採集記録を付けよう

「昆虫採集」というのは個人の趣味であると同時に、たとえ子供が作った標本であってもきちんとしたデータラベルが付いていれば学術資料として扱うことができる。虫を殺して刺して並べて悦に入るだけの趣味だと勘違いしている方も時折いるようだが、そうではない。きちんと管理された標本が、後々貴重なデータとして活きてくる事もある。
そういう意味では、専門家でなくても学問の一端に触れ、関わることができる貴重な分野でもある。
ハナムグリ箱
※「ハナムグリ箱」…この中に、10種類以上の日本産ハナムグリ(カナブンの仲間)が入っている。

自分が採集し標本にした昆虫たちを、よりきちんと扱いたい、残しておきたいと思うなら、まず採集記録を付けよう。
標本そのものに付けるデータラベルについては以前に記事にした(→記事)が、それだけではなく、採集に行った時ごとの「採集記録データ」を付けておこうということ。

昔ながらの採集手帳(フィールド手帳)を持ち歩く人も多く、採集したその日の夜にデータを記入する。
…私自身は実は手帳までは持っていないのだが、採集から帰るとすぐにパソコンで Excel にデータを入れるようにしているし、遠征で泊りがけの時は携帯などにデータをメモしておき、帰宅後に入力するようにしている。

最低限書いておく内容として、

・日付
・場所
・採った種類と数


…あたりは付けておきたい。
これを必ず付けておくようにすると、「去年の今頃は何採ったっけ?」とか「あの虫また採りに行きたいけど、いつ頃だったっけ?」など後から調べるのが容易になる。
標本にラベルを付けていれば、虫からデータを引き出すことはできるが、時期から虫を調べるというのは標本からでは難しい。
また、そうやってデータが何年も蓄積していくと、同じ虫でも「去年は早くからいた」「今年は出てくるのが遅い」など、発生の変動が見えてきたりもする。
ハナムグリ箱-2
「日付」は、ラベルを作る時と同じく西暦4桁から必ず記入し、和暦(昭和とか平成とか)は使わないようにする。
どうしても和暦を入れたい時は、別途に必ず西暦も書いておこう。

「場所」は、都道府県・区市町村・大字や字を入力し、○○公園や××山など詳細地名があればそれも書いておくとより良いだろう。離島なら島の名前も入れておこう。
また、より詳しいデータとしてGPSで緯度経度を拾って入力する人もいる。「何もそこまで…」と思うかもしれないが、市町村などは合併して名前が変わってしまうこともあり、絶対に変わらない緯度経度というのは最も確実なデータだったりする。

「採った種と数」も、あとから調べる場合に非常に重要なので、分かる限り書いておく。一見すると「数」は書かなくても良さそうにも思えるが、何度も行くようなポイントだと、「いつ頃に最も多く見られたか」などのデータにもなるので可能なら書いておきたい。

また、これらの他に「標高」「当日の天気」「当日の気温」等のより詳しいデータがあると、更に良い。
他にも「気が付いたこと」なども備考として書いておくと、後から役に立つこともある。
特定の植物から採集した虫がいるなら植物種も書いておくのも良いし、ベイトトラップや灯火など採集した方法を書いておくのも良い。
後々どんな情報が役に立つか分からないので、データはより詳しく書いておく方が吉。

また、自宅にパソコンがあるなら、ぜひとも Excel にもデータを入れておこう。
記事中にも触れたが、Excel は順序を並べ替える機能があるので、画像のように日付順に入力しておいても、例えば「都道府県別」とか、「年は関係なしに同じ日付でデータを集める」とかいうことも出来る。
そのため、紙の手帳よりデータを調べやすい事も多い(もちろん、一長一短あるけど)。
また、Excelデータにしておくことで持ち運びもしやすくなり、必要に応じてコピーして移したりということも可能になる。

ちなみに、私の Excel 入力の仕方はこんな感じ。※クリックすると大きな画像が出ます。
採集データ
…ただ、これは見本ではなくあくまで一例なので、ぜひとも自分なりに改良して頂きたい。

