タマムシ・フィーバー

土場モドキ
他の場所でタマムシが確認できるようになってきたので、いよいよと期待に胸を膨らませて土場モドキを確認に行く。
11時ともなれば日差しは強烈で、秒単位で体の水分を奪っていく。
そんな中、どこかに来ているのではないかと積んである材を睨んでいくと…

いた!
タマムシ飛来
狙い違わず、ヤマトタマムシである。
偶然に採れる虫も嬉しいが、ある虫を狙って、それが狙い通りに採れるというのは快感である。
よくよく探せば、ポツポツとタマムシの姿が見られる。
…ただ、少々厄介なのが、普通の貯木場と違い伐採木の上に小枝などを積み上げてあるため、飛来したタマムシがすぐに小枝の下へと潜り込んでいってしまうのである。
土場モドキ2
それでも、タイミングよく飛んできたものをネットインしたり、逆に産卵を終えて小枝の中から飛び立ったものをネットインしたりと小まめに採集していく。

…正直、これだけまとめてタマムシを採れるのは何年ぶりだろう?
昨年、八王子市某所で採集会の際に数頭を採集したが、それでも全員で5~6頭という感じだった。
その5~6頭が、採集を始めて1時間で既に採れてしまっている。

ヤマトタマムシの♀は晴れた日の10時~13時頃に材に衰弱木や新鮮な倒木・伐採木に飛来して産卵する。
しかし、この産卵場には♂はまったく現れない。
では♂はどうしているのかというと…

正午を過ぎた頃から、♂たちはその輝くハネをきらめかせながらエノキやケヤキの樹冠部を飛び回り始める。
たまたま伐採されて積まれた材の向こうにエノキが生えているようだったので、薄くなってしまった林を抜けて裏へ回ってみると、立派なエノキが生えていた。
エノキの大木
下の方まで枝ぶりが良く、素晴らしい状態。
これならば♂もいるだろうとよくよく木を睨んでいると…
タマムシ飛翔
いたっ!

拡大してみると分かるが、この矢印のような形をした飛行物体が、ヤマトタマムシである。
タマムシ飛翔-2
長い竿が必要ではあるが、個体数は多い。
あちこちで♂が飛び回っている。
タマムシ群飛
これだけの数のタマムシの♂を見るのは生まれて初めてであるが、おそらく、昔はこういう光景がそこら中に普通に見られたのだろう。
宅地開発により雑木林が減少し、ヤマトタマムシも減った。
今でも都心部でも緑地帯などに細々と生き残って(私自身、世田谷区・港区・千代田区などで確認)はいるが、これだけ群れ飛んでいるのは見たことがない。

少し低めを飛ぶ個体に狙いを定めて網を振り、ネットイン。
エノキの木自体は20mぐらいある立派な木だが、枝ぶりが良いため下の方までしっかり葉があり、それに沿って高さ7~8mぐらいまで下りてくる個体も少なくない。

長竿(→記事)はリーチが長い代わりに大きく“しなる”ため振り回しづらく、懐に飛びこまれるとどうしようもないという欠点がある。飛翔があまり早くないタマムシとは言え、長竿で勝負すると結構てこずる。
しかし、それでも個体数が多いのでチャンスも多く、何だかんだで次々と♂が採れる。
…こんな経験は初めてである。
「あ、これは触角欠けてるからいいや」「お!これデカイ!」など選り好みしながらタマムシを採集できるなんて、なんという贅沢だろう。
ある時など、飛んでいた♂が葉にとまったのが確認できたのでそこを一気に網で掬ってみたところ、一度に4頭(3♂1♀)のタマムシが入ったりも。おそらく♀に誘引された♂たちが集まったところだったのだろう。

自宅から自転車で5分足らず、わずか3時間の採集で十分すぎるほどの成果を得て、あまりの暑さもあってまだまだ♂が飛び交う午後2時に、意気揚々と引き上げた。

近所の土場

冬の間に、近所に小さな土場のような場所ができた。
土場モドキ
「土場」というのは切り出した伐採木を一時的に置いておく場所のことで、近所のコレはおそらくスペースを広げるための伐採であり、切った木はこのまま朽ちさせると思われるので正確には土場ではないのだが、虫屋的には同じ意味を持つ。

