6月11日に、とある方と山梨に採集に行ってきたのだが、その帰り。
自宅最寄り駅のひとつ手前の駅に着いた時、ゆっくりと減速していく車窓から何とは無しにホームを眺めていたら、黒い塊が目に入った。
…こういうのを、
虫目(→
記事) というのだが、まぁそれはともかく。
カブトムシっぽく見えるなぁ…と思って眺めていたら、何だかもがいているように見える。
マジでカブトか!?と慌てて電車を降り、確認に行くと、立派なサイズのノコギリクワガタがひっくり返ってもがいていた。
だが、何かおかしい。
なんとなく…頭部に違和感がある。
拾い上げてみると、なんか大アゴがグラグラ…と思ったら取れてしまった。
大アゴがはずれ、中の白っぽい筋と皮だけで繋がった状態。
…なんとなく、状況を理解した。
ホームに飛来して歩いているうちに乗降客に頭を踏まれてしまったのだ。
ただ、多分スニーカーなどの柔らかめの靴だったためペチャンコにならず、大アゴの蝶番(ちょうつがい)がはずれたものの致命傷にはならず、ということか。
しかしこうなってしまっては生きたまま元に戻すのは不可能。
サイズ的にはなかなか大型のようだし、このまま放置しても更に踏まれてペチャンコになるか、朝にはカラスに食われてオシマイなので、とりあえずポケットに入れて再び電車に乗り込む。
…地元駅に着いてポケットから取り出すと、大アゴは完全に取れてしまっていた。

なんとも無残な姿だが、この状態でまだ生きている。
だが、動きもおかしいし、大アゴ以外にも何らかのダメージは受けてしまっているようだ。
これではどうしようもないので、
毒ビン(→
記事)に入れて、永眠していただく。
クワガタの死後、はずれてしまった大アゴの蝶番を無理やり嵌め込む。
簡単ではないが、元の位置にねじりながら押し込むようにすると、嵌め込むことはできる。
ただ、筋が全て千切れてしまっており、嵌めただけでは大アゴが簡単に動いてしまうため、隙間から少量のボンドを入れて固定を試みる。
その上で、あとは通常と同じように展足して乾燥させる。

普段は、こういう大型のクワガタは一度タトウで乾燥させてしばらくしてから軟化して本展足をするのだが、今回は復元ということもあり生のまま展足した。
前胸背にヒビが入っているが、ほとんど目立たないので良いだろう。
あとは1ヶ月半ぐらい乾燥させて、ラベルを付ければ完成である。
駅のホームで拾っているので、今回はラベルに「千葉県○○市○○ ××駅ホーム」と書き込むことにしよう。
…ちなみに、気になるサイズは、復元して64mmちょっと。
思ったよりはやや小さかったが、それでも最近ではマァマァの大きさ。
…以前は65mmぐらいはさして珍しくなかった気がするのだが、最近はこのサイズはなかなか見られなくなってしまった。
ここ10年ぐらい、本州ではノコギリクワガタの平均サイズが縮んでいるように思う。
原因が何なのかは分からないが、以前はたまに採れた67mmクラスはとんと出逢っていない。
木を蹴って数瞬待ったあとの、「バサッ!」という大きな落下音。
一瞬カブトかと思うような大きな音を、また聞きたいものである。
スポンサーサイト