バッタの標本の作り方

秋も深まり、コオロギの声も寂しげになってきました。
土手に行くとまだトノサマバッタが飛び出しますが、その数は減り始めていますね。
…尤も、今年(2011年)は11月に入ってノコギリクワガタ見つけたりしてますので、なんだか季節感はおかしいですが。

さて、今回はバッタの標本の作り方です。
トノサマバッタとキリギリス(おそらくニシキリギリス)に登場して頂きます。

バッタ展足

バッタ類は外骨格が柔らかく、内臓が多いため、標本にした際に色が悪くなりやすいという欠点があります。
生きたままの色を残すのは相当に難しいので、少しでも色を残そうという方向で進めていきたいと思います。

色が悪くなる原因の一つが内臓の腐敗です。
そこで、中型以上のバッタを標本にする場合、先の鋭くとがったピンセットを使って内臓を取り除きます。
バッタの頭を下げてやると、胸部との間に節間膜が見えますので、そこをピンセットを突き破ります。

バッタ展足-2

胸部の真ん中辺りまでピンセットを突っ込んで引っ張ると、黒っぽい塊が出てきます。

バッタ展足-3

大きな塊で一気に取れることが多いですが、他にも小さなものが残っていますので、何度か取り出します。
また、メスの場合は腹部に大量の卵を持っていますので、それも丁寧に取り出します。
ただし、腹部の壁面(内側)を強くこすると、色素が剥がれて一部が透けてしまいますので、擦らないように気を付けて作業を行います。

一通りの内臓が取り除けたら、小さく丸めた綿で中の体液を軽く吸い取っておきます。
(※この時も、内壁をこすらないように注意します)

次に、内臓を抜いたお腹が乾燥で縮んでしまわないよう、小さく丸めた綿をお腹に詰めていきます。
綿の量は適当に調整して、バッタのお腹が生きていた時と同じぐらいの長さになるようにします。
(※詰め過ぎると腹が伸びてしまいますし、少な過ぎると乾燥で縮んでしまいます)

バッタ展足-4

綿を詰めたら昆虫針を刺して展足していくワケですが、バッタの場合、クワガタ等と同じ背面展足と、横向きに整形する横刺し展足とがあります。

バッタ展足-5

背面展足の場合はクワガタ等と同じように胸部に針を刺して整えていけば良いのですが、バッタやキリギリス等では横から見た方が種類を調べやすいものが多く、専門家は横向きに展足する場合が多いです。
そこで、今回は横刺し展足をお伝えしていきたいと思います。

昆虫針はやはり胸部に刺しますが、横向きに展足するという事は、針も当然横から刺します。
バッタ展足-6

中脚の少し後ろ辺りです。
針が斜めにならないように、慎重に刺します。

針を刺せたらいよいよ展足になりますが、横刺し展足の場合、クワガタ等と異なり整形にややルールが多いです。
少々面倒に感じるかもしれませんが、これは後で調べやすくするための形で、専門家もこういった形に成形するので、この形になっていると標本がキマッて見えます(笑)

バッタ展足-7
※写真が切れてしまう場合は、画像をクリックして頂ければ別ウィンドウで開きます。

形が出来上がったら乾燥させますが、バッタは色落ちが激しいため、可能であれば冷蔵庫もしくは冷凍庫で冷やしながらじっくりと乾燥させた方が色が残りやすくなります。

…尤も、ご家庭によっては「虫を冷凍庫に入れるなど言語道断!」と言われてしまう可能性も高いと思いますので、その際は諦めてタッパー等に入れて乾燥剤を多めに入れて少しでも短期間で乾燥させるようにしましょう。
1ヶ月ほど乾燥させたら、データラベルを付けて完成です。

データラベルの書き方・作り方については過去の記事をご覧下さい。
データラベルの書き方)(データラベルの作り方

なお、コオロギやスズムシなど、やや平べったい仲間に関しては、標本はクワガタ等と同じ背面展足で作るのが一般的です。

スズムシ標本

…いかがでしょうか?
クワガタ等の大型甲虫に比べると手間が掛かりますが、興味を持って頂けたら、ぜひ挑戦してみて下さい。

標本は自分の思い出だけでなく、貴重な実物資料です
今、近所の河原で見られるバッタは、もしかしたら50年後には風景が一変して全く見られなくなってしまうかもしれません。
そんな時、きちんとデータを付けた標本が残っていれば、その時点で確かにそのバッタが河原にいたという一番確かな証拠になります。

下手をすれば、そこに居たことさえ知られないまま開発によって消えていく昆虫。
標本は、そんな虫たちが確かにそこに居たことを示す、一番の物証でもあります。
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No title

理科の実験みたいな作業ですね(^^;)
バッタの標本作成は大変そうですぅ(+。+)

No title

> クワデリさん
そうですね。
チョウは鱗粉剥がれや翅破れに気を使いますし、トンボもこだわると色を残すために手間の掛かることをしますし。
…他の虫を色々と標本を作ってみると、“クワガタの標本て簡単だな”と思います。
展足も難しくないですし、保管もタトウに入れておいて軟化する時にお湯に浸けるだけですからね(笑)
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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