伐採され積み上げられた木はカミキリムシやタマムシなどを強烈に誘引する。

衰弱したり倒れたりした木に産卵する種がいろいろいて、普段は森の中からなかなか姿を現さない彼らだが、こういう材を積み上げられた場所には次々に交尾・産卵のために寄ってくるので、こういう伐採材は昔から虫屋の良い採集ポイントとなってきた。
そして、その誘因期間は基本的に1シーズン、長くても2シーズンぐらいで、あとは古くなった朽木を好む虫たちに変わっていく。
つまり、今年採らねばならない のだ。
…実のところ、すぐ近くに強烈な水銀灯があり、この林からカブトムシやクワガタ・ヤママユガなど色々な虫が飛んでくるポイントだったので正直ショックだったのだが…

6月初旬の晴れた日の午前中に行ってみたところ、走り回るカミキリムシの姿がすぐに目に入った。
「クビアカ!」
クビアカトラカミキリ-1
取り押さえてみれば、思った通りの虫。

クビアカトラカミキリ である。

さて、この名前、最近聞いた覚えのある方もいるかもしれない。
…つい最近、Twitterのトレンドワードにクビアカトラカミキリという言葉が急浮上して虫屋界がザワついたことがあった。
「一体何があった!?」「なぜこんな虫の名が!?」「ついに虫の時代が来たか!?」
…既にご存知の方も多いかもしれないが、これは某ドラマで某男性アイドルさんが演じる社長がヒロインをクビと言おうとしたものの…な状況で苦し紛れに、
「クビ…アカトラカミキリに……そっくりだ…」
と発言したことから、ドラマを見た人たちが「なんだその虫は!?」と一気にツイートや検索をしたからだった。

首(前胸)が大きく膨らんで赤く、トラカミキリの中でもちょっと変わった姿をしたカミキリムシで、様々な広葉樹の衰弱木に集まる。
そのクビアカトラカミキリが、よくよく見ればあちこち走り回っている。
クビアカトラカミキリ-2
地元では初の虫なので記録も兼ねていくつか摘まんでいくが、面白いぐらいにクビアカトラばかりで、他のカミキリムシがほとんどいない。上に積まれた枯れ枝を叩いて小型種が数頭落ちてきたが、他にもトラカミキリの仲間がいくつか来ても良さそうなものなのだが…
マスダクロホシタマムシやナガタマムシの仲間など数種の小型タマムシも得たが、思ったより虫の種類は少なかった。

ただ、ふと足元に光るものを見つけて拾い上げれば、ヤマトタマムシのハネ。
タマムシのはね
風化具合から去年のものと思われるが、これは確実な証拠。

これは、もうしばらくしたら近所で簡単にタマムシを狙えるかもしれない。
去年、地元産ヤマトタマムシを得ようと10mもある長い虫網で必死に木の梢を飛ぶ個体を狙い、やっとのことで1頭だけ採集したのだが…
ケヤキやエノキ・クヌギなどの材が積まれた土場があると産卵のために♀が飛来する。
晴れた日は、出来るだけチェックしに来たいところではあるが…

ご近所回り

都区内では既にカエデの花も散ってしまったものが多いが、季節がやや遅いウチの地元では満開の木もある。

カエデの花
小さい花なので注意していないと気付かないが、一度覚えてしまえば開花時には違和感を感じるようになる。
葉の間に小さな赤いツブツブが目に付くようになる。

このカエデの花というのは人間の目には大して魅力も無いように映るが、虫にはとても魅力的らしい。
山間でこういう状態の木を虫網で花をガサガサと掬ってみると、良い場所にある木なら、ハナカミキリやトラカミキリ、ヒゲナガコバネカミキリなどの中~小型のカミキリムシや、ハムシ・ハチ・カメムシ等々色々な虫が網に入ってくる。

