔を出す。
だが、目的はそれじゃない。
少し摘まみつつ、別の糞を探す。
あまり新し過ぎない方が良いのかな?と足元を見ながら歩いていくと、既に表面が白っぽくなった糞。
そしてその脇には、明らかに何かが掘り出した土くれ。
牛糞
キタコレ!(゚∀゚)
シャベルでそっと糞をどかすと、土くれの下には人差し指ほどの太さの穴。
牛糞の穴
そして、幸運な事に穴の主がもう見えている。
深い時には20cm以上も潜ってしまうらしいが、今回はまだあまり深くまで潜っていなかったようだ。
穴の底に見える黒い虫をそっと掘り出す。
ダイコク小
おったー!!
この個体はかなり小さい方だが、それでもこの存在感。
まずは、これでここの牧場にも生息していることが確認できた。
まだ他にもいるハズだと更に糞を探すと、ポツポツとあちこちの糞の横にこの土くれがある。
そして、ポツポツと虫が見つかる。

…と、今までより明らかに大きく、親指ぐらいある穴を見つけ、ドキドキしながら慎重に掘っていくと…

キタ!キタ!キタ!キタぁぁぁぁあ!
ダイコク大
ダイコクコガネ
日本最大の糞虫で、大型の♂はカブトムシにも負けない立派な角を持っている。
大きさはカナブンと同じか少し大きい程度だが、コロコロと丸い体は全身漆黒で重厚感があり、何よりもその湾曲した長い角が目を惹く。
以前、北海道でミヤマ採集の折に灯火で拾ったコトは何度かあるのだが(→北海道採集記2012夏(3))こうして糞の下から掘り出すのは今回が初めて。

全身にまみれた糞と泥を落としてみると、こんなに格好良い虫だ。
ダイコク大-2
素晴らしく格好良くて、とってもカワイイ。
惚れ惚れしてしまう素晴らしい虫だ。
…気付けば、糞対策にしてた手袋は指先が破れて左手人差し指は牛糞まみれ。どかした糞が跳ねてズボンにも着弾。

ダイコクコガネだけじゃなく、私自身もウ○コまみれです。

だがしかし!
この虫には、ウ○コにまみれてでも採るだけの価値がある!(断言)
…あ、シャツの袖にも跳ねてた。

そうして10頭ほどを採集したところで急に雨が降り出し、牧場の方に重ね重ねお礼を伝え、菓子折りも渡してダイコク採集は終了。
午後は少し違う虫を探索してみたものの成果は上がらず、夜になってから再び東北道に乗った。

お約束でPAの灯火を見てみると、やっぱりクスサンが来ている。
そして、自販機の前で何かが歩いているな…と思ったら、ケラ だ。
こんな姿をしているが、バッタの仲間。
しかも後翅を広げて空を飛ぶこともできるので、灯火に飛んでくることもある。
そのケラが、自販機の前を何頭も歩いている。
ケラ
ケラ自体はたまにいる虫なのだが、狙って見つかる虫でもないので、今後のために確保しておく。
更に、クスサンもまだ完品がいるので、これも確保。
大型のヤママユ類は飛び方があまり上手くなく、すぐボロボロになってしまうので欠けのない完品が意外と採りづらかったりするのだ。
クスサン
ポツポツとPAの灯火採集を楽しみながらやがて高速を下り、森を抜け、町を抜け、山道へと入っていくと、やがて何年も前に一度来た林道へと辿り着く。
以前と変わらずダートのままの林道を町車の二駆でしばし登り、やがてヤナギの群落が見えてきた辺りで停車。
あとは明るくなってから、と眠りに就いた。
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かっちょええ…

何時ぞやはフチグロトゲエダシャクのポイントでお世話になりました、きむらと申します。ダイコク良いですね。自分も今日夜勤が明けたら有力と思われる候補地に探しに行ってみようと思います。そして翌火曜日はサンケイビルでお会いしましょう。

No title

東北にもダイコクいるんですね~
てっきり、熊本(採集禁止)と北海道ぐらでしか採ることができないと思っていました。
まだまだ、健康的に育っている牛がいるんですね。

No title

糞虫って子どもの頃図鑑とかで見て、汚いな~ってだけの印象でした。
でもそういうイメージを排して見ると、かわいい&かっこいいやつですね!
私はスジクワガタが好きなんですが、小さいのにアゴがかっこいいのが気に入ってるんです。
ダイコクコガネもこのサイズでこの形ってのがいいですね~。

Re: かっちょええ…

>きむらいずみさん
御無沙汰です!
その節はお世話になりました。

ダイコクコガネ、本州ではなかなか難しくなっているようですが、戦果はいかがでしたでしょうか?
明日お会いできるのを楽しみにしております!

