小型甲虫の標本の作り方

ハムシや小型のカミキリムシなど、比較的小さい昆虫の展足標本を作る方法です。
クワガタで言えば、ルリクワガタやマダラクワガタ等はこの方法で標本を作る場合が多いです。

先に紹介した大型種の標本作製(→クワガタの標本の作り方~基礎編~)との一番の違いは、昆虫に直接を針を刺さないという事です。
昆虫標本は昆虫針を刺すのが基本ですが、小さな虫の場合、無理に刺そうとすると圧力で体が壊れてしまう危険もあります。
そこで、小さな虫の標本を作る場合、「台紙」という紙に虫を貼り、その紙に昆虫針を刺して標本にします。

まずは展足ですが、これも大型種のように針で押さえて展足しようとすると針だらけになってワケが分からなくなってしまいます。
そこで、以前に御紹介したタトウ(→タトウ)が登場します。

タトウのカット綿の上で、ツメやトゲを綿に引っ掛けるようにして形を整えていきます。
…が、最初は勝手が分からず苦戦するかもしれません。
コルリ標本タトウ乗せ

コルリ標本展足

また、針展足ほどキッチリとは形がキマりません。
コツ…と言える程のものはありませんが、強いて言えば(タイミングが難しいのですが)死後硬直が解けてフニャフニャの時よりも、ほんの少し乾き始めて関節は柔らかく動くけど、動かした形のまま元に戻らないぐらいの状態で展足するコトでしょうか。
…ただしこの方法だと、タイミングを誤るとフ節などの細かいパーツを折ってしまう危険もありますので万人にオススメできるものでもありません。
なので、最初は展足がアマくなるのは仕方ないと諦めて、やり方をしっかりと覚えていく方が良いかもしれません。

展足ができたら、タトウの表に「いつ」「どこで」「誰が」採集したかというデータを記入し、タトウに入れたまま乾燥させます。

コルリ標本タトウ

陽の当らない風通しの良い場所に置いておいても良いですが、タッパーウェアなどの密閉容器に乾燥剤を多めに入れて一緒に封をしてしまうのが保管も容易なので良いです。

その状態で1ヶ月ぐらいすると乾燥して関節等も動かなくなりますので、そうなったら次の作業に入ります。
最初に出てきた「台紙」に貼る作業です。

まずは、前もって台紙に昆虫針を刺しておきます。
針の太さは特に決まりはありませんが、細過ぎると不安定になりますし、太過ぎると悪目立ちしてしまうので、2~3号を使用する人が多いようです(※ちなみに私は有頭シガ針の3号を使用しています)。

コルリ標本針と台紙

台紙は自分で厚手の紙を切って作製しても良いですし、多数使うのであれば市販品もあります。
写真のものはイタリア台紙という市販品(イタリア製)の4号サイズになります。
端に入っている三本線は昆虫針を刺すためのガイドで、複数の台紙を準備した際に必ず同じ位置に針を刺して美しく揃えられるようにするためのものです。
(台紙の種類によってはガイド線が無いものもあります。)

あとは乾燥させた虫を台紙に貼って高さを調整し、下にデータラベルも一緒に刺せば標本は完成です。
※データラベルの書き方・作り方については過去の記事をご覧下さい。
データラベルの書き方)(データラベルの作り方

コルリ標本完成

なお、接着剤については以前はニカワがよく使用されていましたが、最近では木工用ボンドがよく使われています。

木工用ボンド

コンビニでも簡単に手に入りますし、扱いも容易です。
また、標本というのは、研究に使う場合は台紙から剥がして腹面を観察したりする必要もありますが、木工用ボンドは水溶性のため水に浸けるだけで簡単に剥がせるという利点もあります。
(※瞬間接着剤を使う方もいますが、これだと簡単に剥がせなくなってしまう為、個人的にはボンドをお薦め。また、手間が掛かっても良いなら昔ながらのニカワが保存性の面では一番良いようです)

標本やラベルの高さ調整には、これまた以前に紹介した平均台(→平均台)が非常に有効です。
少量なら目見当で合わせても良いですが、多数の標本を作る場合は平均台は欠かせません。


※ちなみに、今回ご紹介したのは通称縦貼りと呼ばれるタイプで、この他に横貼りと呼ばれるタイプの台紙もあります。

コルリ標本台紙タイプ

また、市販の台紙でも虫の大きさに合わせて様々なサイズがありますので、どのぐらいの大きさの虫の標本を作るか等によって使い分けていきます。
(※なお、セルロイド製の透明な台紙というのも市販されていますが、これは防虫剤等の薬品で変質してしまったりすることがあるため、可能であれば厚手の紙で作られたものをお薦めします。ちなみに、薄めの紙だとボンドの水分でヘタッてしまう場合がありますので、自作される場合は厚い紙を選んで下さい)


なお、「どのぐらいの大きさ以下なら台紙に貼るか」「どれぐらい以上の大きさなら直接針を刺すか」については人によって好みが分かれる所で、厳密な決まりはありません。
ルリクワガタ級なら基本的に台紙貼りですが、ネブトクワガタの大型サイズだと針を刺す人もいますし、台紙に貼る人もいます。
カミキリムシだと、トラフカミキリぐらいだと台紙に貼る場合が多いですが、針を刺すこともあります。
虫のグループや各人の好みでも分かれる所なので、自分の中で「どのぐらいの大きさ以下なら台紙に貼る」という境界線を決めておくと良いでしょう。
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虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
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