そんな春のカミキリムシを狙って近所のカエデを掬いに来た………のだが、しかし、これがちっとも入らない。
地元は山間ではないものの雑木林などの環境があり、色々なカミキリが来ているのではないかと期待していた……
…のだが、どうもアテが外れたようだ。
ケバエやハバチなどがいくつも入るのだが、カミキリと名の付く虫はひとつも入らない。
仕方がないので林の花を少し歩いてみる…と、冬場の間ずっと樹液を出していたコナラの木にオレンジと黒の塊が付いているのが目に飛び込んできた。
オオスズメ♀2016-1

きたきたきたきたぁぁぁあッ!!

一気にテンションが上がって慌てて駆け寄る。

オオスズメ♀2016-2
オオスズメバチっ!!
暖かくなって活動を開始したオオスズメバチの女王蜂である。
比較的暖かかったとはいえ、昼頃まで晴れていた空が曇り始めてオオスズメバチが活動するにはやや気温が低かったのか、動きはかなり鈍かった。

それにしても…相変わらず格好良い虫だ。
「究極の機能美」とでも言おうか、洗練された無駄のないスタイル。
しっかりと採集してから再び歩いていると、足元の草にコガネムシの仲間が止まっているのが目についた。
キスジコガネ-1
セマダラコガネの背面の黒紋が消失したタイプ………と思ったのだが、何か違和感を感じる。
セマダラにしては光沢が強過ぎるし…う~ん…?
よくよく見ると、周囲にいくつも同種と思われるものがとまっている。
触角を拡げているものが多く、どうも全て♂らしい。
そして、全ての個体が同じ色合いをしている。
…セマダラコガネは背面の模様が千差万別で、1頭ごとに異なると言っていい。
しかし、ここにいるこのコガネムシは6頭すべてが同じ模様をしているのだ。

「これは何か違う気がする…」虫屋の勘 が言う。
キスジコガネ-2

…採集して帰り、図鑑を引っ張り出して調べてみたら案の定。
キスジコガネ という種類のコガネムシらしい。
地元初採集なのはもちろんだが、自己初採集 である。

「たかが近所の採集、たかが普通種」と思わず。じっくりと会えるものである。

奄美大島に行ってきました

どうしても奄美大島に行きたくなり、2月24日(水)~27日(土)の3泊4日で行ってきました。
…が、流石にこの短期決戦ではやはりケブカコフキは厳しく、最後の晩に自動販売機の灯火で3♂を拾っただけでした。
奄美ケブカ♂
見つけた場所の周辺に発生ポイントがあるハズと急斜面の藪に入ってみたりもしましたが、虫はおらず。
あと4~5日もいられればポイントを見つけることも出来たかもしれませんが、今回は2013年の徳之島(→記事)のようなワケにもいかず、泣く泣く帰還しました。

この時期、南の奄美大島といえど冬ということで虫が少なく、必然的に副産物もあまりなく、他にまとも採った虫といえばリュウキュウアサギマダラとアシブトメミズムシぐらい。
何て言うか、今回の奄美遠征は一言で言うと、




鶏飯が美味しかったです。
















…ううむ…自分の名を付けてもらった亜種、なんとも難易度の高い虫である。

ご近所河川敷採集

…新年第3回目にして去年の話(笑)


2015年12月25日
この日は比較的暖かかったこともあり、2015年最後に地元産のマイマイカブリでも探しに行ってみようかと思い立ち、午後から近くの河川敷に向かった。

マイマイカブリはオサムシの仲間で日本特産の虫だ。
カタツムリの殻に頭を突っ込んで食べる姿がマイマイ(カタツムリ)をかぶっているように見えることからその名が付いた。
飛ぶことができないため地域ごとに特化しており、自分が住む千葉の辺りにいるのはヒメマイマイカブリという亜種(→亜種とは)。