Re: No title

>178さん
東北や信州でもまだ生き残っている場所はあるようですが、やはりかなり限られた場所のようです。
今回のようにそれなりの密度で生息している場所もあるようですが、大型個体は少なかったですね…

Re: No title

>Taku34歳さん
ダイコクコガネ、すごく格好良い虫です。
大型個体は本当に惚れ惚れと見つめてしまいますね。

スジクワガタ大歯、私も大好きです。
コクワに良く似たシルエットながら一回り小さく、その小さい中に入り組んだデザイン的な大アゴ。
良いクワガタですよね。

No title

こんばんは
tdm805です。

昼間はお世話になりました。
トンボの標本の作り方や山梨のゼフィルスの採集場所の話など
本当にためになりました。

今後もブログのコメントや標本作製教室、昆虫関係の集まりなどでお会いしたりお邪魔になると思うので、その時はよろしくお願いします。

あと、ヒメオオありがとうございます。
生きている個体を手にしたことがなかったのですごく嬉しいです。

今日は本当に色々とありがとうございました。

Re: No title

>tdm805さん
こちらこそ、お立ち寄り頂きありがとうございました!
虫は奥が深く、私自身もまだまだ勉強中です。

ヒメオオ、脚がとても長く、他のクワガタとはまた違った雰囲気を持っていますよね。
ぜひぜひ愛でてあげて下さい(笑)

ダイコク10頭はプチではない

今時ダイコクコガネを二桁採集すればそれはもうプチ採集ではないのではないでしょうか?

また、離島には行かれないのでしょうか。奄美大島も思っていたより採集にうるさい状態ではなく、話を通しておけば数頭レベルであれば禁止種も可能だと情報があり、来シーズンは行こうかと考えています。

Re: ダイコク10頭はプチではない

>アマミシカマニアさん
プチ“遠征”であります。
距離と日程なので、大成果でも東北辺りなら遠征自体は「プチ」かな、と。
なんとなく、フェリーや飛行機で行くようなのが「遠征」というイメージです(自分の中で)。

離島もまた行きますよ。
ただ今年の夏は飛行機に乗るような遠征には行けなかったので、今年は近場や今回の東北ぐらいの話が多くなっています。
…離島だけでなく、車で行けるような場所でも面白い虫はたくさんいる、というのを書いておきたいというのもありますが(^^;

大黒様

大黒様、本当にカッコイイですよね。
今月、自分は初めて採集しましたがあまりにも魅力的でハマってしまいそうです(*^_^*)

いつか九州での糞虫採集ご一緒しましょう(*^ー^)/

Re: 大黒様

>LED@山口さん
本当に、惚れ惚れします。
初めて採ったのは北海道の灯火でしたが、見つけた瞬間叫びました(笑)

九州に行った折は、ぜひぜひよろしくお願いします!

羨ましい限りです

いつもブログを読ませて頂いています。やっぱりカッコ良いですねえ(^O^)/ダイコクコガネが獲りたくて友人と採集の話ばかりしています。薬を使ってない牧場を見つけてみたいものです。面白い採集記、ありがとうございましたm(_ _)m

Re: 羨ましい限りです

>多摩虫さん
コメントありがとうございます。
北海道などではエゾシカの糞で繁殖している個体群もいるので灯火採集でも狙えますが、他の場所だとやはり牧場狙いになるでしょうね。
また、一度その地域から姿を消してしまうと再度入り込むのは難しいようなので、狙うのであれば「薬剤を使っていない」ことと、「古くからある牧場」が条件になるようです。

>虫けら屋さん

返信ありがとうございました(^O^)/(ツイッターでも多摩虫と同一人物です。)北海道に行くことがあったら頑張ってみます。貴重な情報ありがとうございましたm(_ _)m
また、質問なのですが、ダイコクは時期はどの辺りまで活動してるのでしょうか?

Re: >虫けら屋さん

>多摩虫さん
北海道では、南西部でよく採れているみたいです。
また、ダイコクやムネアカセンチなど糞虫の仲間は、クワガタではスルーしがちなオレンジの灯火(ナトリウム灯)にもよく飛んでくるので要注意です。

地域によっても違うでしょうけど、ダイコクは9~10月頃まで見られるみたいですね。

>虫けら屋さん

お詳しい情報ありがとうございましたm(_ _)m

Re: >虫けら屋さん

>多摩虫さん
いえいえ。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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