沖縄島採集記2011秋 10月26日~27日

※<この採集記は、10月31日からの5話目になります。>※



厳しいよね…。
厳しいよね……。
なんかもう、採れない気がしてきた。
今回、多分ボーズだ。

車で走りながらも、頭の中でもう「次回」の事を考えている。
次に来るとすれば、10月上旬ぐらいに来て夜間に森に入って木を見て回った方が良いように思う。
アマミマルバネで木採りの厳しさは実感しているし、採れる保証はない。
しかし、少なくとも路面を睨んで走っているよりずっと面白い。

となると、まぁ下見モドキでもしてみようか、と。
夜間に走っていた林道を改めて森を見ながら昼間に走ってみる。
まぁ良い環境があれば今夜にでも少し見てみても良いし、次回来る時の重要な参考になる。
昼間もほとんど採集せず、マルバネの付きそうな巨木を探す。

10本程度はそれっぽい木を見つけ、どうせなら今夜も少しだけ見てみようと予定を立てる。
ただ、本ハブは正直危険だし、今回はそれに対する十分な装備を持ってきていないので、本当に森の入口を舐める程度、ごくごく軽く見て回るだけにして、あとは流しで探そう。
期待するなら来年だ。

…そう考え、夜を待つ。

夜の帳が下りたら、まず真っ先に巨木を見に行く。
「…んッ!?」と思ったら、ヒラタ♂。
サイズがかなり小さかったので見つけた瞬間からマルバネの期待はしなかったが、それでも自分が目星を付けた木にクワガタが付いていると、それだけで嬉しいものだ。
ユミアシゴミムシダマシもポツポツと木に付いており、マルバネとは質感も形もサイズも違うのに、見る度にドキッとさせられるのが悔しい。

だがまぁ、流石にそう簡単にはいかない。
こんなんでマルバネが採れちゃったら、今までやってきた流しは何だったんだ!?という話になってしまう。
…とは言え、期待できそうな木はあるし、次回、次回♪

残るは今日・明日の2晩のみ。
正直、もう採れる期待は薄い。
時期が遅くなればなるほど個体数は少なくなっていき、遭遇率は下がっていく。
それでも、残る僅かな望みを賭けて、連日の反復作業を繰り返す。
もう、採集というより“作業”である。
ただひたすらに路面を睨み、運転し続ける。

沖縄、夜の路上

「努力=報われる」のだとしたら、もう十分にマルバネが採れても良いぐらいは頑張っていると思う。
しかし、残念ながらオキマルの採集は確率論。
頑張ることでその確率を僅かに引き上げる事は出来るが、100%にすることは不可能。

期待はいつしか失せ、ただひたすらに“作業”を繰り返すだけになっていく。
しかし、26日の夜もまた、無情に過ぎていく…


10月27日の夜が明ける。
初日から数えて7日連続ボーズ。
明日にはもう本土に帰る。

ならばせめて、マルバネがボーズでも他で少しでも楽しんでおくしかない。
小さな池のある場所まで行き、トンボ採りにいそしむ。
今日は、オオハラビロトンボやヒメトンボなど今まで採れていなかったトンボも現れる。
トンボにハマり始めたのが今年からという事もあり、今回の沖縄は本当トンボ採集ばかりである。
一番楽しんでいるのは、間違いなく「トンボ採り」だ。

…前にも書いたが、自分はクワガタムシ中心ではあるもののそれ以外の虫にも色々手を出している。
ともすれば「どれも片手間になってしまう」という危険もあるが、一方で「目的の虫がダメでも、他で意外な収穫があったりする」という利点も大きい。
どちらが良いと一概に決め付けるつもりはないが、個人的には色々な虫に興味を持っておいた方が、フィールドに出た際に楽しめることは多いと思う。
何より、「もっと楽しめるのに、勿体ない!」と思ってしまう。

…とまぁ、それはともかく。

やがて27日の日が暮れていく。
泣いても泣いても今夜が最後。
正直、もうほとんどボーズを覚悟しているが、かと言って最後の晩に何もしなかったら確実に後で悔いを残す。
どちらにしても後悔するのなら、

『やらずに後悔するよりは、やって後悔した方がマシ』

眠眠打破も購入して準備万端で最後の夜に臨む。

明日には本土に帰るという事は、言い換えれば今日・明日の採集品は生の状態で持ち帰れるという事。
ならばと、今日はクロギリスもいくつか摘まむ。

ヤンバルクロギリス全身

…一見するとコオロギとカマドウマを足して2で割ったような容姿をしているが、捕えてみればかなり凶悪な大アゴをしており、なるほど『ギス系』である。
間違っても咬まれたいとは思わない。

ヤンバルクロギリス顔

後脚のトゲも恐ろしく発達しており、エグく、不気味で、かつ格好良い。
ヤンバルクロギリスは1995年に新種記載された虫なのだが、むしろこんな虫が1995年まで未記載だったとは信じられない。
記載の10年ほど前からその存在は知られていたらしいが、なぜ誰も記載しなかったのだろうか…?