自宅から自転車で10分程の河川敷には、河畔林…というほどもない、河畔並木ぐらいのヤナギがある。
近所の河畔ヤナギ

秋頃には群飛していた赤トンボもすっかり姿を消し、すっかり葉を落としたヤナギが季節を物語る。
…春にこの近くで1頭を拾っているので生息しているのは間違いなく、良い材があれば中で越冬しているハズである。
藪を踏み分けながらヤナギの根元周辺を探していくが、センダングサがあちこちに生えており、あっという間にズボンがタネだらけ。
ゲンナリしつつも探していくと、枯れて腐ったヤナギの朽木が転がっているのが見つかった。
ヤナギの朽木

持ってきた手斧で崩してみると、外側はまだしっかりしているものの中は腐ってボロボロになり、一部は中空になっている。
こんな感じの状態なら、狙いの虫が中で越冬していてもおかしくない……
…のだが、どうやらアリの巣を当ててしまったらしく、何百何千という数のアリがその朽木の中から噴き出してくる。
こりゃタマラン…とアリの少なそうな辺りを狙って更に崩していくと、いきなり大きなモノが動いた。
地元産マイマイカブリ-1

艶消しの黒いボディに細い脚、大きさからしてオサムシの仲間なのは間違いない。
この時点でほぼ確信はしていたが、全体を確認するまでは喜ぶのは我慢。
…騙されてヌカ喜びすると、ダメージもデカイから…。

手近な枯れ枝を拾って中の虫を掻き出し、その細脚を掴んで外に引っ張り出す。
地元産マイマイカブリ-2

「いよっしゃ!」

間違いない、マイマイカブリである。
狙って採れた地元産、喜びもひとしおである。
当のマイマイさんは眠っていたところを叩き起こされ、プゥンとあのオサムシ独特の臭気をまき散らす。

う~ん…香しきオサムシ臭…

気を良くして更に材を割っていくと、大量のアオゴミムシが出てくる出てくる。
アオゴミムシ
(撮影し忘れたので標本画像…)

河川敷でド普通種のゴミムシだが、深みのある明るい緑色の金属光沢はとても美しく、好きなゴミムシのひとつである。
しかしまぁ、割れば割るほど…という感じでアオゴミムシが出てくる。
どうもこの材はアオゴミムシの集合住宅だったようだ。

別の朽木からはこんなのも出てきて、油断できない。
越冬キイロスズメバチ

キイロスズメバチの新女王蜂だ。
スズメバチの仲間は、次世代の女王蜂だけが越冬して、翌年の晩春から活動を開始し、イチから巣作りをする。
今日が暖かかったこともあって、比較的すぐに動き出した。

…マイマイカブリを4頭掘り出したあたりで、ふと周囲を見渡すと、陽はすっかり傾き、薄暗くなり始めている。
4頭全部♀だったのは少々心残りではあるが、まぁとりあえず今回はこれぐらい採れれば十分だろう。
…50~60頭は出てきたアオゴミムシは、ほとんどを埋め戻しておいた。

土手の上に駐めた自転車の所まで戻り、今一度川面を眺める。
夕暮れの川面

暮れなずむ空と、遥か遠くに見える山並み。
なんだか、柄にもなくしんみりとした気分になってしまう。

空気もだいぶ冷えてきており、そろそろ帰るとしよう。
「これで(2015年の)採り納めかな…」
ポツリとひとりごちて、自転車のペダルを踏む足に力を込めた。
プロフィール

虫けら屋

Author:虫けら屋
もっぱら採集中心の虫屋さん。当初は東京で発生が確認されたが、後に埼玉県に移入、現在は千葉県での生息が確認されている。
肉眼で見て楽しめるぐらい大きなミーハー虫が好き。

Blog内の写真・文章等については、少しの引用的転用ぐらいならOK…と思っていたのですが、なんか最近フリー素材か何かと勘違いされているフシがあるので、今後は勝手に使わないでね。

※お問い合わせを頂く際はEメールにてお願い致します(採集ポイント等についてはお答えできかねますが…)。なお、採集遠征等により、お返事まで数日以上掛かる場合もございますので予めご了承下さい。
   ↓↓↓
akepon6464@yahoo.co.jp

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