更に上級になると、標本1頭ずつに番号を付けて、それを1つずつ Excel データに入れて管理する。
そうすることでデータはより一層利用しやすくなりベストなのであるが、恥ずかしながら私自身もそこまではやっていない。
標本の数がそれなりに多いので、番号とデータを付けようにも膨大でヤル気が起きず、そうするうちに更に標本は増えていき…という悪循環…(^^;


標本を残すだけでなく、それをデータ化しておくことは自分の採集に役立つだけでなく、後世に残すことでまた別の人の役に立つ可能性もある。
自分が死んだ後も、集めた虫や記した情報が後世に残り記録として扱われていく。
昆虫という分野はそうした膨大な記録が蓄積し、今の図鑑や研究の元にもなっていたりする。
記録は貴重かどうかだけでなく、小さなものでも蓄積していくことがとても大切である。
「自分程度の記録なんて…」と思わず、たとえ自宅の前で拾ったアオドウガネでも、できるなら標本にして記録を付けておきたい。
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No title

おお!ハナムグリ亜科の箱ですか。
僕の場合は、まだ採取数も少ないので、「バッタ」「チョウ」「その他」「色虫」の4箱です。バッタとチョウは桐箱、その他はドイツ箱、色虫は、腹側もキレイなので、シーラ箱の両面ガラスタイプを使っています。
ハナムグリ亜科の箱、キレイですね。
今度機会があれば、虫けら屋さんのハナムグリ亜科の箱内紹介してほしいです!

Re: No title

>melolonthaさん
奇形個体などはコレクションから記事にしたりしていますが、ただのコレクション紹介ではあまり面白い記事にならないので…。
良いいネタ(記事)を思い付いたら、その時にコレクションの中から紹介したりはするかもしれません。

1冊完成しました。

我が家ではそれぞれ自分のスタイルでフィールドノートというのを作ってます。行った先とルートをグーグルマップをプリントスクリーンでjpgで保存して、プリントアウトしたものをノートに貼り、そこに採集した日付と虫名を書き込み、更にその時に撮った写真や標本にしてからの写真をコラージュっぽく貼りつけたりします。更に別ページできちんと撮影した写真と採集したときの状況や感想と、学名も書き込みます。採集せず撮影のみの情報も写真を貼り記録しました。(ホソミオツネントンボやベニスズメガ等)そうしてこの2〜3年の成果を1冊にする事が出来ました。来年からまた新たに趣向を変えながら見返した時に楽しいと思うノートにしていきたいです。記録と言うより日記のような感じですかね。虫けら屋さんのご教授やアドバイスも参考にさせていただき楽しませていただいております。ちなみに今年の活動ではスズメバチ属の標本箱が充実しつつあります。また今年は宿題(私達親子が勝手に思っている)が残っているので来シーズン励みたいと思います。また機会がありましたらよろしくお願いします。良いお年をお迎えください。

No title

採集記録は昨年からするようになりました。
標本を作ってますが、乾燥中わからなくならないように…と思いまして。
最初は採集日と大まかな地名だけだったけど、そのうち採集した木の種類とか、死んだ日とか、色々と細かくメモるようになっていきました。
なんかデータが積み重なっていくのが楽しいんです。
単なる記録と思っていたけど、たしかに今年の何月何日に採れたなんて情報は、来年に活用できそうですね。
どんな情報が役に立つかわからない、たしかにそのとおりですね。
画像や動画と違ってエクセルのデータはハードディスクを圧迫するわけでもないし、何でも記録していこうと思います!

Re: 1冊完成しました。

>虫採り親子さん
目撃種もフィールドノートに書いておくと、来年見返した時に「今年こそは採るぞ!」となれるので良いですね。
自分の場合、あくまで「採集記録」なので、目撃のみのものはほとんど記入しておらず、シーズン過ぎてから『今年は採ろうと思ってたのに、忘れてた!』というのが何度か…(^^;

Re: No title

>たく さん
標本乾燥中は基本的に簡易的なラベルを添えるようにしていますが、たまにそれを付け忘れてしまった時なんかにも記録データが役に立ったりしますね。
あと、自分の場合、「来てはみたけど、あまり良い場所でなかった」とか、採集中に見つけた「来年以降に改めて来てみたいな」という場所なんかも、備考で書くようにしてます。
基本的に「後から役に立つように」というのを念頭に置きながら記録しています。

プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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