クロギリスを摘まみながらも、もはや事務作業的にマルバネを探して車を走らせていく。


…やがて日没から2時間近くが経過し、時刻は20時前。

舗装林道の左側の大きな待避スペースに、





何かいた。


動きは……そう、先日のタイワンカブトによく似ている。
黒くて、大型で、丸っこくて、ウロウロしている。

最初に口をついて出た言葉は、
「またタイワンカブトじゃねーだろうな。」
だった。
もう、心が期待するのを拒否していた。

懐中電灯を持ち、よっこらしょと車のドアを開け、確認に行く。



黒い。



赤みがない。



“ソレ”まで数mの所まできて、やっと心が認識した。



















オキマル路上


「…いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!!!!!」

絶叫した。

本当に、絶叫した。

「いおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおッ!!!!」

もう自分でも何を叫んでいるのか分からない。
頭がおかしくなるかと思った…って言うか、おかしくなった。

デカイ!デカイ!デカイ!
大歯!大歯!!

頭の中で「デカイ」と「大歯」の2つの単語だけがガンガン響き、しかしそれが言葉にならず絶叫しか出てこない。
体温が一気に40℃ぐらいまで上がったような、口から勝手に叫び声が出てくるような、全身の毛が一気に逆立つような、全身からアドレナリンがシューシュー噴き出すような感覚。
とにかくもう叫ばないといられない。
“掴む”という事にすら頭が回らず、ウロウロするマルバネをただただ絶叫しながら凝視しているだけ。

デカイ!デカイ!デカイ!デカイ!デカイ!デカイ!

62~63mmはありそうな、完全大歯型だ。

奇跡だ!

初めてのオキナワマルバネ採集で、初日から7晩連続ボーズを食らって、半分以上諦めた最後の晩に、いきなり63mmクラスの大歯型が採れるって、どんな確率だよ!?
誰の脚本演出!?
タイワンカブトのフェイクまで全てこの時のための仕込みかっ!?
伏線だったのか!?

興奮で、何かが体から飛び出しそうなのに何も言葉にならず、ただ絶叫となって口から出てくる。


「し、しゃ、写真っ!写真っ!!」
正直、この時、掴む前に撮影をしようと考えが至ったのは奇跡的だと思う。
走って車までカメラを取りに行くのだが、足が勝手に踊ってしまう。

デジカメと携帯で撮影し、それからようやく手で捕まえる。
…やはりマルバネ、カブトムシ並の力がある。

っくぅぅぅぅぅぅぅぅうッ!!
たまんねぇっっ!!


ヨロヨロしながら車まで戻り、シートに崩れ落ちる。
ズボンの上に載せたマルバネは、興奮してビクンッ!ビクンッ!と体を震わせている。


オキマル採集


「っしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッッ!!!!」
もはや何度目かも分からぬ絶叫を繰り返し、マルバネを採集した実感を噛み締める。

もう、ほぼ諦めていた。
今回はダメだと思っていた。


いた。
採れた。




…最後の夜に、奇跡は起きた。







※採集記目次はこちら→沖縄島採集記2011秋[目次]
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

おはようございます!

おめでとうございます!!!!!!!!!!!!
最後の最後に大歯とは素晴らしいの一言です!

叫ぶのもよ〜くわかります!

よい旅になって良かったですね(^^)

そして採集気分を分けていただきありがとうございました(^^)

Re: おはようございます!

>クワキチさん
本当に、最後の最後で出てきてくれました。
あまりの採れなさと、最後のミラクルの、気分の上下差が激し過ぎます…(^^;

あと1話、最後の軽いまとめがありますので、あとは軽い気分でお待ち下さい(笑)

おめでとうございます!!

これがあるから採集記って書けますよね^^

こんばんわ!

努力は報われますね(^.^)


見事な大歯(^w^)素晴らしいです!!!!!
おめでとうございました(^^)/

マルバネ採ってみたくなりました(汗)

No title

>魔琴さん
むしろ、これがなかったら採集記として厳しかったですね…(汗)
採った後も、幻じゃなかろうかと何度も確認した程でした。

>クワデリさん
いやいや、今回は本当に報われましたが、話にも出てきたように21晩連続ボーズで帰った方もいるように、本当に確率の勝負なのがオキマルの厳しい所です。

“採集の楽しさ”を求めるのでしたら、最初は石垣島のヤエヤママルバネをお薦めします。
大歯にこだわらなければ、他のマルバネ比べたら比較的見つけやすいですし、本ハブもいないので。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
今までに来た虫好きさん
検索フォーム
リンク